「震災復興宝くじ」発売の提案  ‐ 木曽崇 

2011年03月15日 14:45

本論に入る前に、まずは被災された方々に対し心よりお見舞い申し上げます。

地震の発生より数日が経ち、全体の被害状況が徐々に明らかになってきました。それと共に、より現実的な今後の復興支援のあり方に関しても論議が起こりつつあります。復興支援には莫大な公的資金が必要となりますが、旧来型の国債発行による資金調達には限界があるとして、自民党谷垣総裁から与党に対して「災害復興支援税」の設立提案が為されたとの報道もあります。また、池田信夫氏などからは震災復興支援を目的とした「電力消費税」の創設提案などもありました。そこで、今回はギャンブルの専門家である私なりの新しい復興財源創出の提案をしてみたいと思います。それが「震災復興宝くじ」の発売による復興財源の確保です。


ギャンブルというと皆さんの中には眉をひそめる方も多いかもしれません。しかし、実は多くの国でギャンブルは、特に財政が豊かではない建国期において、どうしても必要な公共財の建設財源を広く市民から集める手法として利用されてきました。古くは1569年イギリスにおいて、エリザベス一世が当時植民地であった米国バージニア州の港湾復興のために宝くじを発行したという歴史もあります。また、スペインでは1763年にカルロス三世が宝くじを財源として、病院など国内の公共施設の拡充を行ったとさてれいます。

我が国においても同様の事は行われており、1946年に戦後の復興資金の調達のため各都道府県が独自に宝くじを発行して良いという法律が作られました。その名残りは現在の宝くじの論拠法である「当せん金付証票法」にも見られ、宝くじの発行主体として「戦災による財政上の特別の必要を勘案して総務大臣が指定する市」(第4条)という規定が残されいます。

さて、本論に入りますが私の提案はこういったギャンブルの持つ公共的側面にもう一度着目し、この度の震災復興のために「震災復興宝くじ」を発売し、広く市民から公的復興財源を集めるというものです。

この施策の最大の利点は、法の改正もしくは新法の制定を必要とせず、手っ取り早く市井から復興財源を集めることができる点にあります。

自民党が現在提案している「災害復興支援税」ですが、例え与野党がその創設に合意したとしても「どこから、どれくらいの比率」で徴収するかという具体的な論議ともなれば、それがスムーズにまとまる事は無いでしょう。池田氏の提案する「電力消費税」に関しても同様です。新税の創設というのは、各党の政治的思惑や既存のステークスホルダーによる反発もあり、それほど簡単なものではないのです。

一方、私の提案する「震災復興宝くじ」の発売にあたっては、主体となる地方公共団体の議会承認と総務大臣による認可さえあれば発売まで至る事が可能です。今必要な復興資金をなるべく早く調達しようとすれば、事務手続き上の問題で多少の混乱はあるかも知れませんが、新しい税制の創設よりは圧倒的に容易かつ迅速に財源確保を行うことができるでしょう。

また、この施策のもうひとつの利点が国民全体の納得感です。谷垣氏の提案する「災害復興支援税」は、おそらく具体的には消費税増税を指しているのだと思います。財政再建派の谷垣氏にとって、消費税増税は長らく取り組んでいる政治テーマでもありますから、ご本人はその提案をするのに最良のタイミングであると考えたのでしょう。

しかし、国民の目から見ると何となく震災に乗じて自らの従来の政治主張を押し込んでいる感が否めなくも在りません。また、震災によって経済停滞が予測される中、消費税増税はさらに市場に冷や水を浴びせるような施策であることは間違いありません。

一方、震災復興支援を目的とした宝くじの発売に関して、反対の立場をとる人間はおそらく殆ど居ないはずです。心とお金の余裕がある人だけが自発的に買えばよいものであり、嫌な人は買わなければ良いだけですからね。あとは「震災復興」という目的を明確に打ち出しながら、その理念に賛同するものをより多く集めるための販促キャンペーンを行えば良いだけ。

タレントが歌って踊るだけの現在の宝くじCMは、ぜひ管総理が全国民に震災復興を呼びかけるCMへと差し替えてください。CMを通して、その財源によって震災被害者がどれだけ救われるのかを訴えてください。「震災復興宝くじ」は、間違いなく宝くじ史上最大の売上を記録する事でしょう。多くの国民が「三億円の大当り」というひと時の夢を手に入れながら、同時に震災被害者のための復興支援となる。

これほど理想的な財源確保の手法があるでしょうか?
(木曽崇 国際カジノ研究所)

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