本論に入る前に、まずは被災された方々に対し心よりお見舞い申し上げます。
地震の発生より数日が経ち、全体の被害状況が徐々に明らかになってきました。それと共に、より現実的な今後の復興支援のあり方に関しても論議が起こりつつあります。復興支援には莫大な公的資金が必要となりますが、旧来型の国債発行による資金調達には限界があるとして、自民党谷垣総裁から与党に対して「災害復興支援税」の設立提案が為されたとの報道もあります。また、池田信夫氏などからは震災復興支援を目的とした「電力消費税」の創設提案などもありました。そこで、今回はギャンブルの専門家である私なりの新しい復興財源創出の提案をしてみたいと思います。それが「震災復興宝くじ」の発売による復興財源の確保です。
ギャンブルというと皆さんの中には眉をひそめる方も多いかもしれません。しかし、実は多くの国でギャンブルは、特に財政が豊かではない建国期において、どうしても必要な公共財の建設財源を広く市民から集める手法として利用されてきました。古くは1569年イギリスにおいて、エリザベス一世が当時植民地であった米国バージニア州の港湾復興のために宝くじを発行したという歴史もあります。また、スペインでは1763年にカルロス三世が宝くじを財源として、病院など国内の公共施設の拡充を行ったとさてれいます。
我が国においても同様の事は行われており、1946年に戦後の復興資金の調達のため各都道府県が独自に宝くじを発行して良いという法律が作られました。その名残りは現在の宝くじの論拠法である「当せん金付証票法」にも見られ、宝くじの発行主体として「戦災による財政上の特別の必要を勘案して総務大臣が指定する市」(第4条)という規定が残されいます。
さて、本論に入りますが私の提案はこういったギャンブルの持つ公共的側面にもう一度着目し、この度の震災復興のために「震災復興宝くじ」を発売し、広く市民から公的復興財源を集めるというものです。
この施策の最大の利点は、法の改正もしくは新法の制定を必要とせず、手っ取り早く市井から復興財源を集めることができる点にあります。
自民党が現在提案している「災害復興支援税」ですが、例え与野党がその創設に合意したとしても「どこから、どれくらいの比率」で徴収するかという具体的な論議ともなれば、それがスムーズにまとまる事は無いでしょう。池田氏の提案する「電力消費税」に関しても同様です。新税の創設というのは、各党の政治的思惑や既存のステークスホルダーによる反発もあり、それほど簡単なものではないのです。
一方、私の提案する「震災復興宝くじ」の発売にあたっては、主体となる地方公共団体の議会承認と総務大臣による認可さえあれば発売まで至る事が可能です。今必要な復興資金をなるべく早く調達しようとすれば、事務手続き上の問題で多少の混乱はあるかも知れませんが、新しい税制の創設よりは圧倒的に容易かつ迅速に財源確保を行うことができるでしょう。
また、この施策のもうひとつの利点が国民全体の納得感です。谷垣氏の提案する「災害復興支援税」は、おそらく具体的には消費税増税を指しているのだと思います。財政再建派の谷垣氏にとって、消費税増税は長らく取り組んでいる政治テーマでもありますから、ご本人はその提案をするのに最良のタイミングであると考えたのでしょう。
しかし、国民の目から見ると何となく震災に乗じて自らの従来の政治主張を押し込んでいる感が否めなくも在りません。また、震災によって経済停滞が予測される中、消費税増税はさらに市場に冷や水を浴びせるような施策であることは間違いありません。
一方、震災復興支援を目的とした宝くじの発売に関して、反対の立場をとる人間はおそらく殆ど居ないはずです。心とお金の余裕がある人だけが自発的に買えばよいものであり、嫌な人は買わなければ良いだけですからね。あとは「震災復興」という目的を明確に打ち出しながら、その理念に賛同するものをより多く集めるための販促キャンペーンを行えば良いだけ。
タレントが歌って踊るだけの現在の宝くじCMは、ぜひ管総理が全国民に震災復興を呼びかけるCMへと差し替えてください。CMを通して、その財源によって震災被害者がどれだけ救われるのかを訴えてください。「震災復興宝くじ」は、間違いなく宝くじ史上最大の売上を記録する事でしょう。多くの国民が「三億円の大当り」というひと時の夢を手に入れながら、同時に震災被害者のための復興支援となる。
これほど理想的な財源確保の手法があるでしょうか?
(木曽崇 国際カジノ研究所)
コメント
仮に人々が1万円払ったとしましょう。
税金ならば、その1万円はまるまる被災地に届きます。
一方、宝くじならば、幸運な少数の人々だけが5千円を奪い、残りの5千円だけが被災地に届きます。
換言すれば、幸運な少数の人々が震災復興を理由に、金を自分のポケットに入れるわけです。あまりにも理不尽でしょう。
そんなことをするくらいなら、増税の方がよほど筋が通っている。
あなたのようなギャンブル好きの人は、額に汗を流して働くことを考えた方がいい。「損をしないで被災地を救える方法」なんてことを考えず、自分の金を渡すことを考えましょう。
あなたのようなことを考える人は、詐欺のカモになるだけです。そういう発想を世間に広めないでください。ほとんど悪質なデマです。
そういうのは、日本の復興を遅らせるだけです。その一方で、少数の人が、濡れ手で粟となります。
このような宝くじであれば、払い戻し額が低くても文句を言う人が少ないでしょうし、当選者が任意で当選額から募金をしても良いですし素晴らしい取り組みだと思います。
不勉強で申し訳ないのですが、このような復興目的の宝くじでは一般的に、購入額の何割ほどが実際の募金に使われるのでしょうか。
greetree様へ
宝くじで「幸運な少数の人々が震災復興を理由に、金を自分のポケットに入れる」「少数の人が、濡れ手で粟」がそんなに、悪い事ですか。そもそも、復興資金を調達する事を前提にしている訳で、目的は、悪くない。運だけで、大金を得る事に、疑問を感じているかもしれませんが、人生においては、体型、ルックス、親の所得、資産、経済全体の情勢、所属する会社の経営等のように、自分の努力以外の要素が、人生を左右している現実を知らないのですか?
宝くじで、大金を得ることが、良くないという意見は、成功者に対する僻み、嫉妬を偽善的に表しているだけではないか。
税金は、どこにどの様に使われるかがわかりません。宝くじは、収益金の使い道は法律で決められており、地方財源なので一番必要なところに資金が届くという意味では良いと思います。
私は普段宝くじを買わない主義ですが、これなら購入しても良いと思っています。
もし当たったら、これも寄付したいですね。
> 一般的に、購入額の何割ほどが実際の募金に使われるのでしょうか。
5割です。
> 金を自分のポケットに入れる」「少数の人が、濡れ手で粟」がそんなに、悪い事ですか。
それが悪いなんて言っていませんよ。筋が通らないと言っているんです。払う金は1万円でも、その5割しか被災者には届かない。
誰かが金を得することが悪いんじゃない。被災者に行くはずの金を誰かが自分のポケットに入れることが筋が通らないんです。
「被害者のため」という名分で人々から1万円を集め、実質的にはその半分しか渡さないのでは、詐欺に似ています。
あなたの理屈で言うと、「募金しましょう」と言って、募金された金の5割を自分の懐に入れてしまう募金詐欺師も、見事な成功者なんでしょうね。
あなたの仲間はここにいますよ。
→ http://bit.ly/efzwSu
才能で成功した人と、運または詐欺で金儲けした人とを、混同しないでください。才能による成功者を、幸運者 or 詐欺師と混同するなんて、筋が通らない話。
あなたの理屈で言うなら、日本の復興のためには、誰も働く必要はない。人々は朝から晩まで、ギャンブルをしていればいい。幸福な夢ばかり見て、何も働かなければいい。そういうことになりますね。
有毒。あなたの発想が日本の全身に回ると、日本は死にます。
この記事に全面的に同意します。
行動経済学のプロスペクト理論を考慮するとこの復興宝くじの案は正しい。
>>greetreeさん
災害復興支援を目的とした宝くじ(富くじ)は江戸時代からありますよ。半分も払い戻す必要はありません。2割程度で十分でしょう。例えばですが、寄付で200億円集めるのと、宝くじで1000億円集め200億円払い戻し800億円を被災者に送るのとどっちが被災者のためになるでしょうか?
「税金で復興支援」となると「どこから税を取るのか?」という政治的な問題が持ち上がり、政策がまとまるまで時間が掛かるでしょう。払いたい人が払う宝くじの方が遥かに即効性があります。
> 半分も払い戻す必要はありません。2割程度で十分でしょう。
それではもはや寄付に近く、宝くじの意義を逸しており、提案者の趣旨とは大幅に異なってしまいます。
また、経済的に合理的な人は、2割よりは5割の方を買うので、売上げは見込めません。
さらに、宝くじが売れた分、他の宝くじが売れなくなるので、差し引きとしては、たいして効果がありません。仮にどちらも5割なら、1000億円売れても、地方の宝くじの分が 1000億円減れば、差し引きして打ち消されます。純増はゼロとなります。
だいたい、購入者のなかに、あなたは入っているんですか? 「自分は利口だから宝くじは買わない」と思っているだけでしょ? バカの金を吸い上げようという発想は、詐欺師の発想と同じ。「目的が正しければ詐欺は許される」というのと同じ。
たとえ善のためでも、「人々をだまして夢を見させて金を吸い上げよう」という発想はいただけません。善のために詐欺をなそうという発想は、うまい方法に見えても、正しいこととは言えません。
自分は利口だからだまされないぞ、と思っているあなたは、詐欺師の片棒を担いでいることになります。
> 即効性があります。
行動には即効性が必要ですが、財源には即効性は必要ありません。日銀が政府に融資すればいいだけです。経済学のイロハですね。
「また、経済的に合理的な人は、2割よりは5割の方を買うので、売上げは見込めません。
さらに、宝くじが売れた分、他の宝くじが売れなくなるので、差し引きとしては、たいして効果がありません。仮にどちらも5割なら、1000億円売れても、地方の宝くじの分が 1000億円減れば、差し引きして打ち消されます。純増はゼロとなります。」
申し訳ありませんが、この辺り全てgreetreeさんの推測に過ぎませんよね。
災害復興宝くじの歴史は古く世界各国で行われており、少し調べれば判ると思いますが、その効力は証明済みです。根拠のない推論で否定しても意味がありませんよ。推論ではなくデータで示して下さい。
ちなみに、還元率2割程度の災害復興宝くじが発売されたら私は買いますよ。逆に還元率5割の復興宝くじなら「復興」目的にそぐわないので買いません。
まずは日本語力を磨いてください。人の言うことを理解できていないばかりか、自分の言っていることも理解できていませんよ。
> その効力は証明済みです。
効力の有無ではなくて、「善のために悪をなしていいか」という問題です。「効力がある」(善である)ためには悪(だますこと)をなしていいか、という問題。善を兼ねた悪を認めるかという問題。
人の話を全然聞いていませんね。
> 推論ではなくデータで示して下さい。
自分自身で示してもいないのに。2割というのも推測だし、5割でなく2割を買うというのも推測だし、他の分を削減する効果がないというのも推測。
まずは自分の言っている言葉を自分で聞きましょう。
greetreeさんは何より前提が間違っているように思います。
> 仮に人々が1万円払ったとしましょう。
とありますが、そもそも元記事は「如何に速やかにこの一万円を非被災者から引き出すか?」と云う事を主眼にしており、その一手段として現行の宝くじ制度の運用を提案されている訳です。他にもより良い案/良い制度があれば、遠慮無くどんどんご提示頂ければ、と思います。
個人的には、この復興宝くじは例えば6等は被災地の地銀/信金だけで換金化可とし、換金されなかった分は全て義援金に回す、くらいの特例を設けても良いように思います。
宝くじは買いたくない人は買わなくていいのですから、そもそも「だます」と考えること自体がおかしい。
「2割というのも推測だし、5割でなく2割を買うというのも推測だし、他の分を削減する効果がないというのも推測。」
災害復興宝くじは日本でも「阪神・淡路大震災復興宝くじ」や「新潟県中越大震災復興宝くじ」が発売されていますが、それで他の宝くじの売り上げが減ったかと言うとそんなことはなく、影響はありません。
http://www.jla-takarakuji.or.jp/date/date1/01.html
あと私が示した「2割」というのは推測ではなく「例示」です。「5割でなく2割を買う」というのも推測ではなく、「私なら買う」という「表明」です。
あなたの方が日本語を勉強すべきでしょう。正直言ってあなたは議論の相手をする価値がある人間とは思えません。一度データを調べるということをなさったほうがいいかと思います。
いいんじゃないですか。
何故なら、先ず第一に貢献の選択肢が広がるということ。
寄付金をしたい人はしたらいい。これは任意。
税金となると強制になるから、どう財源を確保するかが問題となる。
物事をセンチメンタルに考えては駄目。
先ずは幾ら必要なのか見積もる。
先ずは寄付金。そして宝くじ、借金、足りない分で税金。
> 寄付金。そして宝くじ、借金、足りない分で税金。
あまりにも甘い発想に、げらげら笑ってしまいました。冗談でしょうか? 今の大被災が、そんなに小額で済むわけじゃない。25兆円を一人あたりで割れば、20万円です。
基本は税金で、各人、20万を数年がかりで払う必要があります。当面は借金に頼るとしても、数年間かけて、借金を払う必要があります。当然、各人は、お金の余裕がありません。「1万円ぐらいなら宝くじを買ってもいいな」と思っているところへ、まずは5万円の増税がかかります。家計は貧しくなります。そこへ「一攫千金を狙って2万円の宝くじを買う」「はずれたからまた買う」なんてことを繰り返せば、サラ金に頼ったあげく、家計が破産するかもしれない。
20万円(4人家族で80万円)の増税がかかるということを理解することが大切です。その上で、宝くじを買う余裕があるかどうか、考えるといいでしょう。
>greetreeさん
随分ヒステリックなコメントが続いていますが、お金に余裕のある人が善意で買う復興宝くじの何が不満なのでしょうか。誰が当選しようが幾ら途中のピンハネがあろうが、お金の一部が被災者に行くならアゴラで不満を垂れる貴方よりマシです。
Greetreeさんは、だいぶ興奮されてますね。
年収が20万円しかないのであれば、増税されたら大変ですね。
ただ、日本には、例え増税されても真面目に納税する人がたくさんいて、そういう人が、自分の意思で宝くじを買うことになんの問題があるのかもう少し詳しく教えてもらいたいですね。
少なくとも自分は、寄付金にちょっと自分が得するかもしれない楽しみが加わるなら全然買うし、その後増税されても文句言わないと思いますけど。
おっしゃるような流れでサラ金にはまる人たちには、義務教育で経済観念をよく叩き込む方がいいかと思います。
その他にも25兆円とかいろいろよくわからない数字を上げたりしてますが、もはや破綻した思考のようですので、明朝アタマを冷やしてからご回答いただけるうれしいす。
安易に税金を投入するという発想自体が安易ですね。
先にも言いましたが、寄付は善意であり、強制であってはいけません。
税金を投入することは、遠回りして強制的な寄付という解釈もできます。
厳しいことをいうようですが、資本主義が基本である日本では『個人の財産は、個人で守る』というのが、社会通念上の一般です。
もちろん、日本人は『相互扶助』の精神がとても強いので、地震復興の最終手段として増税しても多くの人が文句を言わないでしょう。
私も文句を言うつもりはありません。
復興宝くじは、お金に余裕のある人が買えばいいんです。
直接寄付するもの復興宝くじ(半分寄付)もの個人の自由なのですから。
どちらも結果的に寄付する行為になり、何が問題になるのでしょうか?
『そこへ「一攫千金を狙って2万円の宝くじを買う」「はずれたからまた買う」なんてことを繰り返せば、サラ金に頼ったあげく、家計が破産するかもしれない。』
なんてこと言ってますが、すでに宝くじは日本全国にあるんですよ。
現在、日本に何種類の宝くじがあるのか知りませんが、1種類増えたところで、家計が破産するのであれば、すでに家計は破産しているでしょう。
仮に、被災地復興には、100のお金が掛かるとします。
寄付で集まったお金が、40(とします)
足りない分を宝くじで、20(を補填します)
さらに足りない分を借金で、20(を補填します)
さらに足りない分を税金で、20(を補填します)
あなたの家計に置き換えてみてください。
※貯金がないことが前提です。
※あなたを思う良き友人がたくさんいることが前提です。
100のお金を必要としてます。
家財を売る。
無期限、無利子で友人から借りる(事実上の寄付)
期限あり、有利子で金融機関から借りる(借金)
上記の選択肢があるにも関わらず、いきなり自己破産はしないはずです。
すごくいいアイデア!
発行されたら絶対買います。
>仮に人々が1万円払ったとしましょう。
税金ならば、その1万円はまるまる被災地に届きます。
この前提がそもそもちょっと違うと思います。
①地震のニュース見て、協力したいと思ってすぐにいくらか義援金を送る。
②そのあと、日常の中でなるべく、売上の何割かを義援金に充てる商品を購入するようにする。
①の段階で国民から集める1万円じゃなくて②の段階で出せる金額を上げる商品、それが震災宝くじなのでは?
もう自分が100%の献身的な気持ちで出せるお金はないのに、無理して出すのは悲壮感が漂うし、日本の景気を停滞させるだけです。
①で無理して10万出して②は買えないまま我慢するより、①では5万出したけど②で15万使う・・・それで消費者も寄付を受ける側も潤うなら、それもアリじゃないですか!
みんながこういう消費パターンをとるかわからないけど、選択肢が多いって大切です!
すでに事例があったようですね。
兆を超える税収は見込めないでしょうが、取り組む意義はありそうです。
読売新聞記事より(3月22日17時22分配信)
片山総務相は22日、東日本巨大地震の被災県・政令市から震災復興宝くじ(復興くじ)の発売申請があれば、「最優先で進めたい」と述べ、速やかに許可する考えを表明した。
発売されれば、阪神大震災、新潟県中越地震に続き3例目となる。今回の震災は被害規模が大きいため発売規模も過去最大となる見通し。全国自治宝くじ事務協議会は、25日に次回協議会を開き、対応を協議する。
阪神大震災では兵庫県と神戸市が計288億円を売り上げ、当せん金や経費を除いた収益金計135億円を震災復興事業に充てた。