海外からのエールとテクノロジーへの感謝 ‐ ピネダさくら

アゴラ編集部

ニューヨーク在住の者です。報道される東北地方太平洋沖地震を、ずっと見ています。次々と流れる衝撃的な映像に、とても心が痛く、ニューヨークから見守ることしかできない自分をもどかしく感じます。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。私事ですが、私も親戚が岩手と仙台におり、連絡が着かずに不安な気持ちで一杯です。安否確認の取れていない方は現在も大勢いらっしゃると思いますが、一刻も早く、家族、友人、同僚とのリユニオンができることを、心よりお祈りしています。


今回の震災で、私は非常にテクノロジーに感謝することとなりました。地震があったことを知ったのは、朝起きて、携帯でメールをチェックした時です。たくさんの友人間のメールには、「大丈夫?怪我していない?」「死ぬかと思った、34階から階段で降りなくてはいけない」といったような会話が書かれていて、(大変だ・・。)と飛び起きました。テレビをつけて、すぐに日本に住む両親に電話をかけようと思ったら、電話は繋がらず、ようやく連絡が取れたのはGmailのチャットででした。又、メールや電話が繋がりにくい中、多くの友人の状況が確認できたのはFacebookやTwitterででした。

現地へ飛んで行き、大切な家族や友人を今すぐにでも抱きしめたいところでしたが、代わりに、せめてもの励ましの言葉をリアルタイムで送れたこと、友人の安否をすぐに確認できたことに対してSNSに非常に感謝しています。アメリカのメディアでは見られない現地の詳細も、NHKやフジテレビのUstream放送実施のお陰で、生放送を海外からでも見ることができ、詳しい状況を入手することができました。昔だったら考えられないテクノロジーの恩恵かと思います。

又、考えさせられたのは、SNSやチャットを使用しているのは、同世代の若者が中心だったので、テクノロジーに疎い高齢の親戚や友人には、テクノロジーは余り威力を発揮しませんでした。高齢者にも、緊急時にこういったコミュニケーションツールに簡単にアクセスできる環境やデバイスを家や避難所などで提供できるようになるといいなと思いました。

地震が起きて、私自身はニューヨークにいるのにも関わらず、普段お世話になっている友人や仕事関係の人から多くの心配と励ましのメッセージを頂きました。人種や宗教に関わらず頂いた暖かい言葉は、なんだか私のところにあるのは場違い(?)なような気がしてならず、被災者の日本の皆さんに届くべきメッセージだと思うので、一部共有させて下さい。ニューヨークにも、日本のことを応援している人がたくさんいます。

“What a tragedy, all the photos and videos are just speechless. Our thoughts go out to all the people affected by this disaster.”–Jina

“I also feel helpless for all the Japanese people who are going through the sufferings. My prayers will be with you and your relatives”– Kaho

“I hope if you have any friends, colleagues and family in the region that they are ok. Let us know if we can do anything.” Ishviene

“This is so hard to believe. We wanted to check in and make sure your colleagues are safe and sound.”– Steve

“Hi Sakura, I hope your colleagues, family and friends are OK. My thoughts are with you. Please let me know how I can help!”—Caitlin

たくさんの暖かいメッセージをもらって、「私は他の国で一大事が起きたときに、同じようにサポーティブでいてあげられていたかな。」と考えさせられました。他の国の天災、戦争、惨事、私たちは日本の国以外の事象にもきちんと目を向けられているでしょうか?日本のメディアも「誰がああいった、こういった、あいつが悪い」という足の引っ張り合いのような報道から、もう一つレベルの高い目線で報道できるメディアに、政治と一緒に腐らない独立したジャーナリズムを目指してもらいたいです。

日本語のニュースサイトでも伝えられているのかと思うのですが、数々の英語メディアは日本の震災や津波に対する準備の良さや、国民の我慢強さ、国難に直面する中で規律正しく生活している日本人を驚きながら評価、賛辞し応援とサポートの言葉を送っています。私自身も、震災直後の夜にすぐに電車が動き始めた事や、列にきちんと並んで資源配給を待っている人々、月曜日から出社している人たちをテレビで見て、なんて日本人は勤勉で責任感があるんだろう、と大変感心し、誇らしく思いました。これがニューヨークだったら、1週間地下鉄が動かなくても、1週間会社に出勤しなくても、誰も驚かない事でしょう。日本にいたら、当たり前のように扱われる価値観や道徳かもしれないですが、こういった文化や価値観がこれから力強く日本の立ち直りを支えてくれると信じています。

( ピネダさくら Nomura Research Institute America,Inc. リサーチャー )