大学は東電に「汚染」されている - 純丘曜彰

2011年03月27日 19:56

総額およそ5億円。これほどの大金が、東京電力から東京大学大学院の工学研究科に寄付口座としてだけでも流れ込んでいる。これは、東大の全86寄付口座の中でも、単独企業としてあまりに突出した金額だ。その内訳は、以下のとおり。

  • 建築環境エネルギー計画学  ・・・  単独で1億4000万円
  • 都市持続再生学  ・・・  14社で1億5600万円
  • ユビキタスパワーネットワーク寄付口座  ・・・  3社で1億5000万円
  • 核燃料サイクル社会工学  ・・・  単独で1億5000円
  • 低炭素社会実現のためのエネルギー工学寄付研究ユニット  
                             ・・・ 単独で1億5000万円
  • 出典 http://www.u-tokyo.ac.jp/res01/pdf/20110301kifu.pdf


    東大だけではない。東工大や慶応義塾大学など、全国のあちこちの大学の大学院に、東京電力は現ナマをばらまいている。これらの東京電力寄付講座の内実は、2002年の長崎大学大学院で暴露された。そもそも東京電力が、自分の管区とはほど遠い長崎大学に手を伸ばしたことからも、手口の異様さがわかるだろう。

    長崎大学医学部は、戦前の官立六医大の一つという伝統を誇り、その大学院医学研究科を2002年4月から医歯薬学総合研究科へと発展させることになった。ここに突然、東京電力が、9000万円で講座を寄付したい、と言い出した。テーマは、低線量放射線の人体影響。そのうえ、その趣意書からして、原発推進とも受け取れる表現が踊っていた。これに対し、当時の学長、池田高良(まさに被曝腫瘍が専門)は、趣意書の書き直しのみで、カネの受け入れを強行しようとした。

    このため、学内外から猛烈な反対論が沸き起こり、夏には混乱の学長選となった。おりしも、東京電力は、福島原発第一のユニット3で炉心隔壁にひび割れがあったにもかかわらず、97年にむりにその交換を行い、2000人近い作業員がかなりの被曝をしていたにもかかわらず、その後も十数年に渡って隠蔽し続けていたことが、ようやく2002年の夏に発覚した。そして、斎藤寛(公害問題が専門)が学長に当選。長崎大学は、9月に臨時教授会を開き、東京電力の寄付講座受け入れを取りやめ、すでに大学側に振り込まれていたカネ全額を東京電力に突き返した。

    1956年に水俣病が発見された際、地元の熊本大学は、ただちに現地調査を行い、有機水銀が原因であることを特定し、チッソに排水停止を求めた。ところが、日本化学工業協会は、東大教授たちに水俣病研究懇談会、通称「田宮委員会」を作らせ、連中が腐った魚を喰ったせいだ、などという腐敗アミン説をでっち上げ、当時のマスコミも、この東大教授たちの権威を悪用した世論操作に乗せられて、その後も被害を拡大し続けてしまった。

    いままた、同じ愚を繰り返すのか。「核燃料70%の損傷」を、燃料棒292本の7割、204本のそれぞれにほんの微細な傷があるだけ、などという、アホな詭弁解説をまともに信じるほど、いまの国民はバカではない。なんにしても、テレビで口を開くなら、まず、東京電力から受け取った黒いカネを、全額、返してからにしろ。

    テレビもテレビだ。公正、中立、客観を旨とする以上、解説を学者に頼むなら、原発賛否両方の学者を公平に呼べ。調べるプロなら、連中のウラ事情ぐらい調べておけ。

    (純丘曜彰教授博士 大阪芸術大学)

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