被災地復興計画を、省エネルギー政策のモデルケースに - 小林紀子

2011年03月28日 07:03

万が一の原発事故がおきてしまった以上、国内外の世論を勘案しても、今後のエネルギー政策は脱原子力&自然エネルギーにシフトすると同時に、エネルギー消費量そのものを削減することが必要だと思われる。そのためには、東北地方の被災地を省エネルギーの街づくりのモデルケース(特区)として復興するのがベストだと考える。


具体的にはまず、被災地に復興特区として、スウェーデンや中国で集合住宅に採用されている無暖房住宅の公営住宅を建設し、住居を失った被災民に提供(有償)することを提案する。無暖房住宅とは、壁を非常に厚くすることによって(15~20cm)、冬に氷点下となる寒冷地でも全く暖房が不要となる断熱性の高い住宅である。東北地方では、冬の光熱費(主に暖房費)のエネルギー消費量が全国でも最も多い。東北地方は下図のように、12~3月の4ヶ月間で、1世帯あたり12万円近くを支出しており、世帯あたり年間灯油使用量は約25GJ(約0.7キロリットル)にのぼる。

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家計調査通信420 号(平成21 年2月15 日発行)より

スウェーデンでは1960年代に建設された公営住宅40万戸を、外側に20cmもの断熱材をはることによって無暖房住宅に改装する政策を進めている。すべて改修されれば、スウェーデン国内のすべての石炭発電所を閉鎖できるそうだ。
参考ウェブサイト

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無暖房住宅が実現すれば、上図の世帯あたり光熱費のうち、少なくとも灯油の4万円と電気代の一部を節約できる。建設コスト増加分は、入居者の賃料に省エネ分を上乗せして回収する。節約分の灯油使用量を火力発電にまわせば、CO2排出量を増やさずに原子力発電を減らすことが可能である。

次に、復興特区では自家用車を全く使わなくても生活できるよう、バスを中心とする公共交通計画を整備してから、このような住宅を配置する。ブラジルのクリティバ市は、主要道路をバス専用道路とした車不要の環境都市で有名だが、これにならい、復興特区は車を使わずに買い物も病院通いも、通学・通勤もできるようにするのだ。そうすれば、ガソリン使用量を激減させると同時に、高齢者にも子育て世代にも優しい街となり、被災者以外の(他県からの)住民をもひきつけるだろう。

最後に、海岸地域に風レンズ方式で効率を高めた風力発電(ないし、浮体式洋上発電)を建設し、暖房を除く電力需要を補う。風レンズ方式を採用すれば、通常の風力発電の2~5倍の発電量となると試算されている。また、被災地に多数散乱している木片をチップに加工し、関東以北のバイオマス発電所に処理を依頼するのも有効だろう。

上記3つの施策により、東北被災地を脱原発・省エネ型エネルギー政策のモデルケースとすることが望まれる。

(小林紀子 フェアトレード・フォー・ユース(株)代表)

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