3.11,霧の中のエネルギー政策

2011年04月06日 14:33

震災から既に1ヶ月が過ぎようとするのに、日本のエネルギー政策が全く見えて来ない。政府は脳死状態に陥っているのであろうか?一体何が難しいと言うのだ?

原発の技術評価や、経済評価は大事な話である。当然、議論を尽くすべきと思う。

しかしながら、連日連夜、福島原発の事故の様子、経緯や難儀する避難民の実態が放送された結果、国民感情としては原発の必要性は認めるものの、住民として新規原発の建設を受け入れる可能性はほぼゼロではないのか?

そうであれば、政府としては原発の可能性は残しつつも、新規建設が不可能である事を前提に新たな計画立案に着手すべきではないだろうか?

Foreign Affairsには既に幾つかの参考になる記事が掲載されている。

地震とツナミが引き起こした福島原発危機は、放射能汚染問題だけでなく、日本のエネルギー生産も危機にさらしている。「奪われた電力生産能力をどのエネルギー資源を用いて補っていくのか」という短期的問題に加えて、中・長期的には原子力発電の安全性と再生可能エネルギーへのシフトに向けた政治決断も問われる。短期的なエネルギー代替生産の候補としては、LNG(液化天然ガス)および石油資源が有力だが、中東混乱のルーツを考えると、原油価格は(またそれに連動してLNG価格も)当面、高価格が続くと考えられる。一方、再生可能エネルギーの現状における生産価格は石油やLNGよりもはるかに高い。日本が、資源からみた電力生産の比率、つまり、「エネルギーミックス」を長期的にどのように変化させていくかは、単に電力生産に留まらず、高齢社会対策、債務問題対策同様に、災害復興後の日本の経済と国際社会での地位を左右する非常に高度な政治的選択になる。(FAJ編集部)

第3の石油ショックか
―― 中東の政治的混乱と原油価格高騰
(2011年4月号)
エドワード・モース/元国務副次官補(国際エネルギー担当)
 現在の政治的混乱を引き起こしている中東・北アフリカ諸国の国内社会要因が2011年中に解決され、消失していくことはあり得ない。この地域の産油諸国で、石油を離れて経済を多角化できる国は一つもないだろう。
 ほぼすべての産油国が、民衆に物資的な豊かさを与えようと、ガソリン、ディーゼル燃料その他へ補助金を付けて安価に提供しており、その結果、産油国国内での石油消費が急激に上昇している。安価にエネルギー資源を提供することは、政府への支持を維持していく上ではきわめて重要で、国内価格を急激に引き上げることはできない。
・・・その結果、中東石油に依存する消費国は厄介な先行き見込みに直面している。現在の政治的混乱による短期的な供給の乱れだけでなく、産油国の国内消費の増大による長期的な供給の乱れを織り込まざるを得なくなっているからだ。

http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201103/Morse

以前紹介の通り、総エネルギーの内、石油が50%を占め、石油供給の90%を地政学的リスクが積み増す中東に依存する日本は、オイルショックに対し更に脆弱である。

外交と言うソフトパワーを使って産油国との絆を深めるとか、複眼的思考が要求される。無論、菅政権では不可能であり、政治の刷新こそがエネルギー政策立案のマストかも知れない。

日本の原発危機の教訓
――世界は原子力から離脱すべきか、いなか
(2011年3月)
 世界が原子力による電力の生産と使用と現状レベルで凍結し、これ以上の増産をしなくなればどうなるか。そのギャップを埋めるために、2035年までに再生可能エネルギーの生産を倍増しなければならない。今後、世界が原子力による電力生産を完全に断念すれば、再生可能エネルギーの生産量を3倍に増やさなければならない。
 そうしたかつてないレベルへと再生可能エネルギーを増産していくには、多岐にわたる技術をうまく利用しなければならなくなるが、問題は、その多くが予見できる将来にわたって経済性に乏しく、高コストであることだ。
 ギャップの一部を埋めることに貢献できる再生可能エネルギーのなかでは、内陸部での風力エネルギーがもっとも経済性が高く、メガワット時で83ドル。これらに対して同じくメガワット時で石炭は70ドル、天然ガスは60ドルだ。だがソーラーエネルギーは、これらの3~4倍のメガワット時224ドルがかかる。

http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201104/Nuclear_Dilemma

日本は京都議定書に於ける議長国であり、原発が空けた穴を石油、石炭、LNG等の化石燃料への回帰で補う事は政治的に困難である。

この場合、必ず議論の俎上に上がる再生可能エネルギーによる解決はもし可能なら素晴らしい話である。

惜しむらくは価格がまるで合わない。矢張り、再生可能エネルギーを中核とするエネルギー政策とは、所詮見果てぬ夢なのではないか?

政府がエネルギー政策を国民に提示出来ないのであれば、せめてこういう形ででも、一つ一つ丁寧に得失分析、評価を行い、国民参加の下、議論を深めていくべきではないだろうか?

山口 巌

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