多くの外国人が日本の地震、原発事故から逃げて戻ってきません。
その理由は、地震による余震の恐怖より原発事故の的確な情報が得られないからでしょう。
特に在留外国人向けの的確な情報が英語で流されなかったことが、パニックになった大きな理由であると、タレントのダニエル・カール氏はNHKの番組で語っていました。
実は、私も時間がある限り見ていたCNNのインターネット放送でも、日本人の原発専門家による海外向け発信は、数は少なく、最初に見たのは、3月16日のこの放送でした。
たどたどしい英語のやりとりで話し、その時はあまりに原発にあまり詳くない人か、あるいは英語が苦手な学者クラスが無理やり話しているくらいしか認識しませんでした。ところが、2週間後に再度この放送を聞き、調べてみると、回答者は、外務省キャリアの首席事務官で、日本を代表する政府のスポークスマンとして、世界に発信していたことに気付きました。
数少ない日本人が英語で直接回答する場面ですから、非難するつもりはありませんが、問題はその内容です。
キャスターの質問に的確に回答しているとは、とても思えません。
原子炉を制御できない時ですから、政府の対応については、よくわからない返事だし、このままでは、浮足立ち、事故処理もおぼつかない。キャスターもいら立っているように、聞きたい情報は得られずに、このまま日本にいては、大きな危害が及びそうだと、不満を持った外国人が多かったのではないでしょうか。
在任期間も長く日本語が流ちょうな外人でも、放射能汚染についての日本語ニュースを聞いても、半分もわからない、という混乱の中にあったとダニエル氏が指摘していますが、日本の情報発信もCNNの中で、私が見る限り、CNNの日系人キャスターが福島県内の肉親と無事であることを確認しあうニュースくらいで、日本人による外国語発信がなく、現地情報が大きく不足していたこと、さらに政府の対応力不足が際立っていたと見るべきでしょう。そして、結果オーライですが、「頼りない日本だからこそ」米軍の早期の本格的支援につながったと思います。
そして、原発事故処理の早期解決につながればと思います。
・日本人の英語発信が注目される
これまで、守らなければならない政府や地方自治体による、外国語発信が少ないと思われましたが、災害被害者が自らメディアで発信さたことが注目されました。
一方で、国が頼りにならないと見極めた危機的な状況でなされた南相馬市の桜井市長のyoutubeによる訴えがは、東北人と思われるぼくとつな口調で、世界に感動を与えたと思います。今後、日本人による生の言葉による情報発信がさらに望まれるでしょう。
(鈴木和夫 ジャーナリスト)
参考:
CNNによる日本人の英語説明
コメント
これはよくわかりますわ。
私も外国人たちがどんどん逃げ出しているというニュースを聞いて当然だと思いましたよ。だって、こんな非常時に、日本語が相当できる人でないと事態の推移を把握できないでしょうし、いざという時に適切な判断をするのは難しいだろうという不安にかられるのは当然のことでしょうから。
日本人の私たちですらニュースを見て事態を把握するのに苦労するような状況ですからね。
そのこと自体は驚くようなことではなくて、むしろ当然のことなのですが、私が驚いたのは、この記事にあるような認識を多くの人(特に報道関係者や政府関係者)が持っていないような様子だったことです。この点には私は非常に不安を抱きました。
しかし、それにしても、マスコミや外務省の中枢にいる人たちが英語でバンバンと説得力をもって情報発信できないような状態で、いったいこの国は危機管理なんてできるんでしょうか? というより、危機管理をする気があるんでしょうか? 大いに疑問です。