なぜ有効需要は重要か 需要、社会資本、経済成長

2011年04月23日 12:42

有効需要が重要なのは、それが有意義な仕事(job)をもたらし、その仕事は社会資本の蓄積につながり、社会資本の蓄積が本質的な経済成長をもたらすからだ。

福島が風評被害(消費者の愚挙反応)により、農作物が売れなくなった。その分、西日本の野菜が売れたわけではなく、消費者は野菜を福島分だけ食べなくなったとする。そして福島に国が得られたはずの所得分を現金で補償したとしよう。この補償は今後10年分の農業所得に関するもので、毎年払われるとする。このとき、国が国民が誰も知らない秘蔵のブルーダイヤモンドを1兆円分売って、その財源を入手したとする。このとき経済はどうなるか。


10年で福島県の経済は壊滅的な打撃を受けるだろう。

なぜか。

需要が失われたことにより、社会資本が失われ、10年後に農業を再開しようとしても、人的資本、生産システムとしての資本、流通を含めた資本、そして社会が活動を続けていたことにより蓄積されていたはずの社会資本が存在せず、福島には経済的活動力が存在しなくなっているだろう。この結果、経済成長は止まり、衰退をしていくことになる。

これが今まで経済理論が理論化してこなかった、経済成長、あるいは社会の成長メカニズムだ。

だから今福島に一番必要なのは仕事であり、日本経済においても世界経済においても必要なのは、所得ではなく、有効需要を伴った仕事なのである。

ここでの有効需要には、穴を掘って埋める仕事は入らない。政府が無理に作り上げたその場しのぎの所得移転の代わりのような仕事は入らない。

農業を減反で殺して、代わりに所得保障と公共事業による単純労働をばら撒いても、経済は衰退し続ける。所得水準が維持できても、将来の経済は維持できない。経営者、あるいはエリートサラリーマンとしての農業をすることが必要なのである。

中東の若年労働者層の失業問題も同じだ。原油があればすむわけではない。仕事が必要なのである。

その意味で、中東革命と原発事故とは同じ問題を抱えているのであり、それらが、これからの経済理論を作り上げるという意味で、現在の世界経済および日本経済はリーマンショックよりも大きな問題を経済理論に投げかけているのである。

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