有効需要が重要なのは、それが有意義な仕事(job)をもたらし、その仕事は社会資本の蓄積につながり、社会資本の蓄積が本質的な経済成長をもたらすからだ。
福島が風評被害(消費者の愚挙反応)により、農作物が売れなくなった。その分、西日本の野菜が売れたわけではなく、消費者は野菜を福島分だけ食べなくなったとする。そして福島に国が得られたはずの所得分を現金で補償したとしよう。この補償は今後10年分の農業所得に関するもので、毎年払われるとする。このとき、国が国民が誰も知らない秘蔵のブルーダイヤモンドを1兆円分売って、その財源を入手したとする。このとき経済はどうなるか。
10年で福島県の経済は壊滅的な打撃を受けるだろう。
なぜか。
需要が失われたことにより、社会資本が失われ、10年後に農業を再開しようとしても、人的資本、生産システムとしての資本、流通を含めた資本、そして社会が活動を続けていたことにより蓄積されていたはずの社会資本が存在せず、福島には経済的活動力が存在しなくなっているだろう。この結果、経済成長は止まり、衰退をしていくことになる。
これが今まで経済理論が理論化してこなかった、経済成長、あるいは社会の成長メカニズムだ。
だから今福島に一番必要なのは仕事であり、日本経済においても世界経済においても必要なのは、所得ではなく、有効需要を伴った仕事なのである。
ここでの有効需要には、穴を掘って埋める仕事は入らない。政府が無理に作り上げたその場しのぎの所得移転の代わりのような仕事は入らない。
農業を減反で殺して、代わりに所得保障と公共事業による単純労働をばら撒いても、経済は衰退し続ける。所得水準が維持できても、将来の経済は維持できない。経営者、あるいはエリートサラリーマンとしての農業をすることが必要なのである。
中東の若年労働者層の失業問題も同じだ。原油があればすむわけではない。仕事が必要なのである。
その意味で、中東革命と原発事故とは同じ問題を抱えているのであり、それらが、これからの経済理論を作り上げるという意味で、現在の世界経済および日本経済はリーマンショックよりも大きな問題を経済理論に投げかけているのである。
コメント
福島県の県内総生産は平成20年で7兆6669億円、そのうち農業を含む第一次産業はわずか1558億円ですよ。農業がなくなれば壊滅的打撃を受けるというのは誇張し過ぎではないでしょうか。農業の比重は全国平均の倍くらいですから福島県につぎ込まれる国と県の農業関係の税金は年1000億円を越えるのではないでしょうか。農業の担い手も殆どが65歳以上です。農業がなくなっても殆どの農家が年金で生活できるのでは?長い目でみれば福島の農家がなくなれば非効率な農業予算を減らせるので日本の経済的損失にはならないでしょう。TPP加入障害も少しは減りますし悪いことばかりではないでしょう。それよりも福島県知事は県内から原発を無くすと言ってます。こちらの方がよっぽど県の経済に打撃ではありませんか。
震災がなくても、福島の野菜はTPPで潰されたのでは?
世界全体で、「穴を掘って埋める仕事ではない有効需要」はきわめて少なくてよくなり、極少数のクリエイティブジョブと比較的少数の、超低賃金低熟練でよいマックジョブだけで、世界の全需要の何倍もの供給が可能になって、しまったのでは?
世界全体で、いい仕事それ自体が、スイートオイルと同じくピークを迎え、急激に減少しているのでは?
そうだとしたら、世界にとって本当に必要な人間がごくわずかなら、残りはどうすべきでしょう。
>これが今まで経済理論が理論化してこなかった、経済成長、あるいは社会の成長メカニズムだ。
これは、ちょっと、、、、経済学者に鼻で笑われるんじゃないですか?モリタクあたりは賛同するかもしれないけど。。。
車輪の再発明にしてもちょっと、、、、。
妄想はどうでもいいよ。
暇な理論もどうでもいい。
そもそもこの人の言うとおりだったら世の中に新しい土地への開拓なんてありえなくなるし。
それに福島県民全員が広い福島県から居なくなるのか?
そんな訳もあるまいし、人がいれば農作物だって食べるだろ。
福島みたいな土地のある場所は半自給自足みたいな人達も多い。
年金生活者も多いだろう。
なんにせよ、どうしたら良いのかの具体的な提案を少しでもしてみたらどうだろうか。
こういう表面的な理屈ばかりなのが、政府の復興会議にも多いのだろか。
そしたら納得だな。
普段から机上の妄想的な人って、妄想の質もリアルからかけ離れているからほんと役に立たないな。
今回の震災は、被災地の方々始め、震災前の生活が維持できないと言う意味では、日本人全体のこの国に生まれた命題であると私は思っています。
今、日本の農業は高齢化し衰退しつつあります。海外に依存するのにもいずれ限界がくるはずです。更に輸入に頼っていると為替の関係でリスクが高まります。
すでに小麦の輸入価格も上がっていますんで、今の便利な食生活が維持できなきなると思っていますんで、この夏は自宅の庭で試しにナスでも作ってみようかなと思っています。
福島県の農業問題の解決方法は口に入れる作物を作らないこと。
花卉、観葉植物、盆栽、植木、材木、パルプ材、バイオ燃料に集中すればよいでしょう。日本の花卉の生産金額は米(コメ)を越えてます。
それより、 福島の避難民がダンボールの上で寝なきゃいけないという記事がありました。 飛行機便がキャンセルされて代替便がなければ、 乗客は無料でホテルに泊まれるのに。 今、福島には空いた宿泊施設はたくさんあるだろうに。
要は需要がなければ需要に応える供給能力は維持できず、一旦失われた供給能力は簡単に回復できない。ばら撒きにはこの「有意義な供給能力」を維持する機能はない。だから需要が大事、という当たり前のお話と理解しましたが、反発されているコメントが多いのは私の理解がおかしいんでしょうか。