あまりにもひどい東電バッシング - 高宮 滋

2011年04月25日 13:43

今回の原発事故の原因が千年に一度の大津波であることを考えるとなぜこれほどまでに東京電力が一方的に攻撃されなければならないのか理解に苦しむ。

そもそも原発の建設にあたっては電力会社は国に対して設置許可,工事認可,官庁立会検査などによって重要な設計諸元を提出し,国の認可を受けて建設,運転しているのである。従って,それらの審査に合格している以上,その審査で合格の判定がなされた条件に関して,その条件を超える異常事態が出現したことによる事故に対しては,原則として免責とされるのが筋だと思う。
従って,今回の事故は明らかに異常に巨大な天災によるものであり,引当金以上の賠償を東電に要求するのはどうしても納得がゆかない。政府は監督官庁の責任を棚に上げて,第一義的に東電が賠償の責任を負うなどとしているが,全く無責任,非誠実だと思う。地元住民が東電に対して怒りの感情をもつことは理解できるが,法的な責任論議はそれとは無関係に行われるべきだと思う。


阪神大震災のとき,高速道路が寸断される事態が発生したが,国土交通省は賠償など行ったのか。自分たちがしなかったような賠償を民間会社である東電には事実上強制的にさせるのか。政府は現実の福島第一の設計は自らが承認したものであるという事実を隠し(少なくとも積極的に明らかにはしようとしていない),世論が東電に厳しいという状況に卑怯に便乗している。
やはり,立派に国の検査に合格している他の原発の運転再開も認めず,賠償範囲の線引きも勝手に行って,ツケだけを東電に回すような政府の対応は悪質そのものだと思うし,このような当たり前のことを指摘するメディアが1つもないということも,日本のメディアのレベルの低さを表すものである。
ただし,原発の耐震性,耐津波性の見直しはもちろんしなければならない。それは2011年3月11日以後は,現行の設計基準は不十分であることが明らかになったからである。3月10日以前は,不備を指摘する人がいたとしても,公式には建設時の設計基準が認められていたのであり,その基準を満たしていた原発の電力会社の責任追及を今なされているように行うと言うことはどう考えても行き過ぎである。
(高宮 滋)

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