こんな状況でソーラーに莫大な補助金を注ぎ込んでいる場合か!

2011年06月15日 23:14

菅直人首相は昨日の参院東日本大震災復興特別委員会で、太陽光など自然エネルギーによる電力の全量買い取り制度に関する法案の今国会での成立に強い意欲を示した。筆者は、このニュースを聞いたときに、改めてこの国の政治というものに絶望した。兆単位になるといわれている福島第一原発事故の賠償、そして全国的に広がる反原発感情の中で、定期点検中の原発の再稼働にことごとく失敗している。このために原発を代替する化石燃料の追加購入費が年間3兆円ほどになるという。この日本のどうしようもない電気料金の上昇圧力をどのように押さえるか、というのは極めて緊急を要する課題である。今のような状況で、数十年後にひょっとしたら上手くいくかもしれない、という夢のような話に莫大な補助金を投入して、さらに電気代を上げるつもりなのだろうか?


筆者がさらに怒りを覚えるのは、福島第一原発の事故が未だに全く収束していないにも関わらず、菅内閣がこのような、ある意味で全く緊急性のないことに対して税金を投入しようとしていることである。今すぐにやらなければいけないこと、それゆえ有限で貴重な血税を優先的に投入しなければいけないことは、避難を余儀なくされている福島県の住民が一日でも早く元の生活に戻れるように出来うる限りのことをすることである。そのために除染作業が必要になる。福島県の学校が自主的に校庭の表土を削った結果、放射線量が大幅に低下した。除染といっても、地表に積もっている微量の放射性セシウム137を取り除き、それをどこかの廃棄物処分場に保管しておくだけであり、やることは単純である。しかしそのための作業員の確保と放射能を含む表土を保管する場所の確保が必要である。また作業員の被曝をモニターし安全を確保するためのプロセスも考えなければいけない。しかし基本的にはマンパワーの問題であり、金さえあればできる話である。ソーラーに兆単位の税金をつぎ込む前に、福島の除染作業こそ完遂するべきであろう。

また全国の原発の安全対策としてさかんに津波や地震対策が騒がれているが、筆者の意見ではそれらの優先度は必ずしも高くない。原発の安全性に関して喫緊の課題は、行き先がなく全国の原子炉建屋の中に大量に貯めこまれている使用済み核燃料を可及的速やかに処理することである。福島第一原発の事故を思い出して欲しい。地震発生後、原子炉の安全装置は正常に稼動し全て臨界停止した。その後、全電源消失により、原子炉、原子炉建屋の中のプールに貯めこまれていた使用済み核燃料が熱暴走し、その時に発生した水素気体に引火し、なんと1号機から4号機まで全てが爆発してしまった。そして放射能を外部に漏らしたのである。この時、4号機は定期点検中で原子炉の中には全く核燃料が充填されていなかった。それにも関わらず、行き場のない使用済み核燃料を「一時的に」保管してあるプールの水の循環が止まり、このようなシビア・アクシデントを招いているのである。

なるほど確かに動いている原子炉を止めることは、政治的には大変すばらしいパフォーマンスかもしれないが、それによって原発の安全性が確保されたかといえば、全くそんなことはないのである。それどころか、安全性が上がらないまま、原発のランニングコストを垂れ流し、日本中を電力不安に落とし入れ、日本経済を奈落の底に突き落とそうとしている。これが国民に選ばれた政治家のやることか。ソーラーなどに莫大な税金を投入する余裕があるのなら、一刻も早く使用済み核燃料の処理施設を何とかするべきである。日本での処理がむずかしいなら、ロシアや中国、モンゴルなど、不毛の土地が余っており原子力を国策として推進している国とビジネスをして処理してもらえばいいだろう

日本国民は、菅内閣によるソーラー・ビジネスへの補助金投入には断固として反対しなければいけない。今、やるべきことはそんなことではないのだから。

参考資料
ニュークリア・ショックが関西経済圏を襲う、金融日記
再生可能エネルギーの限界と日本のエネルギー政策の今後、アゴラ

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