野田首相、早くも減点。“政治下手”の馬脚を現す - 田下 光

2011年09月10日 17:27

首相、台風12号の被災地視察をそそくさと切り上げ

野田首相が先日の台風で多大な被害を被った那智勝浦町のお見舞いを10分程度で切り上げたそうです。それを被災地の方は不満に感じておられるとか。

野田首相、台風12号の被災地を視察

ブッシュ前アメリカ大統領も、ハリケーン『カトリーナ』への対応で下手を打って支持率を大きく落としていましたね。我が国でも、枝野前官房長官が原発周辺の視察をすぐに切り上げて、大ひんしゅくを買ってしまったのが記憶に新しいところです。なんだか、経済とか外交とか安全保障とかいった、国家レベルのでっかい難題を抱えている国の指導者とか政治家は、「被災地の視察」を軽視して後回しにする傾向がありますよね。


今、視察よりもプライオリティの高い首相の仕事って、あるの?

被災地からさっさと出ていく政治家の対応は、「気の毒だから一応お前らのことを見に来たけど、俺には他にもっとやるべき大切な事があるんだよ。そこんとこ、わかってね」というメッセージを、内外で受け止められかねません。たしかに「他に仕事がある」「忙しい」というのはその通りでしょう。一国の首相たるもの、被災地の人心を落ち着けることばかりに気を砕いているわけには行きませんものね。

それでも、もう少し滞在時間を長くすべきだったと僕は思うのです。

野田首相がやらなければならないことは一にも二にも増税(の道筋をつけること)です。政府としては、復興増税をしたい(そこを橋頭堡に恒久的な増税にまで踏み込みたい)。それなのに、政府の長たる首相が「他にもたくさん仕事はある」的に被災地の視察をおざなりにして、復興のプライオリティを下げて見せるのは、復興税の重要性を国民に理解させるのにはまったくもってマイナスです。

地震にせよ、津波にせよ、洪水にせよ、地滑りにせよ、災害の被害にあった地域の復興を、国家が増税を行なってまでやる価値または必要姓があるということを、首相はどうやって国民に納得してもらうつもりなんでしょうか。

被災地の視察は単なるアリバイ作りではなく、復興のための増税を国民に納得させコンセンサスを取り付けるための「儀式」として、高い意識を持って望むべきです。もしや本気で「財政危機」の路線から斬り込んでいくつもりだとしたら、政治家としてのセンスはゼロだなと思います。

まあ、政府としては、たとえ国民を納得させられなくてもとにかく増税はするという既定路線なんでしょうね。しかし、そんなふうに、国民のあいだでの合意形成をすっ飛ばして政策を実行してきたことが、小泉純一郎以外の首相が不人気だった理由ではないでしょうか。理解が得られない政策の理解を得るための宣伝の重要性を、小泉以降の政治家は過小評価しすぎています。

復興税の仕組みをどうするかとか、党内の調整をどうするかとか、野党との調整をどうするかとか、他にも円高だとかロシアの挑発的行為の対応だとか、他にもいろいろと片付けるべき問題はあるのでしょう。しかし、本来、行政府のトップたる首相が最も影響力を発揮できるのは「国民に対する訴えかけ」の部分でありましょう。

増税に対する党内・国会内での利害対立をまとめることよりも、野田首相は何よりもまず「国民に対して語りかける」ということに注力すべきであったと僕は思います。

首相は首相の立場を存分に利用して、首相にしかできないこと、首相こそが一番効果的に行えることに注力すべきです。
(田下 光 フリーライター)

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