除染という「偽薬」は自己負担で

2011年10月25日 12:19

kashiwa放射線についての過剰報道は止まらない。ワイドショーはきのう柏市で見つかった毎時57.5μSvで盛り上がったようだ。単純に計算すると年間503mSvだが、それは問題の空き地にずっと住み続けた場合だ。現実的なリスクは放射線量×時間で決まるので、子供が毎週1時間この空き地で遊んだとしても年間3mSv。しかもこの57.5μSvはピーク値で、周辺では毎時0.5μSv程度だという。

問題はこのように局地的な「ホットスポット」ではなく、持続的に受ける累積線量だが、文科省の航空機モニタリングによれば、柏の線量は図(クリックで拡大)のように毎時0.2~0.5μSv。この平均値0.35μSvを毎日受けるとしても年間3mSvで、自然放射線量の世界平均(2.4mSv)ぐらいだ。


柏市は全域で放射線の測定と除染を行なうそうだが、測定はともかく除染は自治体がアドホックに行なうべきではない。過剰な除染の前例ができると「うちもやってくれ」という陳情が全国で出てきて、収拾がつかなくなる。環境省の出している「追加線量1mSv/年」という基準も過大で、まともにやったら数十兆円が浪費される。

もっとも「いくら影響がないといわれても心配だ」という人は多いだろう。そういう人に「心配するな」と言ってもしょうがないから、「安心」を求める人は自分で除染すればいい。私のブログに出てくるAdSenseを見ても、そういう業者はたくさん出ているようだ。これはバズビー博士のカルシウム・サプリメントのような偽薬(プラシーボ)だが、それによって安心するなら悪くないだろう。

ただし行政が偽薬にコストをかけることは正当化できない。発電所のまわりなど特別に線量の高い場所を除いて、除染は自己負担とすべきである。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑