戦術を変えたらどうか、東京オリンピック選考 --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

2020年のオリンピック誘致で東京が第一次選考に残りました。

第一次選考はイスタンブール、マドリッド、バグー、ドーハ、東京でした。ローマは途中で止めたようです。私の昨年12月のブログでの予想はヨーロッパ2都市(含むローマ)はない、また、バグーとドーハはピンと来ない、とコメントしていました。ほぼ、想定どおり、イスタンブール、マドリッド、東京となりました。

さて、決選投票は2013年9月。

私の予想は昨年12月の予想と変わりません。イスタンブールが本命。僅差の対抗が東京でマドリッドの目はないと見ています。


オリンピックは開発途上から経済拡大期に入る国や都市で行うことでインフラなどの整備が促進され都市開発上、非常に大きな支えとなります。逆説的に言えばオリンピックはスポーツの祭典という名の下の経済復興イベントであるといえます。同じことは万博でも言えます。

かといってそういう都市ばかり選んでいてはなかなか、変化に富まず、面白くありません。そこで時たま成熟した大都市を入れる、ということもあります。ロンドンなどがよい例です。基本的に地球儀ベースで不動産デベロッパーが手のついていない開発地を探し、資金のつく=メディアスポンサーがつく場所を選ぶという発想に切り替えてしまえば答えは割り出しやすいものです。

直近のシドニー、アテネ、北京、2016年のリオはまさにそのツボを押さえている感じがいたします。

地球規模で考えれば夏のオリンピックが開催されていない地域は東南アジア、南アジア、中東、アフリカを残すのみとなっています。今回、ドーハが選考から落ちたのは気温の関係ではないかと思います。夏のオリンピックを開催するのに一定のGDPがあり、経済成長が加速途上にあり、気象条件的に受け入れやすいとなるとそれら残された地域というのは確かにハードルが高いような気がいたします。

その中でイスタンブールというのは東西文化の接点であり、歴史があり、中東にも近く、不動産デベロッパーの目からすればどうしてもはずせない魅力ある開催候補地に思えます。トルコ経済も順調に発展しており、現段階では申し分ないと思われます。但し、国情不安感が残りますのでこれだけが今後、どう展開するか、注意深くみ続けなくてはいけないと思います。

一方、東京ですが、IOCからしてみればメリットもあると思います。アジアでの直近の開催地だった北京から12年経つこと、東京(=日本)の経済が今一つパッとしないこと、震災復興というアピールが可能であること(例えば一部開催地やイベントを福島県や宮城県に持ってくることはできないでしょうか?)が上げられます。東京のインフラはほとんど整備済みですからオリンピック開催決定に伴うハコモノ建設はさほど巨額にならない気がいたします。

むしろ、窮屈なイメージのある東京をどう、改善していくかということが私からすれば重要なアピールポイントになる気がいたします。

東京が最終候補地になる余地は大いにあると思います。それはプレゼンテーションの視点を変えてみる必要がありそうです。既に2016年の立候補の時、私の予想通り敗北しましたし、今回も地の利はイスタンブールにあるわけですからそれ以上の魅力をどう見せていくか、これが誘致へのキーになると考えております。

私が選考委員ならば東京で開催することで日本、ないし世界の代表的都市、東京がどう変貌し、どう活力が生まれるか、そして日本の抱える諸問題解決にどれだけ役立つのか、というアピールが欲しいと思います。その中で都民、ないし、国民の盛り上がりにイマイチ欠けるという現状はあまりいただけない評のような気がいたします。

今日はこのぐらいにしておきましょうか?


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年5月25日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。