農作物に必要なLED光源波長の解明を急げ --- 寺田 佳司

アゴラ編集部

本年度で白熱灯の生産が中止されることにより、電照栽培での農作物の光源に白熱灯の代わりとして、LEDライトが有望視されている。しかし、導入が進んでいるとの話は聞かず、家庭用と比較しても格段に導入が遅れている。

遅れている理由を検証すると、まっ先にどの波長が必要なのかが理解されていない所に大きな問題があり、これは光の世界をイメージできないところに起因していると考えられる。


白熱灯での栽培から単波長光源での栽培となると、照射される特定の光の量が格段に多くなる。その中で効果のある波長と効果のない波長が仕分けされるのは、植物の波長に対する対応です。

あまりに頼りない光であっても、植物には十分すぎる光の量であり、逆に成育障害を起こしているケースも見受けられる。これを正しく評価できないと、この光は効果のない光だと判断される。

何も知らない純粋に先入観のない状態で考えれば、花芽抑制に効果のある波長は660nmの赤色。

しかし各地の試験場などのレポートを見ると、630nmの赤色が効果があると評価されている。さらに実験内容を見直せば、単波長の光源なのに白熱灯にも劣る効果と評価されている。

白熱灯より劣るとは、効果のある成分が少ない結果であり、それは間違えた波長と判断できる。自分のところで共に研究しながらも、この矛盾に気づいていない公的機関は何をやっているのだろうか? これはひとえに、農業の進歩を止めているとしか評価が出来ない。

机上の空論だとか、研究室と現場は違うとの意見は聞いたが、学問的に順を追って物事を検証すればなぜその結果が出たかを説明でき、防ぐ方法も説明できる。

間違えているなら指摘して欲しいが、花芽抑制は間違いなく660nmを中心とした波長が正解で、あまりに過剰にこの光を当てると矮化が発生する。

白熱灯での栽培方法が基準で、同じ栽培方法で考え試験しているところに問題があり、単波長の光源を利用した場合の、栽培方法を論理的に考え、生産者に指導すべきではないでしょうか。

それか、白熱灯と同じ効果が出せるように、あえて特出した波長を選択するのでなく、疑似白色のLEDライトの中に、少量の660nmの波長を出すLEDチップを組み込んだライトを開発する。

あえて効率でなく、生産者のことを考え、同じ作業で同じ効果が出るようなLED照明を開発する考えが望まれているスタイルかも知れませんが、このままどうなるのでしょうか?

寺田 佳司
有限会社クール代表取締役