「ニート化農業」の追放と正直者復権の起爆剤、TPP交渉参加

2013年02月16日 01:31

TPPは農業だけの問題ではないが、今回は農業、特に「米農家」に関して記述してみたい。

自民党は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する」事を決定したと言うが、関税障壁が農業の自立に何の役にも立たない事は、過保護が「ニート」の自立に役立たない事と同様意味がない。


そのニート(若年無業者)に就いて、小沢一郎氏はこんな発言をした事がある。

「本人たちは『誰の迷惑にもなっていない』と言うかもしれないが、親の稼ぎで食わしてもらっているうえ、国民全体で支える公共的サービスは享受している。 彼ら自身も問題だが、最も責任が重いのは厳しいシツケもせずに、ただ甘やかせている親たち。どうかしている。親自身が自立していないから、子供がまともに育たないのである。僕は自宅で小鳥を飼っているが、親鳥はヒナが大きくなるまでは一生懸命に世話をするが、一定の時期がくると冷たいほど突き放して巣立ちさせる。ニートの親は動物にも劣るといっても過言ではない。」

「農業保護」も国民の巨額な税負担で成り立って来たのであり、農水既得権者が「誰の迷惑にもなっていない」と考えているとしたら、とんでもない間違いである。

農水既得権者は、「農業保護」を連呼するだけで、「農業自立」の具体策を全く示さないだけでなく、日本農業の競争力強化を目指して1961年に成立したた「農業基本法」の実施を妨害し、国民に巨額の税負担を課して来た点では、自立を妨害する「モンスターペアレンツ」と言っても過言ではない。

その典型として、農水省構造改善局の膨大な浪費がある。

公共事業費が大幅に削られた現在でも、同局の公共事業費は同省全体の約63%を占め、非公共事業費を含めると1兆4千億近くに上る。この巨額な血税が、環境を破壊する干拓事業や無駄な農業用水路、農道の整備などに使われ続けてきただけでなく、国民一人当たりドイツの14倍もあった土木建設事業者を支えた自民党のバラマキ政策の原資となり、その企業献金で自民党が潤いかつ票を確保する仕組みを作って来た。

更に、銀行免許を持つ金融機関でありながら金融庁ではなく農林水産省の所管となっている農林中金の無駄も見逃す事は出来ない。

「米価維持」と言う名の公金で支えられた「米農家」から、JA組織を使って吸い上げた巨額の預金が、「国内最大の投資銀行」の農林中金の原資となっている。

処が、農民の為の金融機関である筈なのに、農家への小規模貸付は全体の5%に満たず、リーマンショックの時には資産運用に失敗し、1兆5000億円を超える国内金融機関で最大の損失を出し、その後も巨額な損失を出し続けた。それでも、誰も責任を問われない特別な「損金免除付き金融機関」である。

JAだけで「国内最大の投資銀行」を維持できる資金を集められるのだから、「農民」が貧困だと言うのも「為にする宣伝」ではないか?と疑いたくなる。

一方、農業に使われた「血税」の多くが「既得権益者」に吸い取られ「農民に渡っていない」可能性も充分ある。

ガット・ウルグアイラウンドでも、「例外なき関税化」という国際統一ルールが決定された後も、米は勿論、小麦・大麦は 252%、砂糖 325%、こんにゃく芋1705%など超高率関税を掛け、日本ではパンや麺類などは税金を食べていると同じ状態が続いている。

結果として農水族議員たちの抵抗によって、世界中のほとんどの国が受け入れた国際ルールを、高率関税を設ける事で実質的に拒否して、世界の孤児になりつつあるのが現実だ。

「関税化の有名無実化」を防止するミニマムアクセスのルールについても国家輸入で独占し、政府の倉庫で死蔵して市場への流通を防いだ筈なのに、汚染した「死蔵米」が「毒米」として市場に流れるなど、政府と業者の癒着が明るみになった記憶は新しい。

この様に、「関税障壁」による農業保護政策の恩恵を受けて来たのは農水既得権者だけだと言う事は明白である。

日本農業の健全なる発展には、まず「農地法」を廃止し、50年以上も前に成立した「農業基本法」の精神に戻り、既得権者の反対で実現出来なかった「需要が減少する農産物」の生産転換を促し、農産物の流通合理化、農業担い手の確保、農地集積による大規模化、農業の成長産業化などの農業再生に取り組む事である。

百歩譲って「農業保護」が必要だとしても、価格支持(関税)政策は廃止し、対象の農家を特定して所得補償(直接支払い)と「廃転業支援金」に切り換えるべきだ。

ジリ貧状態の国内農業は、体質強化のための改革が「最も有効な」農業保護策で、流通、経営,国際マーケテイングなどの改革と高度な技術の活用が出来た後の日本の農業の将来は明るい。

TPP交渉でのアメリカの要求は、現段階では国内の各産業ロビーストの要求を並べたものに過ぎず、決して一枚岩ではない。アメリカの全体的な利害は寧ろ日本に近く、農産物関税についての強敵はアメリカより、むしろニュージーランドであろう。

中国、韓国などがTPP不参加を決めた事からも、日本が早くTPP 交渉参加を決定する事こそ、経済だけでなく安全保障上の観点からも日本の利害に一致する。

しかも、交渉参加=TPP参加ではない。

実益を検証してプラスが大きければ参加し、プラスがなければ参加を見合わせれば済む事である。

誤解を避ける為に再度強調したい事は「百歩譲っ『農業保護』を維持するにしても、価格支持(関税)に頼る事は改め、対象の農家を特定して所得補償(直接支払い)又は、廃転業支援金に切り換え」積極的にTPP参加に舵を切り替えるべきだと言うのが私の主張である。

             2013年2月16日 北村隆司

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