就活って何?

2013年04月23日 00:47

大学生の就職活動を略して「就活」というそうですが、政府はこれを4年生の4月から始めるように「倫理憲章」の改正を財界に申し入れ、2015年からはそうなるとのことです。今は3年生の12月からなのですが、これが4年からになったら、大学生はちゃんと勉強するようになるのでしょうか?


私はならないと思います。私も多くの大学で教えてきましたが、3年生の後半からは授業になりません。公式の解禁が12月でも、OB訪問など「抜け穴」はいくらでもあるからです。他方、授業に出ても就職の役には立たないので、どっちが大事かは小学生のみなさんでもわかりますね。

これって変だと思いませんか? 3年生で就職が決まるということは、4年生の勉強は会社にとってどうでもいいということです。中にはユニクロ(ファーストリテイリング)のように、1年生の4月2日に内定を出す会社も出てきました。これは「大学の勉強は全部ムダだ」といっているようなものです。でも「それはおかしい」という人はいません。本当にムダだからです。

これは小学生のみなさんの勉強がムダだという意味ではありません。みなさんの習う読み書きそろばんなどの初等教育は、社会の発展にとっていちばん大事なものです。中学生ぐらいまではちゃんと勉強した方がいいですが、高校の勉強が大事かどうかはよくわかりません。ほとんどの人にとっては、微分積分は必要ないでしょう。

では大学は何を教えるのでしょうか? 理科系の学部では基礎から勉強する数学や物理などがありますが、文科系はほとんどそういう必修科目がありません。語学も、語学学校で十分でしょう。それでもみんなが受験勉強に一生懸命になるのは、「**大学卒」という肩書きがほしいからです。

でもそれは**大学に合格したことに意味があるのだから、入社資格を「大学卒」ではなく「大学入学」にすればいいのです。そしてユニクロのように、合格したらすぐ採用して退学すれば、大学の授業料もムダにならないですみます。

もちろん大学もそんなことになっては困るので、役に立つ授業をするようになるでしょう。やる気のない先生はクビにして、内容の充実した科目を教えるように改革するでしょう。そうすれば倫理憲章なんて必要なくなると思います。

海外では就活なんかないし、卒業してしばらくしてから就職するのが普通です。それは大学で4年間ちゃんと勉強することが大事だからです。日本で3年生から就活が始まる原因は大学の授業に中身がないことなのだから、問題は倫理憲章ではなく大学教育にあります。大学の先生も、小学校の先生を見習って役に立つ授業をしたほうがいいと思います。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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