同人ゴロの甘えを論破する熊谷千葉市長 --- 多田 純也

アゴラ

熊谷俊人千葉市長が、5月1日のTwitterで、先日幕張メッセで行われた『ニコニコ超会議』やサブカルチャーに関心のあるツイートをしたところ、”池田屋”なるHN(ハンドルネーム)から「アニメやゲームなどのほかにも同人業界にも積極的に市長には理解してほしいですね。児童ポルノ法案とか。千葉市は過去にいろいろな怨恨があるし……」と噛み付いた。


これに対し、熊谷市長は「同人そのものは否定しませんが、今のコミケ等で販売されている同人誌の多くは著作権や性描写の関係から公的な理解を求める立場のものではなく、黙認等されたアンダーグラウンドなものだと自認しましょう。」 と反論の余地皆無の正論でリツイートした。

ところが、なんとこの正論に池田屋は、尚も「もちろん理解してますよ! だけど、それ以上に色眼鏡で見てる人は圧倒的に多いのですよ…….」。因みに、この池田屋とやらのサークルで販売してる同人グッズ(CG画像集)のタイトルが、とても書けないような、お下劣なタイトルと内容なのだから、これで「色眼鏡で見るな」と言えちゃう神経は、そうとう図太いのか、鈍いかのいずれかだろう。

現在、私が認識してる限りで、コミケ等で販売される同人誌と呼ばれるモノは下記のように分類できる

一般向け(オリジナル):オリジナル漫画だけでなく、様々なジャンルの研究本などもあり、ある意味で一番分類が困難とも言える。

一般向け(成人対象):所謂オリジナルの18禁本。内容はライトなものから、犯罪行為的な内容のモノまで様々。

女性向け(成人女性対象):所謂”BL”(ボーイズ・ラブや「やおい」)本。カップリングの対象もアイドルから、アニメキャラから、お笑い芸人まで羅列したらキリがない。

男性向け(成人男性対象):男性向けの18禁本。対象は主にアニメやゲームキャラなどが中心。

と、まぁかなり乱暴に分類してみたが、基本的にこうした同人誌は、熊谷市長が指摘してる間でもなく、著作権や性描写的に、当局や著作権利者や関係各位に黙認されてるアングラな存在である。言葉を変えれば”お目こぼし”を受けてる身であることを、この池田屋とやらは、まるで自覚していない。

近年、様々な作品の影響や、”クールジャパン”現象や、メディアの進化によって、オタク界は”サブカルチャー”とやらの地位を獲得したらしい。

だが、私のような40代前後のオタクは、決して忘れてはならない”オタク氷河期”と言える”宮崎勤事件”の苦汁をなめた世代である。

あるリポーターによる、コミケレポートでの「ここに10万人の宮崎勤がいます」発言が都市伝説だとしても、確かに、あの時代「アニメが好き」ってだけで塗炭の苦しみを味わい、「オタク」は”犯罪者予備軍”を意味するレッテルだった。

池田屋のプロフィールサイトをみてみると、現在38歳。あの氷河期を知らない筈はないはずなのに、なぜこんな勘違いな噛み付きをしたのか理解に苦しむ。

ある意味で、著作権的にも性描写的にも無法地帯と言える、同人界だが、一方で、ガレージキットと呼ばれる、自主制作の模型を販売する大手であるワンダーフェスティバルなどを始めとした立体系イベントでは、”当日版権システム”を設け、当日販売される商品には事前に版元の厳しいチェックが入る。

過去、別のイベントで某キャラクターの非常に出来の良いフィギュアが、審査用の写真が意図的にローアングルだったことから、出品を跳ねられた例もある。

これに比べれば、同人界のなんと緩いことか。

池田屋は、自分たちが”お目こぼし”されている事実に目を向けるべきである。

折しも、駅前の本屋では、アダルトコミック系雑誌のあられもない表紙が平積みで並んでいる。私が高校生の頃に、月刊少年マガジン連載『いけない!ルナ先生』が当時、PTAなどから”有害図書”として吊るしあげられた時代からは考えられない事態だ。

対象は若干異なるが、先月、自民・公明両党は”児童ポルノ禁止法案”改正に動き出し、今国会での成立を目指すと聞く。

私も好きな漫画で、月刊アフタヌーン連載『げんしけん』がアニメ化した時のキャッチコピーに「オタク、カッコ悪い?」というのがあった。当たり前だ、オタクはカッコ悪いものだ。その上で、己の趣味に魂を込めるのがオタクの在り方だ。

多田 純也
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