EVの反省を踏まえて燃料電池車の可能性を考える --- 岡本 裕明

2013年06月15日 12:10

トヨタ自動車が究極の次世代自動車として注目を浴びるFCV(Fuel Cell Vehicle、燃料電池自動車)を2015年から日本のみならず、アメリカでも発売すると発表しました。つい数年前には電気自動車が紹介され、大きな話題となったものの現時点でその勢いは期待外れの様相を呈しております。はたして燃料電池自動車は世の中の自動車のあり方を変えていくのでしょうか?


なぜ、燃料電池車が究極の車かといえば水素と酸素を化学反応させて動かす車で地球環境にもっとも優しい車であるからです。

実際の使用イメージとしてはガソリンスタンドの代わりに水素スタンドで燃料補給するということになりそうです。トヨタのホームページには一回の燃料充填で830キロ走行し、マイナス30度という過酷な気象状況でも走行できるところまで技術進歩したとあり、実用では問題ないレベルまでに達しているようです。

あとは車両価格と水素ステーションの整備が課題となるでしょう。それには電気自動車が普及しない理由を踏み台にして知恵を出さねばならないでしょう。電気自動車の価格が高いのはバッテリーの量産が進まない為に価格が下がらないことに問題があります。また、一回の充電で走行可能距離が200キロ程度に限定されていることと充電設備が普及していないことが大きなネックとなっています。

アメリカやカナダで車を運転すればお分かりかと思いますが、電気自動車の標準的走行可能距離である200キロは2-3時間の走行時間でしかないのです。そしてちょっと行けば片道100キロが当たり前ですからいわゆる都市部だけで生活しているような方にしか電気自動車のメリットは取れません。おまけに通常充電なら何時間もかかります。日産自動車が充電パックをそっくり取り替える充電方式を検討したのはこの弱点を補うためでした。

ここから考えると燃料電池の自動車に必要なのは水素ステーションの爆発的普及であり、一般ガソリンスタンドに併設されるのがベストかと思います。人々が乗っていてフラストレーションを感じない状況になれば普及に弾みがつくことは間違いないとみています。特に欧米では環境に対する配慮に政府部門も含め熱心である点からして社会的なサポートも取れると思います。

そのためには特定都市や地域での集中的普及を目指すというのが一つの方策になるかもしれません。全米とか全日本という規模になるとインフラ整備に多額のコストと時間がかかります。日本ならば例えば北海道をその戦略拠点にするといったやり方があるのではないでしょうか?

次に電気自動車が普及しにくくなったもう一つの理由が充電方式に日本方式のチャデモと欧米方式のコンボに分かれて市場に混乱をきたしたことがあります。結果として例えば私の会社で経営する駐車場でも充電設備導入を中止するような事態になってしまうのです。本件はバンクーバーにおいても当局や関連業者も手詰まりとなっている現状は憂慮すべき事態だと思います。

トヨタはBMWと連携して燃料自動車の開発をしていますが、他社も当然ながら追い上げてくるはずです。その際に水素充填方式を統一するということは当たり前のことながら考慮すべきポイントかと思います。また、ガソリンスタンドにとってライバルとなる水素燃料を発売することは自己矛盾を起こしますが、ここを押さえることがインフラ普及のキーになるのではないでしょうか? 今や石油元売り会社や産油国が太陽光発電を事業として進める時代ですから解決の糸口はあると思います。

日本は部品や製品を作るのは世界一の才能を持っていますが、それを水平展開させるという点では今一つです。燃料電池車が成功するかどうかは関連産業界や行政をいかに巻き込んだプラン作りを行うか、それこそ、政府、民間が一体となったプロジェクトとして進めることが重要かと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年6月15日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑