また見に行ってきた「沖縄国際映画祭2013」 --- 中村 伊知哉

2013年07月04日 19:56

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ここのレッドカーペットは、世界一長いんだって。初日のレッドカーペットには芸人、監督など550人が歩き、5.3万人の客が押し寄せたといいます。
8日間に渡るとても長いイベント。スポンサー企業は57社。期間中に9カ国からの74作品が上映され、コンペには20作が参加。144人のよしもと芸人が出演し、観客動員は過去最大の42万人!

毎年来てるんですが、これまで参加した時のメモはコチラ。2010年4月2011年5月その12011年5月その2


ボローニャから戻ったその足で、今年も顔を出してきました。

実行委員長である吉本興業の大崎社長は言います。「毎日歌って踊ることを沖縄の産業にしたい」。そう、かなり沖縄色が強い祭になっています。会場の宜野湾市だけでなく、県内の41市町村を巻き込んで、沖縄の魅力を世界に発信しています。当初は本土からやってきた催しという見方もあったようですが、5回を経て、地元の信任を得た模様。今年から映画の鑑賞を全て無料にしました。賑わいも当然ですね。

ただ映画を上映するだけのイベントじゃないんですよね。マーケット機能や展示会場もあり、「ラフピータウン」には50の企業がブースを出しています。ブースも年々、本格的になってきていて、業界人だけでなく、親子連れで賑わうようになっています。

今年から人材発掘のプロジェクトとして「クリエイターズファクトリー」を開始しました。監督、カメラ、俳優などの新星を見出そうとするもの。最優秀賞に輝いた「おだやかな日常」の杉野希妃プロデューサ+女優は、その次回作の制作を吉本興業が全面サポートすることとしています。

世界中のコンテンツを日本に集め、発信する。基地問題で揺れる地域の活性化を図る。マーケット機能を創り出したり、人材を育成したりする。
これって、国の仕事じゃないですか?

「スポンサーはついてくれてるけど、正直、ン億円の赤字でね。それでも、社員教育やと思たら安いもんなのかもしれん。みんなで作り上げてる催しなんで。」(大崎社長)。 いやいやいや、社長、十分高いですよ。頭さがります。

浜辺に打ち立てた26.65m×14.76m、世界最大のスクリーンは、スイスから船で運んで来たんだそうです。そりゃコストかかりますわな。

ビジネスも作っています。サイバーエージェントのオークションアプリ「パシャオク」を使って、レッドカーペットをノンスタイルの2人と歩く権利を売り出したんですと。石田さんには10万円、井上さんには12万円がついたんですと。井上の方が高かったことに若干フにオチない点はあるものの、いい値がついて、ファンの女性が堂々と世界一長いレッドカーペットを歩いた。それを吉本興業は子どもダンス活動に充てるよう宜野湾市に寄付したんですと。

ええ話や。でも赤字になりますわな。デカいもん船で運ぶし、上映タダにするし、寄付するし。

コンペティション部門の審査委員長、バットマン・フォーエバーのジョエル・シュマッカー監督は、「こんな映画祭は他にない」と言います。映画祭の多くは、賞を与えておしまいの、芸能界の作り物っぽいものだが、沖縄は違うというのです。芸人も監督も業界も観客も、みんなで学芸会のように作り上げているお祭りです。映画もあれば、音楽も演劇も、ニコ動もパチンコもある。

8日間だけの催しでもありません。同時に沖縄小学生映画祭というのが開かれ、7本の作品が上映されていたのですが、各地の学校を はんにゃやスリムクラブらが訪問してサポートして作ったものだといいます。郷土の魅力CMを作ろうという「JIMOT CMコンペ」というのも開催されました。これは、46都道府県+沖縄県41市町村から募集した1000を超えるアイディアの中から、87のプランを選定し、芸人たちとともに制作をするという企画。地域に密着して、時間と情熱をかけて、作り込んでいるわけです。

そんな中、驚いたのは「にーびち映画祭」。ぼくは知らなかったのですが、沖縄の結婚式では、新郎新婦を祝う余興ビデオはハンパない作り込みをされるらしく、一つの文化になっているとか。それを讃えちゃおう。にーびちというのは結婚のことだそうで。出品された結婚式の余興ビデオから厳選10作品が上映されたんです。

新郎新婦の同級生なんかが作るしろうと映像ですからね。まあね。第一、知らない人の結婚式のビデオですしね。行きがかり上みるだけ観てみるか。

と思いきや、面白かったんですコレが。ハンパなくて。ほんの一時、酔っぱらった列席者にみせる余興に、こんなに愛情を注いで作るのか、オマエたちは、と。結ばれるカップルを祝うために、シナリオや大道具小道具や音楽やあれやこれやを用意して、何日も何日もかけて作ったのかオマエらは、と。

映像っつうのは、解像度が低くても、音が割れていても、まっすぐに愛があふれ出ていると、突き動かされるものなんだな。と、ウルっと来てしまいました。

発見があるなぁ。
また来年。
 (追記:楽屋でもらったピース印のおにぎりがすこぶるおいしかった。)
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編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2013年7月4日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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