とある女子大生の話 --- うさみ のりや

2013年09月01日 09:46

その娘は昔から素直だった。

小さな頃から先生の言うことを良く聞き、成績もよかった。高校もまじめに過ごして受験勉強も一生懸命やった結果、大学は都内の有名私立大学に決まった。入学とともに中小企業経営者だった親から「これから大企業は苦しくなっていく。勉強して、就活して、いい企業入って、という安易な決められた道は送らない方がいい。」ということを言われた。そういうものなのかな、と思い大学入学と共に刺激がもらえそうな、いわゆるビジネス系の学生団体に入ってみることにした。その団体はとても意識が高い学生が集まっていて、毎月のごとく起業家や外資金融・コンサルの幹部や有識者といったいわゆる「成功者」を招いて、セミナーのようなものを開催していた。


凄い人たちに会えて嬉しかったが、周りの学生がその人たちに憧れるまなざしとは裏腹に、自分の存在が成功者の厚みと比べるとちっぽけな感じがして自信がなくなった。それでも起業家にはなれそうにないけれど、外資金融やコンサルの道ならば努力すれば自分も歩めるかもしれないと思うようになり、経営や経済の勉強を積み重ねて、ビジネスプランコンテストというものにも応募してみることにした。そのコンテストではぼちぼちの結果を残したのだが、逆に周りの学生の「何としても成功者になってやろう」という「意識の高さ」に違和感を覚えるようになって、「このままで良いのか」と迷いを覚えるようになった。

そこで成功者と言われる人たちが出版している「日本の未来はこの中にある」という帯がついているような本を読みあさってみると、やたら「日本はこのままじゃだめだ」「世界へ飛び出ろ」という言葉が出てきていた。確かにこれから日本は人口が減るし、政府の財政状況もとんでもないことになってるし、大企業も韓国や中国やアメリカに押され気味だし、なんとなく説得力があるような気がしたので、一年間休学して世界を回ってみることにした。ヨーロッパ、中国、アメリカ、インド、あちこちまわって色んな国の人と会って意見を交換してみた。色んな価値観に出会えて、なんとなく視野が広がったし楽しかったが、だからと言って何も見えなかった。

日本に帰ってきて「こんなに頑張ったのにどうしていいかわからない。」とまた悩んで少し鬱気味になった。とはいえもう大学も卒業するし、働かないと生きていけない。しばらく引きこもってあれやこれや思い悩んだが答えが出ない。そこでもう考えるのは辞めてみることにした。なんとなく昔からスポーツが好きだったし、せっかく英語も使えるようになったので、周年採用をしているある外資系のスポーツメーカーの面接を受けてみたら受かったので入社してみることにした。

入ってみると新人は自分一人で研修制度もない。「これは話が違う、誰も自分を指導してくれる人がいない。自分の能力がこのままでは向上しない。。。どうしよう。。。」と思ったが、早速とあるマイナースポーツのチームのプロモーションプロジェクトへの参加を命じられた。社会人のイロハもわからないのに、いきなりプロジェクトに放り込む会社に不信感を抱いたが、言われてはやらざるを得ない。しょうがないので、なんとなくそのチームについて調べていると、気付いたらそのチームのファンになっていた。そこで自分が素直に感じるそのチームの魅力を、プロモーションに反映させることを提案して見たら企画が通ってしまった。コンセプトは「ルールなんて知らなくてもいい。戦う男はかっこいい。」不安だったが通ってしまったので仕方がない。徹頭徹尾自分の感覚に従ったプロモーションを貫いてみると、だんだん女性の観客が増えてきた。とても嬉しかった。

この時彼女はようやく気付いた「初めから答えは自分の中にあったんだ。自分と向き合わずに、誰かに教えてもらおう教えてもらおうと成功者を追いかけてたから、どれだけ頑張っても自分の進路が見えなかったんだ。」と。よくよく考えてみれば、自分は初めから起業もしたくなかったし、凄い経歴が欲しいと思っていたわけではなかった。ただ自分が充実した人生を送りたいと思っていただけだった。だから始めから行動して、自分の感情と真剣に向き合えばよかったんだ。そう思って自分のこれまでの葛藤を振り返ると、学生団体も、成功者と言われる人たちのアドバイスにも本にも、そんな単純なことが書いてなった。ただ流行ものに対する、消費や勉強をあおるだけで、本当に無駄な時間を過ごしたな、と後悔した。

。。。。。。これは実際の話です。ではでは今日はこの辺で。


編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2013年9月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。


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