ロッテ神戸選手はブログを続けるべき

2013年10月23日 07:00

ロッテの元番記者兼現役ファンとしては言及するべきか迷っていたけど、野球ファンやスポーツ紙をお騒がせした神戸拓光選手の「ツイッター暴言」問題が昨日、一応の決着を見た。事の発端は、三鷹で殺害された女子高生を中傷したと取られかねないツイートをしたという話で、球団の調査結果では、投稿したのは管理人だったという。それもまた「責任を管理人に押し付けたのか」とネット上の炎上を誘ってしまう展開になってしまったが、いろいろ感じたことがあったので、この際、書いておきます。


まず、昨日のネット上の炎上。スポーツ紙の速報記事に「片手落ち」があったことも要因だ。たしかに球団の発表速報記事を読んだだけだと、管理人の存在をでっち上げて本人を“減刑”させる意向だったのではという邪推もしてしまいそうだ。しかし、時事通信の記事を後で読んで分かったのだが、神戸選手が涙ぐみながら応対した記者会見には、彼の幼馴染という管理人が同席して経緯を説明し、謝罪もしている。もちろん、それだからと言って、神戸選手の管理者責任が免れるわけではない。本業以外の社会的な事件に関してのツイートならば、確認は当然すべきだった。プロ野球選手は個人事業主だ。自らの事業の看板を傷付ける事態があれば、彼を支える家族、トレーナーなどのスタッフなどにも影響は大きい。

※球団公式サイトの神戸選手の紹介ページ
131023神戸1

●ブログでは日航機事故で感動の記事
それから、「おやっ」と思ったのが、ブログを閉鎖してしまったことだ。炎上を引き起こしたツイッターアカウントの削除なら頷けるが、字数制限が無く多様な表現が可能で、記事や写真の投稿をするのに一定の熟慮を要するブログまでシャットダウンする必要は無かったのではないか。彼はブロガーとしてのセンスがなかなかあって、私が番記者だった2009、10年には他の記者からも評判は良かった。普通、選手がブログで直接発信することが「中抜き」に当たるため、記者は嫌がるのだけど、その筆致は発想力、表現力が豊かで、「ファン目線」に立っていたのが好感を呼んだのだと思う。手術で入院中の人気選手のお見舞い報告など、記者たちが入れないテリトリーから、ファンが気になる情報を発信していた。

そんな神戸選手のブロガーとしての「面目躍如」だったのが、今年8月12日の日航機墜落事故の追悼記事。事故の実態を調べて書き、犠牲者の遺書を紹介するなど「命」や「家族」の大切さを訴えたものだった。彼と同年代あるいは彼よりも若く、事故をリアルタイムで知らない野球ファンらがこれに感動し、「いいね!」が1万を超えるほどの一大反響を呼んだ(惜しくもブログ削除でオリジナルが見られなくなったので、当時の報道魚拓を引用しておきます)。筆者もFacebookで紹介したところ、「野球選手が書いたと思えない」「記事を読んで泣きました」とコメントが寄せられた。今思えば、件の管理人などゴーストライターがいたかもしれないけど、そうであっても問題意識があったことは評価していい。アスリートが自らの知名度と発信力を使って、自分が大事だと感じた歴史的な出来事の意義を社会に問いかけることにこそ意味があるのだ。政治家や企業の社長、いや大物ジャーナリストだって、時間的・技量的に書けなければゴーストライターを使うことがある。それでも本人の魂を込めたメッセージならば、多くの人の心に届くのだ。

●アスリートが発信する意義
アスリートのネット発信は、時に社会的なムーブメントを生み出す。記憶に新しいのが、東日本大震災直後の為末大さんの発信。寄付サイトの「ジャストギビング」を使って多くの義援金を集めた。世界的にはアスリートがソーシャルメディアを使って積極的に発信する潮流にある。IOCでは、ロンドン五輪に際してアスリートのソーシャルメディアの利用ガイドラインを作成し、品位保持や商標権保護などの注文を付けながらも基本は奨励している。ネット動画の放映権ビジネス拡大による後押しもあって、2020年の東京五輪に向けては、その潮流が加速するのは間違いない。野球界では、イチロー選手のように敢えて距離を置いて寡黙になることで神秘性を高めるブランディング手法を取る選手もあるが、ダルビッシュ投手のように一般ファンとフランクに直接コミュニケーションを取る選手も目立ってきた。NPBや各球団がガイドライン作成や、メディアリテラシーの研修をする機会がもっとあってもいい。

※IOCのソーシャルメディア利用ガイドライン
131023IOC

ただ、これらの動きには「本業があってこその発信だ」「打てないくせに呟くな」といった批判や非難は付きまとう。神戸選手のように一軍に定着していない選手にはそういう厳しい声もあるだろう。しかし、練習の合間を縫ってどこまで発信するかは選手本人やそのサポートスタッフの判断に最終的に委ねればいいだけで、実績や知名度の差はあっても、アスリートの発信力を社会的に活用する価値があることに変わりはない。仮に、私のような無名の三文ブロガーが日航機のお話を書いたとしても彼ほどの波及力は持つのは困難だ。

というわけで、神戸君、今回の件は心より反省した後でブログをぜひ再開してください。厳しいファンもいるだろうけど、お茶目なあなたの活躍を楽しみにしている人もいます。来季はマジで勝負の年。頑張って!

あ、2軍の大塚明・外野守備走塁コーチがアゴラをたまにお読みになっているぽいので(ツイッターのフォロー先から推測)、ぜひ大塚さんからも、こんな意見があったことを彼にお伝え願いますm(__)m
ではでは、今日はこんなところで。ちゃおー(^-^ゞ

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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