「黒子のバスケ脅迫事件」で問われる「サイバー警察力」

アゴラ編集部

いわゆる「黒子のバスケ脅迫事件」の容疑者が、12月15日に逮捕されたようです。『黒子のバスケ』というのは、藤巻忠俊氏が描く『週刊少年ジャンプ』連載中のマンガ。高校生のバスケットボールを描き、2013年12月現在までにコミック25巻が発売され、アニメ化もされている人気作品です。


この脅迫事件、2012年10月に当時、藤巻氏が在籍していた上智大学の体育館に「喪服の死神」を名乗った犯行声明文と硫化水素を発生させたプラスチック容器を置いたことが発端でした。逮捕容疑も、この際、上智大学の業務を妨害した、というもの。声明文には、藤巻氏への強い憎しみの感情が書き込まれていたそうです。その後も同様の脅迫事件が続き、同人イベントや出版社主催イベントなどが中止になったり、同作品とコラボしたコンビニチェーンから毒入り菓子が見つかるなど、社会的にも大きな話題になりつつありました。脅迫文の総数は約400通にもおよぶようです。

容疑者は大阪在住の36歳の男で、逮捕された場所は東京の恵比寿ガーデンプレイス。警察は、ポストへ脅迫文が入った手紙を投函しようとしていた容疑者を逮捕、身柄を確保したらしい。捜査当局としては「遠隔操作ウイルス事件」で容疑者を特定できなかった汚点を晴らそうと、今回はあくまで現行犯逮捕にこだわっていたんでしょう。大阪から東京へ出てきた容疑者を恵比寿で逮捕したということは、おそらくコンビニなどの記録映像から目星はつけていて、ずっと尾行しながら確実に馬脚を現すまで監視していた、と思われます。

こうした「愉快犯」は、捜査の網が自分に近づいてくるのを察知し、しばらくなりを潜めていても世間が騒ぐ快感の記憶から再び行動を起こさずにはいられません。しかし、警察が容疑者を特定した後も「泳がしてた」とすれば、事件当初から硫化水素が使われ、最近では毒入り菓子が登場していたこともあり、一歩間違えれば大惨事になりかねない。ひところ「遠隔操作ウイルス事件」と「黒子のバスケ脅迫事件」の犯人は同一人物か、といった話もありました。誤認逮捕を恐れ、「遠隔操作ウイルス事件」の轍を踏まないように慎重を期すあまり、市民を危険にさらし続けていた、とすれば警察への批判も起きかねません。

いずれにしても、トバッチリで恨みを買った作者はいい迷惑です。作者を含めた関係者が戦々恐々とし、約1年間、恐怖におののく日々を送っていたわけで、単独犯と目される容疑者が逮捕され、ほぼ容疑を認めている、ということで、まずは一安心なんじゃないでしょうか。どうも今の日本には「ムード」としての「格差」感が漂っているような気がします。しかし、ざっくり世界的に眺め回してみれば、実際「成功者」と「落伍者」の差はほとんどありません。それなのに、特にネット上には、嫉みや妬み、恨み辛み、ヤッカミといった劣悪な感情が蔓延しつつあるような気がします。少子高齢化が進み、未来に展望が持てないからでしょうか。

こうした閉塞感が生み出す犯罪は、これから増えるかもしれません。ネットなどを利用し、ネットから知識を得た連中が、警察の裏をかき、世間を騒がせることで快感を得る。今回の事件でも容疑者は「遠隔操作ウイルス事件」ほど高度なスキルはないにしても、身分証提示が必要ない地方のネットカフェからネット掲示板へ犯行声明文を書き込んだりしている。「サイバーな警察力」が問われる時代になっています。

Film Goes With Net
黒子のバスケ脅迫事件犯人逮捕。個人の暴力から表現の自由をどう守るのか


Japan Once Tested Poison Gas On Rabbits At This Secret Island: Now Rabbits Have Taken Over
BUSINESS INSIDER
瀬戸内海、広島県の大久野島について書いている記事です。この島、第二次世界大戦中、日本軍の毒ガス工場があったらしい。イペリットガスなんかの検知やテスト用にウサギが使われ、これらウサギたちは戦後すぐに処分されたんだが、1971年に8羽の生き残りが子どもによって発見されたそうです。それが今では増えて300羽以上いる。しかし、島は完全の除染されているわけではなく、あちこちに毒ガス工場の名残である高濃度のヒ素が検出される場所があります。しかし見事にウサギだらけだ。

地震の人類史『図説・地震と人間の歴史』
わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
本の紹介ブログです。有史以来古今東西の天変地異は、精神性や経済性など、あらゆる面で人類に影響を与えていると思います。こないだの東日本大震災にしても、日本人だけじゃなく世界中の人たちに強烈な印象を与え、それによって地震以前以後で何かが変化しているでしょう。このブログで紹介されている本によると、我々は産業や科学技術などが人類史へ大きな影響を与え、天変地異の影響を過小評価しがちらしい。なるほど、と思います。陰謀論には地震兵器みたいな話もあるんだが、もっと卑近な例にいろいろ人為的な地震があるようで怖いですね。

これが通販サイトの未来か 人が乗れるロボット「クラタス」がAmazonで発売中(在庫切れなう)
TABROID
こういうのってけっこう前からあるんだが、普通の重機を改造するとわりと簡単に可能みたいです。本気で作ろうとするヤツが少ない、というだけ。しかし、この製品、ヘルメット付きなんでしょうか。ヘルメットだけでも十万円くらいします。格納庫があり公道へ出入りして動かす場所がある人は検討してみてください。モデルさんの歯がスゴいですね。

Ozone Hole Won’t Heal Until 2070, NASA Finds
livescience
環境問題にも流行り廃りがあるようで、ちょっと前までオゾンホールの減少や消滅、という危機が声高に叫ばれていました。フロンガスやクーラーの冷却ガスなどの放出でオゾン層が破壊されるとかなんとか。もちろん、南半球では紫外線が強烈だそうで依然として問題視され続けています。しかし、日本でオゾンホールとかもうあまり話題になりませんね。みなさん飽きちゃったんでしょうか。オゾンは熱帯地方で作られ、それが地球全体へ行き届いて宇宙からの紫外線などを防いでくれています。それが南極などの極地でオゾン層に穴が開き、問題になっていたんだが、この記事によると2012年にオゾンホールがこれまでで最低な規模に縮小したらしい。ようするに熱帯からの気流の変化で極地のオゾンホールの大きさが変化するんだそうで、フロンガスの影響というのは本当にあったのかどうかわからない、ということです。


アゴラ編集部:石田 雅彦