自治体がコストゼロですぐできる土砂災害被害防止法 --- 加藤 完司

アゴラ

NHKはレーダー観測データを多用し、朝から北海道石狩地方の大雨の模様を生中継している。気象庁が石狩空知胆振地方に大雨特別警報を発令したからだろう。大規模な避難勧告も出されていた。下のレーダー画像は9月11日7時25分のもの。

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ただ、今回を前例として、責任が気象庁に押し付けられる結果になることを危惧する。集中豪雨は大規模に起きる場合もあるが、小規模であることも多い。長野県の南木曽町や神奈川県の山北町の被災がそうだった。積乱雲の大きさが町もしくは市規模なのだ。そのような場合、気象庁は多分一つ一つ対応できないだろう。気象庁が大雨特別警報を出さなかったから、という理由で犠牲者が出るのは嘆かわしい。

一方、今回NHKが多用したレーダー画像はタダで誰でも見ることができる。気象庁が特別警報を出さなくても、図の赤で示される領域が現れれば、そこは時間雨量50㎜以上の雨が降っているわけで、予想画面をみれば1時間後にその豪雨の襲来を知ることができる。そこに専門家の判断は不要。

すなわち、避難勧告を発令するのは地方自治体であるから、自ら豪雨の来襲を判断し、地元の危険エリアに対し避難勧告を発令する体制ができればよい。ではどうするか。明日からでも、土砂災害による犠牲者を防ぐことができる低コストで簡単な対策。最も重要な点は、それが極めて有効で、各自治体による個別の事情に合わせたシステムの微調整が行われれば、犠牲者はゼロにできるという点にある。危険時に危険個所に居合わせないのだから犠牲者が出るわけがない。

答えはレーダー画像の活用。このサイトで簡単に見ることができる→http://www.tenki.jp/。各自治体の担当者が、一般的な雨の予報時に、自分のエリアのレーダー画像を時々見るだけで十分豪雨の襲来は予想できるのだ。

各地方自治体は自主的に住民の命を守らねばならないという使命感を持たねばならない。広島の災害時に、市の防災部長(のような方)が、降雨を甘く見ていたこと、避難勧告の遅れについて謝罪していたが、これは市の無作為を認めていたと同じ。なぜなら容易に想定できるから。今回のNHKの報道体制はその実例を示してくれた。

繰り返すが、豪雨の襲来は各地方自治体において、ゼロコストで明日からでもできるのだ。早急な意識改革が必要であるNHKもこういう具体策を啓蒙したらよい。

加藤 完司
無職
ブログ:風の行方とハードボイルドワンダーランドより