国際金融政策にはサウジ主導の石油価格「是正」が欠かせない --- 岡本 裕明

2015年01月23日 13:49

ここまで予定通りことが運ぶと発表された時の感動にはやや欠ける気もしますが、これはエンタテイメントショーではないので刺激ばかり考えないようにしなければなりません。


ECB、欧州中央銀行の独立性も他の中央銀行と同様でありますが、二日前のフランス、オランド大統領の量的緩和の催促ともいえるべく発言には違和感を持ったことは否めません。ドイツ、メルケル首相はさらっと流していましたが、ドイツは金融の量的緩和には基本的にあまり賛同していなかったはずです。よって、今回の量的緩和への道のりは各国政府との調整に相当時間がかかり、その結果、発表したものの斬新さを失っていた、ということにもなります。

一方、アメリカが望んでいた日欧の量的緩和シナリオはこれにて完成したわけで為替のシーソーゲームでいえばアメリカの完勝となったわけです。まさに基軸通貨の賜物とも言えそうです。これにて米ドルの支配はより一層堅固なものになると考えています。あとは来週のFOMCの内容が気になるところでありますが、アメリカが利上げをする一つのハードルは取り除かれたような気がします。

もう一つのハードルである石油価格下落に伴う低インフレ対策ですが、私はサウジアラビアのアブドラ国王が逝去されたことで大きな変化があるとみています。アブドラ国王はエジプトに力を入れていましたが、アラブの春でエジプトのムバラク大統領体制が崩壊した後、アメリカ主導でエジプト再建に期待していました。が、オバマ大統領のエジプトへの「冷たい姿勢」からアブドラ国王がアメリカに対して大きな不快感を持っていたとされています。

よって、その国王の不快感をアメリカ側がぬぐうことができれば石油減産の合意は可能、ということになります。そこに石油価格のこれ以上の下落は食い止められるというシナリオができるわけで私の主観が非常に強い選択肢でありますが、まじめにその可能性は検討する価値はあるかとみています。特にイエメンの大統領府がシーア派系の武装勢力に乗っ取られている状況で国境を接しているサウジとしてはかなりの警戒感を示しています。それに対してアメリカの一定の援護は必要であると考えられ、サウジとアメリカの距離感を単なる石油価格戦争を通じた意地の張り合いでは足元を完全にすくわれる状況にあると考えられるのです。

仮にこのストーリーがすべて現実のものとなれば、石油価格は急騰し、70ドル台奪取には時間がかからないはずです。それはECBと日銀、それにFRBの共通の悩みである低インフレ率の改善に後押しになり、アメリカは利上げをしやすい環境に、ECBは量的緩和の成果があったとみなされ、日本も春闘などインフレにプラスサイドの影響をさらに後押しすることになります。つまり政治的に経済を改善するには時間がかかるとともに各国それぞれの難題を抱える中、金融政策でとりあえず乗り切ることができる唯一の方法となるともいえるのです。

個人的にはこれはユダヤの力によるところが大きい気がしています。

但し、今後の為替の展開については日経の電子版が指摘しているようにドル>円>ユーロの力関係ができ、円が独歩安になるシナリオが薄れ、レンジ内での動きになるのではないでしょうか? また、イスラムの問題のみならず、ニュースではあまり注目されなくなりましたが、ウクライナでは政府軍が東部に兵力増強をかけていますし、ベネズエラの動きもこれからは要注目になります。そんな中、世界不和が引き続き起きるようであればセーフヘイブンとしての円買いもあり得るわけで為替の動きは新たなステージに入ったと言えそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2015年1月23日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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