違和感のあるフィッチの日本国債格下げ

2015年04月28日 10:32

レーティング会社の一つ、フィッチが日本国債の格付けを一段階下げて「A」としました。これは21段階の上から6番目にあたり、中国より一つ下になります。格下げの理由は昨年末、安倍政権が消費税引き上げを延期したことに対して消費税にともなう増税分を補う対策を取らなかった為とされています。


フィッチの発想は画一的で日本の独自の特徴を十分に理解していないように思えます。日本にとっての影響力というよりフィッチという格付け会社の信用度の問題に繋がる気がします。

日本に於いて消費税ほど体質に合わない税体系はないというのは過去3度の経験からよく理解されたと考えられます。以前にも指摘しましたが、消費税のメリットとは誰からも平等に税金が取れる仕組みである点が強調されてきました。しかし、日本の歴史に於いて税金とは収入に対して税を払うものであってお金を使うことに税を払うという発想そのものが欠落しています。

もう一つは大陸の移動型民族には(逃げられる前に)「取れる時にとっておく」という発想があります。日本は農耕型で移動せず、島国で課税対象が国内に留まる場合には税はかならず捕捉できるという違いがあります。(最近はどこにいても捕捉されますが。)つまり、諸外国では逃げられないようにがんじがらめにし、税による社会還元を非常にオープンに市民と共有する仕組みがある点が違うのではないでしょうか?

次に日本の場合には税を徴収する役人と一般国民の間に明白なるギャップがあり、税を集め、歳出のプロセスに於いて国民のボイスが反映されることは割と少なく、また、国民もボイスアウトしないのが大まかな流れだと思います。予算を確保するのは各省庁の年中行事であり、省庁の役人、官僚は国民が選んだ被選挙人ではなく、公務員であります。

あるいは、ふるさと納税に於いて行き過ぎとも思われるサービスについて地方の市町村はその損得について数字できちんと説明し、総合的な経済効果がどれ位あるかと発表はしていないと思います。単にほかの市町村よりもより目立つもの、より還元率の高いものを競争的に提供しているだけで論理性は不明瞭です。しかし、それを文句言う人がいないのは税は払ってしまえば終わりと考える一般国民が大半である証ではないでしょうか?

日本の歴史に於いて税は収入から取る、贅沢をした時に取る、死んだときに相続として取るといった基本ラインがあらかた決まっています。ところが消費税は富裕層から貧困層まで平等に税金を取る発想が実は不平等であるという見方が日本の中にあります。(一律こそ不平等であるという意です。)だからこそ、安倍首相が昨年末、消費税増税延期を決めたとき、日本国民は安どし、経済が再び好転し始めたのであります。

ではフィッチ。消費税導入を遅らせたことによって内需拡大が促進され、法人税収入が増え、企業は賃金を増やすことで個人からの所得税収入も増えます。15年度の税収見込みは53兆5000億円と前年より4.5兆円も増えているその背景をどれ位考慮しているのか不明瞭です。ちなみに2009年には税収は37兆7000億円程度しかなかったことを考えると日本の場合、景気回復による税収増が消費税引き上げ効果よりはるかに高いことはほぼ明白ではないでしょうか?

海外では消費税を含む税の引き上げはごく当たり前でその理由はプライマリーバランスをその最重要指標としているからではないでしょうか?一方、日本は税の背景がバランス化よりも景気や災害、諸外国との関係、など必要としているところに必要な資金を投入する「国家家父長型税システム」を取っているようにみえます。

だからと言って赤字でもよいというわけではありませんが、税に対するアプローチが思いのほか違うな、というのが私の思うところであります。フィッチにはこの考えはなかなか理解してもらえない気がします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本 見られる日本人 4月28日付より

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