南北テコンドーの再統一成るか --- 長谷川 良

2015年08月23日 10:31

ブルガリアの第2都市プロヴディフ市(Plovdiv)で24日から国際テコンドー連盟(ITF)主催の第19回世界選手権が開催されるが、開催中に総会が開かれ、次期総裁を選出する予定だ。

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▲南北テコンドーの再統一に意欲を示す北朝鮮の張雄ITF総裁
(2003年6月、ウィーンITF本部にて撮影)

次期総裁の有力候補は現総裁の北朝鮮の張雄氏だ。同氏は北朝鮮の国際オリンピック委員会(IOC)メンバーだ。北では珍しい国際派だ。同氏は総会で選出された総裁ではなく、テコンドーの創設者で前総裁、崔泓熙に指名された人物だ。それだけに、張氏の総裁選出にはこれまでさまざまな声が聞かれた。ズバリ、選挙の洗礼を受けていない総裁に対し批判的な声だ。そこで今回、総会で選出され、総裁として晴れて公認されたいという願いが張氏にあるといわれる。

次期総裁選について説明する前に、ITFの歴史を少し紹介する。テコンドー組織は、韓国主導の世界テコンドー連盟(WTF)と北朝鮮が管理するITFの2つに分かれているが、ITFは更に3分裂している。
テコンドー連盟は1966年、崔泓熙氏が創設したが、同氏が2002年に死去すると、同総裁の息子・重華氏を中心としたITF、ITF副総裁だったトラン・トリュ・クァン氏が旗揚げしたITF、そして張雄総裁を中心としたITFの3グループに分裂した。それぞれが「わがテコンドーこそ崔泓熙氏が創設したITFだ」と主張し、本家争いをしてきた。

崔泓熙氏の息子の重華氏はカナダに拠点を置く一方、クァン氏は同じようにカナダに定住しながらも、ウィーンに事務局を構えている。それに対し、張総裁はウィーンのITF本部をそのまま使用している。
張雄総裁側は、「崔泓熙氏から正式にITF総裁に任命された」と強調、正統を強調すれば、崔泓熙氏を父親とする重華氏は、「私こそ総裁の直接の後継者だ」と述べ、血統を主張。一方、クァン氏はウィーンのITF本部に所属していたが、重華氏がITF本部から独立宣言するとその直後、同じように独自のITFを宣言した、といった具合だ。
ITFの3派はそれぞれ会員数の拡大に腐心してきたが、支持国、会員数では韓国のWTFがITFのそれを大きく上回っているのが現状だ。

興味深い点は、南北に分かれてきたITFとWTFが急接近してきていることだ。ITFの張総裁はWTFとの共同、連携に強い関心を示し、WTFの趙正源総裁と積極的に会談している。両者は昨年8月、中国・北京で相互連帯と支援などを明記したメモランダムを作成しているほどだ。
オリンピックではWTFテコンドーが公式に承認され、ITFテコンドーはオリンピック競技に参加できない。そこでWTFと連携を図り、競技参加の道を開きたい、というのがITF側の本音かもしれない。

次期総裁選に戻る。大方の予想では先述したようにWTFとの連携に実績のある張氏が最有力だが、欧州テコンドー関係者によると、「金正恩氏は世代の若返りに乗り出していることから、ひょっとしたら若い候補者を擁立するかもしれない」という。張氏にとってマイナスは同氏自身がテコンドー選手としてのスポーツ歴はなく、元バスケットボール選手だったことだ。ちなみに、WTF関係者は、「南北のテコンドーの再統一の上で張氏の再選が望ましい」と考えている。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2015年8月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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