政務活動費を減らして議員報酬がアップさせる謎

こんにちは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
野々村号泣議員の問題によって一躍有名になった地方議員の「政務活動費」ですが、私は折にふれてこの完全公開や改善について問題提起をしてきました。


政務活動費に関する過去記事はこちらから↓
http://otokitashun.com/tag/%E6%94%BF%E5%8B%99%E6%B4%BB%E5%8B%95%E8%B2%BB/

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朝日新聞に、財布の中身全部晒してます。

未だかつて大新聞上で、ここまで議員報酬=財布の中身を晒した議員がいただろうか?!
http://otokitashun.com/blog/daily/6954/

野々村号泣事件(?)以降、全国の地方議会で政務活動の返還が相次いだり、ネットによる情報公開が決まるなど、亀の歩みではありますが少しずつ改革される気運が高まってきています。

と こ ろ が 。

少し前から、この改革の流れに完全に逆行する、非常に挑発的なニュースが地方議会の間で話題になっていました。

政務活動費、議員報酬に付け替え 東京・千代田区が画策
http://mainichi.jp/articles/20151210/ddm/041/010/131000c

使用用途が限定され「使い勝手が悪い」政務活動費。
だから色々と、その用途が問題になるんだ!
だったらいっそ、議員報酬に付け替えてしまえ!!

というわけで(どういうわけだ?)、千代田区では

【旧】
政務活動費→15万円 /月
議員報酬→61万6000円 /月

【新】
政務活動費→5万円 /月
議員報酬→71万6000円 /月

に改定される流れのようです。
…いやいやいや、ちょっと待って!

かねてから政務活動費は議員の「第二の報酬」と言われ、政務活動費の略称を文字って「生活費」とも揶揄されて来ましたが、本当に生活費にしてしまうなんて聞いたことがありません。

問題から起きたから改善しようとする流れの中で、これは完全に「焼け太り」です。

色々な点で突っ込みどころが多すぎる本件ですが、単純に金額を付け替えるということには問題が大きすぎます。

たとえば、基本給が上がるということですが、これは年に2回のボーナス(期末手当)にも影響しまして、試算すると議員報酬は年間で140万円近くアップすることになるようです。

ただでさえ額面で1000万円を超える特別区の地方議員の中でも、ぶっちぎりトップの額面となり、議員報酬体系そのものを破壊することになりかねません。

国会議員の報酬(歳費)が

「議員は一般職の国家公務員の最高の給与額より少なくない歳費を受ける」
(=官僚の最高職である、事務次官より少しだけ多い金額)

というほぼ明確な取り決めがあるのに対して、地方議員の報酬は各々の自治体が「条例で定める」となっているのみで、その根拠はほとんど脆弱です。各自治体は

「特別職(議員や首長のこと)報酬審議会」

などの第三者機関を設立して、この金額の多寡を協議させるのですが、今回の千代田区の場合、この第三者機関が区議を長く務めたOBで構成されるなど、その審議過程についても大きな疑義が示されています。

「他所様の議会のことなんだから、そこまで目くじらを立てなくても」

というご意見もあるかもしれませんが、私が政務活動費について敏感なのは、こうしたことの一つ一つが地方議員や、ひいては政治へ不信を招きかねないからです。

「全国トップである東京都の自治体がそうするなら」

といって、このやり方を踏襲する地方議会が出てこないとも限りません。
こうなった以上は、議会や議員にプレッシャーを与えれるのは世論だけですので、ぜひとも千代田区の皆さまを始め、皆さまに注目をいただければと思います。

千代田区議会の現職には私も残念ながら知り合いはいないのですが、私も引き続き、情報を収集して世論喚起を続けたいと思います。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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