国会議員の育休は職務放棄では?

2015年12月25日 11:36
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本件については様々な意見があると思います。先日、アゴラメンバーになった小林史明代議士も提起しているとおり、ネット上の意見は以下に集約されるように感じます。

【賛成】
・国会議員が率先して体現することで意識喚起になる。
・国政に携わる者が子育てや育休を経験することは意義がある。
・これが否定されると子育て世代は国政に携われないのでは。

【反対】
・選挙区の声が反映されなくなる。
・一般の仕事とは異なるので育休という権利取得はなじまない。
・時間の自由度も高く、高収入なのでやりくりできる。

国会議員は、国・国家レベルの立法府の一般的な呼称である「国会」を構成する議員のことを指します。有権者によって選出された代表者であり、日本の国会においては衆議院議員と参議院議員によって成立します。

●国民の代表とは何か

歴史的変遷を辿ればみえてくるものがあります。国会議員は選挙民を代表するものです。日本国憲法では前文で「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」としており、代表者の行動が国民の行動と解釈することができます。しかし、任期中に行動については強制委任か自由委任かは判断が分かれるところです。

また、国会法や議院規則により、国会議員には議院の活動に参加するための各種の権能が認められています。議案発議権、動議提出権、質問権、質疑権討論権、表決権などがあります。さらに、国会議員や国会議員の属する各議院の活動等を保障するため、憲法により国会議員には、不逮捕特権、免責特権、歳費特権の3つの特権が認められています。特に歳費と手当てに関しては庶民感覚とズレがあるとして多くの意見があります。

●国会議員の歳費と手当てとは

議員報酬は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」(平成二六年六月二七日法律第八六号)により規定されています。それによれば、1回生の国会議員でも129万4000円(月額)が歳費として支払われることになります。

さらに、国会議員は歳費以外に手当てを受けることになります。文書通信費が毎月100万円、期末手当(賞与)が年額635万円、立法事務費などの必要経費が月額65万円、JR特殊乗車券・国内定期航空券の交付や、3人分の公設秘書給与や委員会で必要な旅費、経費、手当て、弔慰金などが支払われます。また、政党交付金(政党交付金は各政党に支払われる)の一部が、各議員に支給されます。

これらの数字を合算すると次のようになります。
1.基本給1552万8000円(月額129万4000円)
2.期末手当635万円
3.文書通信費1200万円(月額100万円)
4.立法事務費780万円(月額65万円)
5.JR特殊乗車券、国内定期航空券(飛行機月4往復迄。例えば北海道選出の議員であれば、東京⇔北海道4往復として4万6000円×往復×4回=36万8000円×12ヶ月=441万6000円/年間)
6.秘書給与2100万円(政策秘書900万円、第一秘書700万円、第二秘書500万円と仮定)
7.政党からの支給 0~1000万円程度。
合計 67,094,000~77,094,000円(年間)

党内の役職によっては公用車も支給されますし、企業献金や政治資金パーティによる収入が加算されます。当選したばかりの一回生議員でも、単純計算でこの程度の金額を得ることが可能です。

●国会議員の行動とは

国会議員は任期中において選挙民の意思を反映した行動をとることが原則です。そのために多くの特権や手当てが存在します。民間で育休が取得できていない状況を鑑みれば、国会議員の育休が選挙民の意志を反映しているといえるのでしょうか。自分だけ育休という行動には違和感を感じざるを得ません。

さらに申し上げるなら本件は議論するまでもない事案です。問題提起という主旨も違うように思います。例えば、国会議員である総理や大臣が、子供や孫ができるたびに育休を取得したら国が体をなしません。今回の行動で理解が拡がらなければ、民間への育休普及の妨げになりかねません。事前にコンセンサスをとるなど、慎重な対応が必要だったように思います。

尾藤克之
経営コンサルタント

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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