オバマの銃規制は失敗する

2016年01月06日 14:03

オバマ大統領が銃規制を発表した。これはマイケル・ムーアの映画にもなったおなじみの問題で、ゲーム理論でいう囚人のジレンマだが、実はジレンマではない。相手が銃を持っているリスクの高い社会では、互いに銃を持つことが唯一の合理的な戦略(支配戦略)なのだ。


武装  非武装
武装  -1  1
非武装  -2  0

図1


図1の数字は対称ゲームとして利得を示しているが、相手が武装してもしなくても、自分が武装することが有利になる。この種の実証研究をまとめた本“More Guns, Less Crime”も、中途半端な銃規制は自衛手段を奪うので、かえって犯罪が増える場合が多いと結論している。

日本はこのジレンマを回避し、国内軍縮に成功した。中世末期までは百姓も武装していたが、豊臣秀吉が武器を没収し、徳川幕府が鉄砲の製造を禁止した。これは図2のようなチキンゲームになり、ナッシュ均衡は二つあるが、政府が武装する場合は国民は武装しないことが合理的だ。

政府

武装  非武装
武装  -3  1
非武装  -2  0

図2


実はこの二つのゲームは一般化すると、共通利益ゲームになる。図1の左上の-1を-3に置き換えると、民間は非武装が唯一の均衡になる。この違いは、武装の利益がそのコストより大きいかどうかだ。

だからアメリカ政府が本気で銃をなくすつもりなら、銃の所持を無期懲役とし、政府以外の銃の製造を禁止するなど、徹底的な「刀狩り」で銃所持のコストを限りなく大きくするしかない。残念ながら今回のように大統領令で既存の法規制を強化する程度では、ほとんど効果がない。

池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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