自然死に向かう放送局

2016年01月26日 14:13

SMAP騒動も一段落しましたが、国民的アイドルSMAPですら頭を下げさせ「公開処刑」を行ったことで、芸能事務所のタレントを支配する力をまざまざと見せつけました。タレントや興行の取り仕切り方は、まるでヤクザの時代のそれと変わらないんだなあと驚かされました。


さらに、テレビ局やその周辺の人たちが、いかに芸能事務所に支配されているのか、その裏舞台までさらけ出す結果になりました。「サンデー・ジャポン」でデーブ・スペクターさんが、切りだした発言にテリー伊藤をはじめ、出演者を慌てさせたシーンがそれを物語っています。
「世間的に違和感があると思いますよ。でも(報道しているのは)全部スポーツ新聞や週刊誌だけなんですよ。日常的に(SMAPを)使っているからテレビ局がいちばんパイプあるのに、一切独自取材してないんですよ。そういった意見っていうか声がたくさんあるのに、なんか違和感あるんですよね」
この発言にやっきになって話を逸そうとする出演者が滑稽でしたが、もちつもたれつの関係のなかではしかたないのでしょうか。テリーさんが執着する「オトナの事情」でしょう。
『サンジャポ』でデーブ・スペクターがジャニーズとテレビ局の癒着を批判! 太田光もテリー伊藤も真っ青に

もともとNHKご出身の池田信夫さんは、放送業界の空洞化が起こっていると指摘されています。”番組の企画機能が芸能事務所などの「上流」に集中する一方、制作機能は下請け・孫請けなどの「下流」に出しているので、局は広告料を中抜きするだけというテレビ局の空洞化が進んでいる”(  池田信夫ブログマガジン2016年1月25日号)”のです。

しかし、電波を独占し、その枠組みのなかで視聴率を争っている間は、この空洞化によって、テレビが消滅に追いやられることはありません。若い世代が、テレビそのものを見なくなってきたとしても、それでもなんとか踏ん張ってきたのです。

しかし今、やってきているのはオンデマンドの脅威です。Youtubeやニコニコ動画、Ustreamの時代はまだインターネットとのまだ棲み分けができました。しかし、放送局はその土台を揺るがす新たな競争環境の脅威に晒されはじめてきています。Netflix、dTV、Hulu、amazonなどの定額動画ストリーミングサービスの登場です。Gyaoなどの無料サービスも含めると参入ラッシュが始まりました。定額音楽配信で7,500万人のユーザーを抱えるspotifyも動画に参入してくるようです。
Spotify、動画サービスを今週中に開始–米国などで – CNET Japan

動画ストリーミング・サービスをテレビで利用することが一般化するにはまだまだ時間を要すると思います。しかし、なにがテレビ局の脅威になってくるのでしょうか。

第一は視聴時間の競合です。それでなくともテレビをつけている世帯の比率(HUT:総世帯視聴率)は下がってきています。その減ってきた時間すら動画ストリーミング・サービスが侵食しはじめるのです。
10

主要テレビ局の複数年に渡る視聴率推移をグラフ化してみる(2015年)(最新) – ガベージニュース

第二は、ユーザーの番組の選択肢は圧倒的に増えます。
定額動画ストリーミングは、海外の人気番組、国内の人気番組、洋画、邦画、アニメなど番組が豊富です。Netflixやamazonは、それぞれオリジナルドラマまで制作しています。放送局はこれらと番組魅力で競争しなければならなくなってきます。

第三は、過去の番組との競争も始まります。
それぞれのストリーミングサービスは、自分たちが過去にヒットさせた番組も含まれています。過去の資産とのチャンネルの奪い合いが始まるのです。もちろんストリーミングサービスからの収益は得ますが、視聴率が落ちてくると、もっとも稼げる広告収入が減ってしまいます。

音楽は、デジタル化とインターネットの影響で、聴き方も、業界の構造も大きく変えてきました。CDの売上は下がる一方です。さらにダウンロード視聴からストリーミングに移行してきています。聴き流しか、ライブに行くかの両極になってきています。

その変化がようやくテレビにやってこうようとしているのです。狭い業界のなかでつくってきた業界構造、どの番組を見ても似たりよったりで面白さを失ったテレビもようやく淘汰の時代を迎えるのです。今の前時代的な業界構造や業界体質ならば、テレビは確実に自然死に向っていくものと思います。
それでも、個人的には、純粋なニュース番組と、NHKの朝の連続テレビ小説さえ残ってくれたら、別になんら困ることはありません。

大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑