憲法改正を阻むのはシールズでなく“ゲス不倫”なのか

2016年02月18日 06:00
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▲不倫議員の辞職を認めた16日の国会(官邸サイトより)


どうも新田です。甘利さんの辞任で下がるどころか、上がってしまった内閣支持率ですが、自称イクメン元議員のゲス不倫辞職の後としては、主要メディアでは読売が最初に結果が出てまいりました。

甘利辞任より大きそうな“ゲス不倫”のダメージ


衆院補選へ自民引き締め…内閣支持低下52%
読売新聞社が12~14日に行った全国世論調査で、安倍内閣の支持率は52%と前回比で4ポイント下落したものの、何とか5割を維持した。http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160216-OYT1T50040.html

 
甘利辞任の直後で、ゲス不倫発覚前となる1月末時点では、政権への批判色が強い毎日新聞の調査で8ポイントも上昇。読者どころか毎日社内でも「えっ」という声が上がったそうです(笑)。ところが今度は面白いことに、主筆が総理と会食して政権を応援している読売の調査で下がってしまいました。ここら辺の読み解きは、読売以外にもゲス不倫発覚後の各社調査結果が出揃っていくうちに、あちこちでされるでしょうが、仮に読売と同様に下落傾向が出るとすれば、甘利辞任以上にゲス不倫のダメージが大きいという見立てが強まりそうです。

この前のVlogでも少し言及しましたが、ゲス不倫が甘利辞任と違うのは、政治に普段関心のない主婦にもわかりやすいネタということ。2つの事案のテレビ報道量のデータがあれば比較してみたいものですが、ゲス不倫は元議員の記者会見がお昼時に「ひるおび」で中継され、終了後も「ミヤネ屋」等で大きく取り上げられるなど、情報番組・ワイドショーの格好のネタになってしまいました。甘利さんの不祥事はお金を貰うのが悪いことがわかっても、秘書と業者の口利きや業者間のトラブルの構図をチャートで見せられても一般の人には事件の構図を理解するには頭を使わないとならない「新聞・週刊誌型」の事案。しかし、情事や不倫が絡んだお話はエンタメ化しやすく、夜の飲み屋でも話題になりやすい「テレビ型」事案です。

テレビが政権に引導を渡してきた


小泉内閣のテレポリティクス以降、お茶の間に政治ネタを提供する土壌が出来上がり、ここ10年の歴代政権の興亡はテレビの影響力が大きかったことは誰もが認めるところ。そして振り返れば、第1次安倍内閣から民主党政権まで衰退フェーズに入ってからは、「テレビ型」の不祥事が支持率や政権イメージにダメージを与えてきました。

もう、みんな忘れてますが、第1次安倍政権の時には、「ばんそうこう大臣」なんて強烈で、しかもテレビの「画(え)」になる事案もありましたね。まあ、そこまでの被写体ならずとも、「失言ゲーム」の罠も待ち受けております。、理時代の麻生さんの元祖・漢字が読めない問題があり、民主党政権では野田内閣発足直後の鉢呂経産相による「放射能をうつしてやる」発言“騒動”もありました。騒動に“”をつけたのは、喋った瞬間の「画」はなく、その後、長谷川幸洋さんの取材で本当に発言があったのか疑義が呈されたものの、事実関係がうやむやになった経緯があるからです。まあ、それでも「発言」があったということでテレビで大々的に報じられ、鉢呂氏は辞任。当時の政権の大きな痛手になりました。

政権のメディア戦略の真価が問われる局面


まあ、だから第二次安倍内閣になって、NHKの会長や経営委員に総理のぶっとんだお友達を据えてみたりとか、テレビ局に圧力をかけたとか、それが意に沿わないキャスターの降板につながっているとか、いろいろ噂が出てしまうのは、テレビを中心としたメディアコントロールの重要性を痛感し、政権が神経をとがらせていることの裏返しとも言えます。まあ、小泉内閣のメディア戦略の立役者は俺だ(キリ)的な広報戦略家を自称する世耕さんが官邸に入り、飯島さんまで招聘しちゃたわけですから、メディアコントロール(=テレビ対策)をこれほど戦略的&合理的に注力した政権は、歴代でもナンバーワンの布陣。

実際、安保法案や閣僚の不祥事辞任があっても何とか乗り越え、ナンバー3の甘利さん辞任をもってしても支持率を逆に8ポイント上げてみせる“離れ業”を見せてきましたが、さすがに、ゲス不倫クラスの大衆性と話題性をもったネタは、官邸の危機管理想定を超える事態だったでしょう。いまこそ東工大のエグザイルが方々で煽りまくっている自民党のメディア戦略なるものがその真価を試される局面になっているのではないでしょうか。ちなみに、私はダンスグループのEXILEの方は好きですが、東工大の方は◯◯(自粛)です。

歴史を狂わせる?運命の悪戯


それはさておき、ここ数日、永田町界隈の人たちと話をしていると、耳に入ってくるのが「定石ならダブル選挙は回避」「年内解散したとして晩秋から年末」という観測だったり、「本当に参院で3分の2取れるのだろうか」という疑問だったりします。まあ、所詮立ち話なり、飲み屋での会話だったりして、生数字を現時点で見てない中でのお話なので、その辺のデータは今後詰めていければと思いますけど、面白かったのは、しかるべき筋のこんな指摘。

「総理がここまで慎重に政権運営をし、メディアの締め付けもしてきた。にも関わらず、たった1人の若手議員の不倫をきっかけに、今後の情勢によっては3分の2を取れず、悲願である憲法改正ができなくなってしまわないか。歴史は些細なことで作られることがある」

想定外、それも些細で情と欲に基づいた動きを見せるのが人間社会の面白いところでもあるわけですが、仮にこの後の政治日程に影響し続け、安倍さんが改憲を断念せざるを得ないことになったら、なんという「運命の悪戯」。まあ、その運びとなりましたら、SEALDsはイクメン元議員氏に感謝しないとなりませんね(棒)

ただ先日、ジェラルド・カーティス大先生の講義を六本木ヒルズで聴いていたら、甘利辞任後に支持率が上がったことを「国民は『安倍さんがいなくなっても誰もいない』と思っている」と評し、現在の政治情勢を「戦後で野党が一番弱い時代」とご指摘されたのもまた事実。安倍さんが改憲への執念を持ち続けるのか、メディア戦略が今後も冴え続けるのか、各種情勢データを含め、引き続き激しく傍観してみたいところです。ではでは。

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新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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