【PR】人材ミスマッチが世界最悪の日本。何が問題か --- 望月 美奈子

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外資系人材紹介会社、ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン(以下ヘイズ・ジャパン)は2015年11月、世界31カ国の労働市場における人材の需給効率を評価・分析した調査研究「グローバル・スキル・インデックス」を発表しました。

この調査によると、対象となった31カ国のなかで、日本は人材の需要と供給のミスマッチ度を表す「人材のミスマッチ」の評価が米国と並んで最悪であり、アジア・太平洋地域ではもっとも「人材が探しにくい国」という結果となりました。日本企業はこの事実をどう受け止め、どう対処すべきでしょうか?

ヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクター、マーク・ブラジ氏は「日本では、企業が求めているスキルと、実際に求職者が持っているスキルが大きくかけ離れていることが浮き彫りになった」「企業の求めるスキルと求職者の持つスキルにおいて特にミスマッチが目立ち、その傾向は年々強くなっている」と分析しています。

「人材のミスマッチ」の評価では、企業の求めるスキルと求職者の持つスキルとの隔たりが労働市場に深刻な影響(労働市場が円滑に動かない、賃金の上昇を招くなど)を与えた場合、その度合いを0から10の数値でスコアリングしています。この数値が高いほど採用は円滑に進まないといわれます。国別に比較してみると、日本と米国が群を抜いて数値が高くなっています。

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また、2013年から2015年(3年分)の日本のデータを分析してみたところ、「人材のミスマッチ」の数値が年々増加しているのと同様に、「専門性の高い職種における賃金(上昇)圧力」も増加していることがわかりました。

平均以上の職業訓練、教育、経験を要する専門性の高い職業においては、賃金圧力が高まると高いスキルを持った人材の確保が難しくなります。この数値が高くなるほど、専門性の高い職業においてはスキル不足・人材不足が深刻になるのです。

下記の図の通り、2013年から2015年にかけて、いずれの数値も増加しています。日本は、専門性の高い職業のスキル不足・人材不足が深刻化しており、そのニーズは年々高まっているということが読み取れます。

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※図は「グローバル・スキル・インデックス」2013年~2015年のデータをもとに作成しました

専門性の高い人材に対する評価の低さが「人材のミスマッチ」の要因なのか


ヘイズ・ジャパンは、日本では、データサイエンティストや、デジタル・マーケティングのスキルを持つマーケティング担当者、経営に関する知見や高い金融知識を持ったFP&A(ファイナンシャル・プランニング&アナリシス※)、財務・経理のスペシャリストなどは、募集が多いにもかかわらず、人材の確保に苦戦していると分析しています。

※FP&Aは主に外資系企業での呼称であり日系企業では単に「財務・経理」と呼ぶことが多い。

一般的に米国では、専門性の高い人材を高く評価します。比較のため、これらの人材の平均年収を日本と米国で調査してみたところ、同じ職業の人材でも日本と米国では1,000万円近い差があることがわかりました。
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出典:Career Cast「The Highest Paying Jobs of 2015」、Indeed「”data Scientist” Salary in United States」、DODA「平均年収/生涯賃金データ2012職種別」 ※1ドル=120円で計算

日本企業は専門性の高い人材を確保するために努力を惜しんではいけない


最初にご紹介した「人材のミスマッチ」の数値を見ればわかりますが、米国も日本と同様に「人材のミスマッチ」に悩まされています。専門性の高い人材に対する賃金が高いにもかかわらず、そういった人材を十分に確保できないということは、人材の需要と供給のバランスが完全に崩れてしまっているという証拠です。もはや米国がこれらの人材を十二分に確保するには、人材育成以外に答えはなさそうです。

翻って日本を見てみましょう。平均年収で米国より1,000万円近くも低い給与しか得ることができません。これでは本当に優秀な人材は日本企業など見向きもせず、より評価してくれる海外企業や外資系企業に流出してしまうことでしょう。たとえそうならなかったとしても、よりよい条件があれば転職してしまい、自社に定着してくれない可能性は多分にあります。

日本が米国よりも有利な状況に置かれている点としては、専門性の高い人材を比較的安価に確保できるという点でしょう。年功序列的傾向が残る日本企業では、横並び思考が邪魔をして、たとえ優秀な人材であったとしてもひとりだけ高給で遇することは難しいと思われます。しかしながら、自社の成長に大きく貢献するであろう、これらの専門性の高いスキルを持った稀有な人材を確保できるのであれば、多少多く賃金を支払うことになったとしても企業への将来的な貢献度の方がより大きいと考えられるのではないでしょうか? 賃金だけが働き方の選択基準のすべてではありませんが、日本においてはまだまだ専門性の高い人材が評価されうる余地が残されていると考えられます。

日本における「人材のミスマッチ」を解決する方法はおもに3つ


もちろん、賃金を上げるだけがすべての答えではありません。日本において「人材のミスマッチ」を解消する方法としては、おもに以下の3つが考えられます。

1.人材の開発・育成によって専門性の高い人材を確保する
2.評価基準を明確化・明文化し、賃金(≒評価)を適正レベルにまで上げる
3.仕事のやりがいや事業の社会的意義などを通して積極的に声がけする

すでに専門性の高い人材の賃金が高い米国では、2の方法はなかなかとりづらいでしょう。しかし、いまの日本であれば、2の方法を含め、まだまだ上記3つの手法をとることが可能です。

賃金競争をあおるつもりはありません。より適切な評価がともなえば、1の方法によって専門性の高い人材を増やすことができるでしょう。専門性の高い人材の育成と適正評価、まずはこの2つをグローバル並みに実現し、その上で仕事のやりがいや事業の社会的意義を通して社外から積極的に専門性の高い人材を集めることが、「人材のミスマッチ」解消の鍵をにぎると考えます。

文:望月 美奈子

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編集部より:この記事はビズリーチ運営のオウンドメディア「HR review」の注目連載「人材のミスマッチ問題を斬る」の記事より転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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