【映画評】X-ミッション

渡 まち子

PointBreakかつて一流のアスリートだったFBI捜査官ジョニー・ユタは、ボーディ率いるアスリート・チームへの潜入捜査を命じられる。このチームには、アクロバティックな離れ業を繰り出すエクストリーム・スポーツのスキルを使って、前代未聞の犯罪を行っている疑いがかけられていた。ジョニーはその度胸と能力を認められてチームに入ることを許される。メンバーたちとともに命がけの行動を共にしていくうちに、ジョニーとボーディとの間に友情が芽生え始めるが…。

アスリート・チームによる犯罪集団への潜入捜査を敢行するFBI捜査官の活躍を描くクライムアクション「X-ミッション」。原案となっているのは、キャスリン・ビグロー監督、キアヌ・リーブス、故パトリック・スウェイジ出演の1991年の米映画「ハートブルー」だ。「ハートブルー」がサーフィンだったのに対し、本作で披露されるのはエクストリーム・スポーツ全般で、登場するのは、モトクロス、サーフィン、スノーボード、ウィングスーツフライング、ロッククライミングなど。一流アスリートがスタントとして参加し、とてもCGなしとは思えない超絶技巧の生身のアクションが次々に繰り出されるのが最大のウリだ。

この本物志向のアクションは、最高に興奮させられる。しかし、見事なまでに“それだけ”だ。FBI捜査官の潜入捜査というドラマは概ね同じだが、チームのカリスマ・リーダーのボーディがいう犯罪の理由が薄っぺらなので、ガックリくる。現代的でエコなのはいいが、スピリチュアルな屁理屈でテロもどきの犯罪を正当化されてもなぁ…。映画としては大いに不満があるのだが、あまりにも突き抜けたアクションの爽快さで、鑑賞後はスカッとさわやか。とことん何も残らないので、不思議なほど後味がよかった。近頃、ストレスが溜まり気味で…なんて人にはぜひお勧めしたい。
【55点】
(原題「POINT BREAK」)
(アメリカ/エリクソン・コア監督/エドガー・ラミレス、ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマー、他)
(超絶技度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年2月20日の記事を転載させていただきました(画像は公式ポスターより、アゴラ編集部)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。