福島第一原発事故は「メルトダウン」ではない

2016年03月01日 09:04

事故から5年たっても、新潟県知事は「メルトダウン」の意味も理解してないらしい。そもそも問題の東電のプレスリリースには「メルトダウン」という言葉は出てこない。書いてあるのは、こういうことだ。

調査を進める中で、当時の社内マニュアル上では、炉心損傷割合が5%を超えていれば、炉心溶融と判定することが明記されていることが判明しました。新潟県技術委員会に事故当時の経緯を説明する中で、上記マニュアルを十分に確認せず、炉心溶融を判断する根拠がなかったという誤った説明をしており、深くお詫び申し上げます。

私が2011年3月12日のブログ記事で指摘したように、12日0:30の段階で官邸の資料に「燃料溶融」と書かれていた。炉心が何らかの程度、損傷したことは当初から明らかだった。

それを「炉心溶融」と呼ぶかどうかは定義の問題だが、当時は東電は炉内の状態がわからないのでそう判断せず、保安院もそれに従って(苛酷事故を意味する)炉心溶融という言葉は使わなかった。その社内基準が今回わかったというだけだ。

ところが毎日新聞などが炉心溶融とメルトダウンを混同し、「メルトダウン『判断基準あった』 福島原発事故当時」と誤って報じたため、あたかも東電がメルトダウンを認めたかのように、泉田氏は誤認したわけだ。

「メルトダウン」という言葉の正式な定義はないが、チェルノブイリのような死亡事故をさすことが多いので、政府事故調などの公式文書ではまったく使われていない。それを嘘つきジャーナリストが、こうツイートしたのだ。

保安院は当時も「炉心溶融」とは発表していないし、「メルトダウン」という言葉は今までも使っていない。これはまったく事実無根である。

東電が「メルトダウン」と言っていないことはリリースを読めばわかるが、泉田氏はネット上で確認できる情報も見ないで嘘つきジャーナリストを信じている。彼は今年10月の知事選で4選をめざしているらしいが、この程度の情報リテラシーもない人物を4回も知事に選んだら、新潟県民は田中角栄以来の「愚かな選挙民」という汚名を返上できないだろう。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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