日清CM中止〜許されるバカと許されないバカ

2016年04月08日 19:00


どうも新田です。ビジネススキルも無いのに新聞社を辞めるバカをやって、人生棒に振りかけたのは私です。それはさておき、カップヌードルのCM、動画がネット上にリリースされた直後から、賛否両論の反響があって、電話なり、メールなりが日清食品さんにところに寄せられる炎上想定の作品ではありましたけども、こんなに早く引っ込める事態になろうとは。

カップヌードルのCMに関するお詫び

この度、3月30日より開始いたしましたカップヌードルの新CMに関しまして、お客様からたくさんのご意見をいただきました。

皆様に、ご不快な思いを感じさせる表現がありましたことを、深くお詫び申し上げます。

皆様のご意見を真摯に受け止め、当CM、「OBAKA’s UNIVERSITY」シリーズの第一弾の放送を取り止めることに致しました。
http://www.cupnoodle.jp/obakasuniversity/

 

「バズる」より「売れる」CMへの転換点に?

それにしても、今回ネット民から標的にされた矢口さんから、小林幸子さん、新垣さん、ムツゴロウさんなどなど、オファーしてキャスティングし、この企画を通してしまった日清食品の“英断”に一目置きましたが、筆者のフェイスブックの上に出てくる広告マーケティング系の人たちの反応を見ていますと、「面白いけど、これでカップヌードルが売れるの?」という冷静な疑問が散見されました。

カップ麺の元祖にして最強のロングセラー、カップヌードルは、各種マーケティング調査で認知度は鉄板級ではあるものの、成熟化するカップラーメン市場において毎年のように様々な新商品が繰り出される競争激化があり、日清食品さんとしては昨年、創業家のイケメン三代目が社長に就任されたタイミングに合わせて、停滞せずに進化を継続しようという意気込みもあって、今回の振り切った企画になったのだろうと察しますが、4マス広告全盛の時代なら、アンチの声は押し切れたのかもしれません。

しかし、ネット広告やネットマーケの進化に伴いA/Bテスト的な発想でプロモーションをかけていくコスパ重視の波は確実に企業の宣伝広報に及んでおり、発注先への伝統的な広告会社に日々オーダーする際の深層心理に、今回のケーススタディがトラウマになる可能性は高いです。今後、歴史のある企業を中心に、広告主サイドが社会的リスクを回避しようという意向が強まり、代理店サイドで周回遅れのキムタクみたいなリーマン離れの格好をするような、自称クリエイターの跳ねっ返り社員がぶっとんだ企画を提案したところで、仏頂面した官僚キャラの広告主サイドの責任者が「ハイリスクで100点を狙いに行くより、無難に50点を取りに行く」「確実に消費者が買ってくれるような刷り込みを」という風潮になっていくんでしょうか。

 

日清へのクレームは「マイノリティー憑依」なのか?

一方で、ネット民の生態を知っている筆者の知人からは、「騒いでいる奴は少数派だし、そういう人に限って商品を買わない」というもっともらしい意見も出ております。それ故に日清食品の今回の対応は腰砕けで、「振り切るならもっと振り切れ」という主戦論もあるわけですが、実害を受けた当事者でもない少数の人間が、いわゆる「マイノリティー憑依」で矢口さんの不倫をボロカスに叩いてきたのであっても、著名人の不貞不倫に対する許容度が恐ろしく狭まってしまったように感じます。

乙武さんのように爽やかさや教育者を売りにしていたり、宮崎前衆議院議員のような公人であるのなら叩かれるのはまだしも、矢口さんのような芸能人は、プライベートもコンテンツとして切り売りする、ある種の「芸」。冷やかし半分で一定層を楽しませているわけですから、3年以上も前の、しかも赤の他人がやらかしたことで、当事者間では話が済んだことに今更ムキになるのもなんだかな、と思うわけですよ

ネット時代になってツイッターとかで著名人と一般人がコミュニケーションが取れる敷居が低くなり、バラエティ系のタレントさんなんかは庶民的な等身大のキャラを見せている分、隣人に近い感覚で余計に突っ込みたくなるんでしょうかね。逆に、ネットはおろか、バラエティ番組にほとんど出演することがなく、浮世離れした美貌と役柄を売りにしている女優さんが仮にドラマと同じような壮絶な不倫をしているのが明るみになったら、同じような反応を見せるんでしょうかね。文句を言う人も、バラエティ系の芸能人よりは「壁」を感じる気もしますが。

 

メディア環境と同じく世論対策もイノベーションが要求

どちらにせよ、著名人の不貞不倫は、本業にリアルな支障をきたす可能性が大きくなってきたのは間違いありません。一連のセンテンススプリングのスクープ連発という、にわか要素も当初は感じていましたが、ネット民が騒ぎ、それをテレビやエンタメ系のマスコミがまた取り上げて、世論の「鏡」的にネットがまた炎上するという負の導火線が完成してしまっている現代社会は、多少過去のことであっても(矢口さんの不倫騒動はもう3年前)、蒸し返されるんだな、と。テレビのコマーシャル起用でこれですから、選挙に出馬とかになると、余計に大変だろうなと思う次第です。

でも、ドタ勘レベルの話ではありますが、私なんかよりはるかに優れた、天才的な広報戦術を編み出す人なら、なにかこう、許されなかったはずのバカを笑って許したくなる持って行ける術を提案できる余地はあるはず。メディア環境がこの10年で激変している以上、世論対策、PR戦術の“イノベーション”もまた要求されていると感じます。ではでは。

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新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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