新幹線や高速道路が災害ですぐ不通になる不条理

2016年04月20日 11:30

災害でいつも不思議なのは、新幹線や高速道路が簡単に通行止めや不通になって、復旧も在来線や一般道より時間がかかることだ。もちろん、本来のスピードや制限速度での運行は難しいのは分かるが、どうして、どうして簡単に通行止めにするか?、スピードを落としての仮開通ができないのか?、である。

そもそも、最新技術でつくった新幹線や高速道路が在来線や一般道より脆弱だというのはおかしい。南海トラフ地震対策でも標高の高いところに高速道路を建設して安全性の向上を図ろうという国土強靱化論もあるし、原発事故の際の避難路確保のためにも必要だとかいっておきながら、一般道より長く通行止めではその意味もない。

原因としては、以下のようなことが考えられる。

①スピードにこだわって本質的に脆弱な設計なのか。

②災害に強いように設備の改良で対処できるのではないか。

③ソフトの運営方法で改善できることも多いはず。

④単に運営主体が過度に慎重なだけか。

①についていえば、路線設定にも問題がありそうだ。また、側道がないとかインターチェンジが少ないので線路や道路へのアクセスが難しいといったこともある。片側一車線といった狭い道路幅では復旧工事をしながらの開通が難しそうだ。

③については、高速道路では速度の出し過ぎを規制するためのペースメーカー(先導車両)のあとを走らせるような手法で最低限の通行を保証することも可能なはずだ。

こうした脆弱性は新幹線や高速道路だけの問題ではない。琵琶湖の西を走って京阪神と北陸をつなぐ湖西線は風に弱く遠い関東地方に台風が来ても運休する。

本四架橋もしばしば通行止めになって台風が来ても孤島にならないことを期待していた四国の人をがっかりさせているし、海上にある関西空港は飛行機の発着困難でなく取り付け道路の通行止めで閉鎖されることが多い。

これなどは、たとえば、重心が低く風に強い車両を強風時用に用意したり、一定基準に達した車両のみを通す工夫くらいあって良い。

いずれにせよ、道路や鉄道は災害時にこそもっとも必要なものだ。営業的には通行止めにしたり、運休にしばらくした方が、設備に金をかけたり、面倒な制限付きの通行を確保するより、安上がりなのだろうが、それでは、公共交通の社会的責務をはたしてないことになる。

そのあたりをハード・ソフトの両面から検討することこそが、本当の意味での国土強靱化だろうと思うし、さほど予算もかかえらずにすぐ可能なことも多い。国土強靱化の思想にはおおいに賛成だが、工事をたくさんすることだけが目的であってはならないはずだ。


編集部より;この原稿は八幡和郎氏のFacebook投稿にご本人が加筆、アゴラに寄稿いただました。心より御礼申し上げます。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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