ヘリコプターマネーの作り方

2016年05月03日 10:15

T-POINT

元イギリス金融庁長官のアデア・ターナーが「ヘリコプターマネー」を推奨している。これはミルトン・フリードマンの命名した政策で、ECBも検討し、ターナーもIMFで提唱しており、まったくナンセンスとはいえない。

これは単なる量的緩和ではなく、政府(または中央銀行)が国民に現金を直接配ることだ。日銀は通常、市中銀行の債券を買って日銀券を発行しているが、これだと発行した日銀券が「ブタ積み」になって貸し出しに回らない。そこで銀行を通さないで、国民に直接カネを配るのだ。

ターナーは国債の日銀引き受けのような方法を考えているが、これでは公明党のような頭の悪い政治家にはわからないので、私はタイラー・コーウェンの提案した期限つきデビットカードを推薦したい。これは全国民に特別の口座を作らせ、そこに1年間のみ有効のデビットカード(電子マネー)を振り込む、マイナス金利の一種だ。

「定額給付金」のように数兆円ぐらいでは効果がないので、思い切って100兆円ぐらいばらまいたらどうだろうか。1人80万円だから、車1台ぐらい買える。預金しておくと1年後にはゼロになるので、急いで使うだろう。

もっと簡単な方法としては、ツタヤなどのポイントカードに日銀が80万ポイントを入金してもいい。新たにポイントカードをつくる企業にも同じ条件で入金すれば、「Gポイント」カードでほとんどの買い物ができるようになる。これによってGDPが100兆円増えることも確実なので、安倍首相の「名目GDP600兆円」も実現できる。

――といいことずくめなのだが、政府はなぜやらないのだろうか。それはターナーも心配するように、過剰流動性でハイパーインフレが起るおそれがあるからだ。マネタリーベースは一挙に30%ぐらい増えるので、物価は2倍ぐらいになるだろう。

これで政府の実質債務は半減する。年金生活者の所得は半減し、国民の金融資産も半減するが、その60%は60歳以上がもっているので、世代間格差も解消する。もちろん財政は破綻し、日本経済はめちゃくちゃになるが、1年たてば正常化するだろう。あの石油ショックで物価が2倍になったときも、5年でもとに戻った。

これは黒田総裁の裁量で日銀のオペとして実行できる(財政法にふれるおそれがあるので国会決議は必要)ので、財政危機を「ハードランディング」させるには、いちばん簡単な方法だ。ブランシャールもいうように、どうせ日本の財政は助からないのだから、リセットするなら早いほうがいい。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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