謝罪要求に対する拒否表明 --- 加藤 拓磨

2016年08月01日 22:00

加藤たくま区議の「誤報」に関する謝罪要求」が掲載されていますので回答いたします。

まず何か話に食い違いの点が何点かあろうかと思いますので、改めて順序立て、ご説明申し上げます。

発端となったのは貴殿が雑誌「PRESIDENT」に「都知事選出馬の増田寛也氏、岩手県知事時代に「自殺率急増」データ」(図1)という記事を掲載したことに対して、私が“誤報”という内容を掲載したことである(増田県政と自殺率を結びつける記事は“誤報”だ — 加藤 拓磨)。

図1 増田県政で自殺が急増

図1

増田寛也氏が知事の時代に自殺率が急増している事実は本当です。

しかし貴殿の自殺率の推移に対する考察には、バブル崩壊による不景気を主要因とした社会情勢の変化から自殺率が1998年から全国的に急増している事実と、自殺率と地域性に関しての考慮が全くないです。

増田寛也氏が知事の時代に自殺率が急増している事実は本当です。

しかし貴殿の自殺率の推移に対する考察には、バブル崩壊による不景気を主要因とした社会情勢の変化から自殺率が1998年から全国的に急増している事実と、自殺率と地域性に関しての考慮が全くありません。

 

以前、全国と岩手県のデータを並べさせていただきましたが、貴殿がおっしゃるには絶対評価が重要ということでしたので、全国の自殺死亡率について自殺総合対策推進センターHPのデータを用いて47都道府県の自殺死亡率の推移について整理しました(図2)。

図2 47都道府県の自殺死亡率の推移(1985~2012年)

図2

全国平均のみならず各都道府県で1998年に自殺率が増加していることがわかります。増田岩手県政が自殺率を抑制できなかったことに対して咎めがありますが、貴殿のPRESIDENTの記事のように増田岩手県政のみが失策をしていたような印象を持たせること自体はいかがなものかと考える次第であります。

貴殿のいう絶対評価ではこの時代の知事は全員悪政であったということになります。

貴殿の考え方を踏襲し、記事にするのであれば、「1998~2009年頃に就任していた知事は非常に悪政であり、自殺死亡率が高かった」ということになり、増田寛也氏のみに対して論ずることは明らかにおかしいです。

そこで私は貴殿のいう絶対評価で論じることは難しいと考え、相対評価とでもいえばいいのでしょうか、社会的な情勢を踏まえつつも、全国と岩手県を比較する手法を提案いたしました。

ある基準年の自殺死亡率を1として、ほかの年は何倍に変化しているのかという推移の図面を作成しました。

先の誤報と報じさせていただいた記事では、バブル崩壊をする前年1990年を基準年といたしました。

確かに一点否を認めるのであれば、お示しすべき基準年は1990年ではなく、増田県政が始まる前年の1994年の方が妥当であったと貴殿よりのご指摘を受けて、改めて図面を作成させていただきました。

図3 自殺死亡率の変化倍率の年次推移(岩手・全国、1994年比)再掲

図3

先にもご説明させていただきましたが、t検定(両側検定、有意水準α:0.05、サンプルサイズ:12)でp(基準年1994):0.12で「有意差はなし」となりました。

そして貴殿は有意差がないこと知り、統計的に全く使えないデータだという趣旨を述べられておられます。

有意差がないというだけで使えないデータというのはあまりにも稚拙です。

私が、何故わざわざ「有意差なし」と書いたのは貴殿が増田県政時に急増したと表現がありますが、その事実に対しても有意差はないということです。

急増はしておりますが、増田県政で急増したわけではなく、社会情勢的に増加しているので増田県政で自殺が急増という表現は誤報だと申し上げているわけです。

下記は他HPから引用したものでありますが、

「「有意差なし」は「仮説が肯定された」という結論にはならないので注意が必要である。すなわち、「差は無かった」とか「関連は認められなかった」という解釈は許されない。「有意差なし」とは、言い直すと「仮説は棄却されなかった」ということであり、肯定も否定もされない中途半端な状態を意味している。すなわち、白か黒かの判断が付かなかったということであり、白(仮説を肯定)の保証にはなっていないのである(黒の保証にもなっていない)。

(中略)

以上まとめると、「有意差なし(非有意)」は「今回の標本数で検出できる差は、認められなかった」とするのが、常に正しい解釈となる。標本数がかなり多く、現実的に問題となる差を検出できる規模になっている場合に限り、「差が認められなかった」との解釈が許されるが、標本数が少ない場合は、「差があるのか無いのか、判定出来なかった」と解釈すべきである。」

私の説も、貴殿がおっしゃる説も差があるのか無いのか、判定ができてないのがt検定の結果です。

また符号検定、ウィルコクソンの符号順位検定でも有意差はなかったです。

有意差があるような判定はできず、微々たる差であろうとも、傾向的に増減のどちらなのか確認しなければならないということで比較をしました。

1994年を基準年にしますと増田県政時代に自殺率が全国よりも低い年は12年分の8年ということになります。

最も基本的な統計指標である12年間の平均値では岩手県1.32、全国1.35でありました。

以上より、岩手県が急増したという表現はそぐわないということで誤報という表現を使わせていただきました。

前回でご回答できていたと思いますが、改めて述べさせていただきます。

(1)1990年の自殺率を測定する基準とした合理的根拠は何か

バブル崩壊(1991~1993年)の前年とすることで社会情勢を反映したものを作図するためです。

(2)1995年(増田県政開始年)の自殺率を測定する基準とした場合に上記の主張を維持するのか

ご指摘のように基準年の設定には様々議論があろうかと思いますが、増田県政開始の前年が最も妥当といたします。

よって質問する前に1995年を基準にする理由をお聞かせください。

(3)元の統計データを故意に操作したグラフを用いた記事を公人である区議会議員が選挙期間中に公開した政治責任をどう取るのか

特に間違ったことは行っていないために何ら責任を負う必要がございません。

(4) 中央大学大学院理工学研究科での博士号取得時までに「統計学」の単位を取得したことがあるのか

無論取得しております。

しかし今回のデータ整理は統計学を用いることが困難なサンプルサイズのため、この質問に答えさせる意図がわかりません。

私が申したいのは統計学を用いてなどではなく、貴殿に統計データを粗雑に使わないでほしいということです。

「視覚的な感覚で論じざるを得ませんでした」という表現は貴殿が基準年の設定に非常にこだわられ、この基準年であればこう見えるなどと申しているので、そちらのレベルで議論させていただきますよという意味です。

適当なことをやっているという意味ではありません。

(5)「誤報という信念」という思い込みによる批判ついて謝罪を要求します。

未だにその信念は変わらず、ご希望には添えません。

どのようなロジックで増田寛也氏のせいで増田県政時に自殺死亡率が向上したといえるのでしょうか?

選挙は終わりましたが、いまだに腑に落ちないのは私だけでしょうか。

加藤拓磨
加藤拓磨 中野区議会議員

1979年、東京・中野区生まれ。中央大学大学院理工学研究科 土木工学専攻、工学博士取得。2009年、国土交通省に入り、国土技術政策総合研究所で、ゲリラ豪雨、防災・減災、地球温暖化による影響等の研究に従事。2014年、一般財団法人国土技術研究センターを経て、15年中野区議選で初当選。

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