上杉隆・桜井誠ら4位以下の候補をどう評価?

2016年08月03日 06:00

過去の都知事選挙と比べて、今回ほど主要候補以外が注目されたことはない。どうしてかというと、主要候補とはいえないが、泡沫候補とも違う中間的な候補者が多かったので、マスコミも扱いに困った。

しかも、NHKなどが準主要候補として扱った中川暢三元加西市長は10位、山口敏夫元労相は11位で、泡沫扱いだった候補よりはるかに下位というスキャンダラスな結果だった。

そもそも、東京都知事選挙と参議院議員選挙の東京選挙区は、いつも今回と同じように10数人とか20人ほどの候補者が出る。なぜか。

それは、供託金が知事選挙は人口数十万の県でも東京都でも300万円だからだ。10%という法定得票数に達しないと没収されるが、この額で政見放送はただ、選挙公報を配ってもらえてポスターや葉書の印刷代やガソリン代なども負担してもらえるのだから売名や自分の主張を訴えたい人にとってはエコノミーだ。

従って、供託金を人口に比例するようにすれば泡沫候補はほぼいなくなって、ほかの都道府県の知事選挙や参議院選挙なみの候補者数になるというだけだ。人口に比例でなくとも同じというのはおかしいし見直すべきだ。 

日本の供託金は高すぎるので引き下げろという意見もあるが、どこの国でも安い費用で政党や議員の推薦もない候補に、公的に多額の費用を使って選挙運動をさせてもらえるようになっていることなどないから、現在の選挙制度で引き下げる必要があるとは思わない。 

ただ、ひとつの考え方として、供託金を2段階にして、高い供託金を出さないと、公的補助の対象が限定されるというようにするのはありうるかもしれない。 

一方、マスコミの扱いは、考え直すべきだろう。現在は過去の公職と政党推薦を基準にしているというが、それなら、1999年の都知事選挙での舛添要一候補は、そうしたどの基準にも合わないが主要候補扱いされていたから柔軟運用されているのだろう。 

私はひとつの考え方として、選挙の立候補届け出から選挙戦の開始まで、1~2週間くらいの時間を置くのも一案だと思う。そのことによって、選挙公報が来る前に期日前投票できるとかいう愚もなくなるし、マスコミもアンケート調査などしてある程度、客観的に候補者を選別できるのではないか。 

それから、これは、改善すべきだと思うのは、第一にポスター貼りを選挙管理委員会がまとめてすることだ。確かフランスはそうしているはずだ。猪瀬直樹元知事が、徳洲会事件の発端も自民党都連によるポスター貼り拒否だったと暴露していたが、ポスター貼りというのが連合の支援がある民進、それに公明、共産以外の候補者にとって非常なる頭痛の種であることは馬鹿馬鹿しいことだ。 

もうひとつは、記名式の投票を電子式や選択式に改めることだ。これをしないのは、知名度に勝る現職を有利にするためのものであることはいうまでもない。また、名前の善し悪しで有利不利が決まるのも変な話だ。 

ともかく、私が小池優勢を早くから主張してきた理由のひとつは、なにを隠そう、小池百合子という名前のすばらしさだ。鳥越俊太郎とか増田寛也などという名前はややこしすぎる。かといって、ありふれた名前もよくない。 

そんななかで、小池百合子というのは、小池も百合子も珍しすぎずありふれすぎず、一つの漢字の読み方しかなく、同じ音で他の漢字もほとんどなく、発音しやすく聞き取りやすく、しかも、名前のイメージと本人のイメージにギャップがないという理想的な名前だ。 

もし選択式か電子式にしたら、名前の善し悪しや知名度による有利さはかなり解消するはずだ。

上杉隆・桜井誠両氏の戦いについて

今回の選挙で、早い段階からこの2人が主要候補以外では強いというのは明らかだった。2人ともコアな支持者をもち、それなりの知名度もあり、SNSの使い方も熟知していたからだ。 

序盤では、彼らは中川・山口両氏に比べても無視され続けたが、ようやく後半戦になって上杉氏のほうは、ある程度は報道されていた。それに対して、桜井氏のほうは徹底的に排撃され、ポスターの位置が主要候補に挟まれていたところぼかしをいれた報道機関もあったという。 

そのなかで、中川氏が0.3%、山口氏が0.2%だったのにたいして、だいたい、上杉氏が2.7%、桜井氏が1.7%とったわけだが、これは、それなりの善戦だったと思う。

見たところ、本当は上杉氏や桜井氏がいちばんいいが、一票を無駄にしたくないので主要候補に入れるという人はかなり多かった。上杉氏のファンで鳥越氏と迷う人は最後のほうではあきらめて上杉に投票した人も多く、それに対して、桜井氏のほうは増田氏と接戦という噂もあって小池氏にというのがかなりあり、その意味では、本当は上杉氏より桜井氏のほうが支持は多かったような気もする。

いずれにせよ、政見放送では、この2人の方が主要候補より迫力があったという声も強いし、ネット情報のおかげで彼らはかなりの情報拡散には成功し、とくに、若い層では主要候補以外への支持は上の世代よりかなり多い20%近くだったのでないか。

その意味ではマスコミに取って無視できない存在になるだろう。また、あまり無視ばかりすると,極端な発言で注目を集めたがるようになるわけで、そう言う意味ではヘイトスピーチなどの横行には、右寄りの言論を伝えないマスコミにも責任があると思う。

それから最後に、ちょっと面白かったのが、小池当選についての沖縄タイムスの反応だ。

「都知事選で小池百合子氏が初当選して一夜明けた1日、沖縄県内からは、沖縄担当相を2年間務め『かりゆしウエア』の普及に尽力するなど沖縄に関係が深い政治家が首都の顔となることを喜ぶ声が上がった」とまずは誉めてる。 

しかし、「沖縄相時代の06年7月には那覇市内の講演で基地問題を念頭に『沖縄のマスコミとアラブのマスコミは似ている。反米、反イスラエルでそれ以外は出てこない』と発言。13年には党内の部会で「沖縄の先生方が闘っているのは、沖縄のメディア。県民を全て代表しているとは思わない」と発言したとして批判している。あまり解説はいるまい。まさに小池氏が言うとおりなのだが、それを沖縄タイムスが報道したのが面白かった。しかし、小池氏の毒舌の炸裂はこれからも楽しみ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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