「尖閣諸島寄付金」14億円はどうなってるの?

音喜多 駿

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

8月6日は人類史上初めて原爆が落とされた日、広島平和記念日です。改めてこの犠牲となった多くの方々に祈りを捧げるとともに、いち政治家として(地方議員だけど)平和な国を築いていく決意を新たにしているところです。

ところで国防・安全保障の観点は、先の東京都知事選挙でも争点の一つとなりました。争点にした候補者がいた、という方が正しいかもしれませんが、

「小池百合子氏は核武装論者だ!」
「彼女のようなタカ派が知事になれば、大変なことになる!」

という言説がまことしやかに流されておりましたので、本日はこの点について取り上げたいと思います。

まず大前提として国防・安全保障は政府の専管事項であって、都知事があれこれと口を出したりするものではなく、そもそも都知事選挙の争点には馴染みません。

とはいえ、懸念を持たれる方がいるのも理解はできます。そう、東京都ではあの石原慎太郎閣下が都知事を務めておられた時代に、国の専管事項に口を出すどころか、実際にお金まで集めてしまったことがあるからです。

これが悪名高き「東京都尖閣諸島寄付金」です。

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参考:東京都尖閣諸島基金について
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/senkaku/kikin.html

中国の脅威が尖閣諸島に及んでいた当時(今もヤバイですけど)、

「国が尖閣諸島に対して手を打たないなら、東京都が購入して対策をしよう!

というなんともぶっとんだ発想でスタートしたこの事業。幅広く寄付を募って14億円以上の寄付金を集めるも、結局購入は実現せずに終わることになりました。

ではこの集めてしまった14億円、いったいどうなっているのでしょうか?もちろん都議会としても問題意識を持っており、本会議や委員会でたびたび質問されます。

例えば、直近の総務委員会にて、自民党委員からの質問に対する答弁。

東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金は、確実かつ効率的な運用を行うため、六カ月の定期預金としており、残高は、直近の満期日でございます本年七月現在で十四億一千万余円でございます。この基金の活用につきましては、条例で、国による尖閣諸島の活用に関する取り組みのための資金とする旨を定めております。

このため、都といたしましては、今後、国の動向を慎重に見定めながら、寄附者の志が生かせるように対応したいと考えております。

(平成27年11月30日 総務委員会速記録より)

…まあつまり、塩漬けにされていてまったく使いみちが決められていないということです。

「え、じゃあ寄付者に返金しちゃえばいいじゃん?」

と思われる方も多いかもしれませんが、こちらの寄付金は匿名でもOKということになっていたため、返金先不明者が多数。使うこともできず、公平性の観点から返金することもできず、文字通りにニッチもサッチいかない状態になっているわけですね。

舛添知事が「都市外交」と称してパク大統領と会談し、都民になんら説明もないまま様々な約束をして帰ってきたこともそうですが、これらは地方自治体がその職責を飛び出して何かしようとしても、ロクな結果を招かないという典型例です。

この石原都政の「負の遺産」はもちろん小池百合子新知事も知るところであり、国の専管事項にクチバシを挟むことは考えづらいのではないかと思います。当然、こうした「失敗事例」を眼前で見ている都議会としても、それを安易に許すはずがありません。

東京都知事としての職責を第一に考えていただくよう、もちろん私もしっかりと提言してきますし、皆さまも厳しいチェックの目を光らせながらも、過剰な心配はせず新たな都政にご期待いただければと思います。

しかし尖閣諸島の寄付金は、決断力や発想力に優れた新知事といえど、そう簡単には解決できないと思います…。

条例改正して、オリンピック・パラリンピックに活用すれば、都民の理解は得られるかな?いや、それだと尖閣にまったく関係がなくなるし…とまあ私自身、この問題についてはなかなかクリアカットな解決策を思いつきません。

何か活用方法についてアイディアやご意見がある方は、ぜひともご教示いただければ幸いです。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。

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