費用は日本の4分の1!デンマークのバイオマス技術

2016年08月26日 11:30

このエントリーは連載ものです。

第1話 世界で1番幸福な街・デンマークRingkøbing-Skjemの市長が語る「幸福の秘訣」

第2話 デンマーク。高福祉高負担の先にあるものとは!?

Really!?
日本では20億円はかかるバイオマスプラントが、5億円弱と聞いて何度も聞き返しました。

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(豚糞尿や病気になったじゃがいも等を活用。発酵させてメタンガスを取り出し、発電や発熱に活用します。)

農業大国のデンマークでは、未来への投資の一環として、メタン発酵バイオガスを強力に推進40年近く前から実用化しています。(当時のプラントが、今でもしっかり稼働しています。)

日本では、ドイツの技術やプラントメーカーが中心ですが、実はデンマークの方が経験が豊富なわけです。

(ちなみに、ドイツは固定買取制度の導入以降、メタン発酵バイオガスが急速に普及しただけで、経験が浅くコストが高くなりがち。消費者の負担増から、自国(ドイツ)の固定買取制度が終焉を迎えたので、メーカーがこぞって輸出を始めたというのが、デンマークの関係筋の見方です。)

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(世界最大級のバイオガスプラント。)

例えば、発酵する温度。

37度前後(中温)と52度前後(高温)の二つの方法がありますが、中温の方が安定して発酵しやすいので、日本では中温が一般的です。しかし、中温は、高温と比べて、発酵に時間がかかり、そのためプラントの規模が大きくなり、費用がかさんでしまいます

デンマークでは、ほとんどが高温発酵。その分、プラントの規模が小さくなり、初期投資や維持管理コストが少なくてすみます。

「高温は、中温と比べて安定して発酵しにくいんではないですか?」気になることを聞いてみました。

温度やPh、原料の割合などを一定にすれば、全く問題がない。特に、温度を一定にするために、プラントの上部から下部まで断熱材を巻き、加熱している。(日本のプラントでは、上部まで断熱材を巻いていません。)温度が上下してしまうと、メタン菌が活動しにくく、十分な発酵ができなくなってしまう。それを管理する技術が十分に蓄積されている。」

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(建設中のバイオガスプラント。ComBigaS社だけで、7か所を同時に建設中とのこと。)

次に、原料の細分の仕方と、かき混ぜ方。

十分にメタン発酵させるたまには、原料を細かく砕かなければなりません。日本では、発酵槽に入れる前に砕くのですが、デンマークのComBigaS社では砕く前から発酵槽の上部に入れて、固形分や重たいものが沈んでいく性質を利用して、槽の下部からガスエンジンで原料を吸い出して、そのときに刃で刻みます。そうすうことで、原料が52度に加熱され、多くの水分を含むので、発酵槽に入れる前と比べて柔らかくなり、砕きやすくなります。そして、刃が傷みにくくなる(=稼働率が高まり、維持管理費用がかかりにくくなる)とのことです。

また、日本では、発酵槽の中にプロペラの羽を入れてエンジンでかき混ぜるのですが、ComBigas社では槽の下部からガスエンジンで吸い出して、槽の外部に沿わせた配管をつたって上部から再度投入して循環します。(そのときに、その力を利用して刃で原料を砕いていきます。)

バイオガスプラントが時間とともに稼働しにくくなる大きな原因は、プロペラの羽が摩耗したり、錆びたりして、あるいはエンジンが故障してうまくかき混ぜられなくなるからですが(槽の中なので修理に非常にコストがかかります。)、この方式ならば、羽やガスエンジンが槽の外にあるので、取り換えが極めて容易です。

日本では、発酵槽の前にさまざまな槽を用意して原料を砕いたりいろいろなことをするのですが、ComBigaS社ではほとんど発酵槽だけ。だからこそ初期費用も大幅に抑えられます。

これは、まさに技術の蓄積ですね。Make it simple possible!何度も言われたこの言葉をかみしめて、日本でもしっかり成功させていきたいです。

ちなみに、視察の様子がデンマークのテレビでも紹介されました。

※ 1DKK(デンマーク・クローネ)=15.3円で計算しています。

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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年8月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。

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井上 貴至
鹿児島県長島町副町長(総務省から出向)

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