台湾は国でなく二重国籍もないという説の誤り

八幡 和郎

蓮舫さんの国籍問題について、日本と台湾には国交がないので、「中華民国籍」とういうのは、国籍でなく、二重国籍にもならないという人がいる。そこで、この点について、ちょっと、説明しておきたい。

「中華民国籍」については、世間では「台湾籍」ともいわれる。しかし、厳密にいえば、日本の戸籍事務においては、中華民国籍は『中国』とされる。つまり、中華人民共和国籍であろうが中華民国籍であろうが、同じ『中国国籍』である。

戸籍業務では長ったらしい国名を全部書くのでないのだ。従って、これを国籍でないと言う議論は成り立たない。

ただし、2012年まで使われていた外国人登録証明書(外登証)においては、中華民国籍のものは『中国』とされていた。つまり、蓮舫さんが少なくとも1985年初まで持っていた外国人登録証明書には国籍欄に『中国』と書かれていたわけで、日台国交断絶後の1972年以降も無国籍者と扱われていたことはまったくない。

たが、同年に導入された在留カードでは、『国籍・地域』という書き方になって、『台湾』とされている。ただし、これは、便宜的な表示で、国籍が「中国」(中華人民共和国というわけではない)であるという建前はまだ崩れていない。

また、日台間では、実質的な外交の窓口を日本側の交流協会、台湾側の亜東関係協会が担当しており、実質的な大使館・領事館機能を「台北駐日経済文化代表処」(旧「亜東関係協会東京弁事処」)などが行っており、同様の存在を持たない北朝鮮とはまったく違う扱いだ。

そのあたりの細かい事情については、リンク先(台灣之聲【戸籍問題】台湾出身者の戸籍の国籍が「台湾」でなければならない理由)に書いているので参考になると思う。


編集部より:八幡氏が連日指摘している「二重国籍」の問題について、9月1日午後、蓮舫氏の事務所に対し、事実関係の確認、および反論・説明がある場合は掲載する用意があることを通告しました。9月2日19時を、とりあえずの期限としましたが、2日夜の時点では回答がありませんでした。同日は蓮舫氏が出馬した民進党の代表選告示日であり、関係者が多忙であることを考慮し、引き続き回答を待つ所存です。近日中に回答があれば、その内容を改めて報告します。