トランプ次期大統領、100日計画の内容はアンケート結果に依拠?

2016年11月24日 06:00

トランプ

トランプ次期大統領、就任する前から異例づくしです。

21日には、大統領就任後も継続させる予定のツイッターにて100日計画を発表しました。

冒頭で政権移行は円滑に進んでいると強調しつつ、自身の課題は明白で「米国第一を掲げる(Put Ameica first)」と明言。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の離脱を真っ先に挙げました。日米を始め12ヵ国が加盟するTPPは世界のGDPの40%を占めるものの、トランプ氏は「二国間で公平な貿易協定」を重視すると語ります。

環境保護にも、冷や水を浴びせました。「シェールガスやクリーンコールを含む米国のエネルギー産業から雇用を奪う規制を廃止する」と言及。振り返ると、米大統領選の最中からエネルギー政策のアドバイザーに温暖化現象懐疑派の最右翼で、下院天然資源委員会の委員を務めるケビン・クレイマー議員(ノースダコタ州)を選んでいましたよね。エネルギー長官には、”シェール・キング”の異名を取るコンチネンタル・リソーシズのハロルド・ハム最高経営責任者(CEO)の名前が取沙汰されており、実現すればフラッキング規制緩和の流れを呼び込むでしょう。ただし一連の規制は州政府が決定権を有するため、米大統領選ができることは限られます。環境保護に尽力したオバマ米大統領路線から180度転換するように見せて、具体策に言及しなかった背景もここにあるかと。そもそも、トランプ氏自身「風力や太陽光など、あらゆるオルタナティブ・エネルギーを支持する」スタンスでしたから、再生可能エネルギーへの補助金全面カットなどの強硬策に出るかは微妙な情勢です。

ダウが22日に史上初の19,000ドル突破を果たしたように、規制緩和の波が訪れる可能性は濃厚。トランプ次期大統領は「新しいもの、古いものに至るまで規制を排除しなければならない」と発言しました。22日における米株の反応は、ドッド・フランク法の廃止を含む規制緩和への期待を反映したものと言えるでしょう。ドッド・フランク法廃止を目指す下院金融サービス委員長のジェブ・ヘンサーリング委員長(共和党、テキサス州)は、トランプ政権発足で”ボルカ―ルール”撤回を含め本格的に動き出す公算です。

サイバー攻撃への警戒も、怠りません。「国家あるいは民間による攻撃を阻止する攻撃的なサイバーシステムを開発し、必要なら迎え撃つ」との立場を表明しました。第3回目の討論会では民主党のクリントン候補が自身の陣営に関するeメール漏洩がロシアによるものとの認識に基づき、トランプ氏の奨励コメントもあって「ロシアの操り人形」と辛らつな批判を投げかけましたよね。トランプ次期米大統領のサイバー攻撃への強気な姿勢は、ロシアへの関与を暗に否定したかのようです。

移民問題にも、言及しました。トランプ次期米大統領は「不法移民の流入に終止符を打ち、テロ問題を抱える地域からの移民受け入れを中止する」と述べています。また、アメリカ人の雇用を阻害するような「ビザ制度の乱用を全て調査する」とも明言。ただし、メキシコ国境に壁を建設すると約束しませんでした。メキシコのペニャニエト大統領が安堵したことでしょう。

ロビー活動の抑制も働きかけています。公職に就いた者に対し、5年間はロビイストとして活動ができないよう禁止令を発する見通し。さすが反エスタブリッシュメント候補、政治的な影響を削ぐ意思が現れています。CBSの60ミニッツとのインタビューではワシントンでは「誰もがロビイストだ」と口撃し、且つ選挙公約に盛り込んでいた内容ですから不思議はありません。ただし右派系メディアで選対本部の最高経営責任者、スティーブ・バノン氏がCEOを務めたブライトバートは、政権移行にあたってロビイストの助力が必要と認めています。ホワイトハウス高官による外国政府のためのロビー活動禁止を盛り込まなかったのは、こうした事情が背景にあったのでしょう。

100日計画の内容を確認し、手を叩いて喜んだ米国のトランプ支持者が存在したかもしれません。事前に、トランプ陣営は支持者に対し”100日計画アンケート”を実施していたのですよ。相当長い質問項目に配慮したためか、敢えて番号をふらずに全て「1」と表示するなんてお見事!末尾にフルネームとメールアドレス、郵便番号(Zip code)の記入を求めていたことには、驚かされました。

質問のトップはメキシコ国境への壁建設。2番目は医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃。

trump-survey

もし自分が記入した回答が反映されていたら、喜ばずにいられないでしょう。”100日計画アンケート”なんて前代未聞ですが、トランプ氏らしい戦略です。

100日計画に盛り込まれなかった政策には、1)インフラ投資、2)税制改正(所得税、法人税減税)、3)医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃——が挙げられます。1)と2)をめぐっては財源を確保する上で共和党の財政タカ派との交渉が必須であり、外さざるを得なかったのでしょう。3)については、約1,300万人が加入する医療保険制度を100日で撤廃し新しい制度に取り替えるなど”不可能”と判断したようです。

このアンケートのアドレス、action.trump2016.comをググると共和党サイトにたどり着きます。共和党が大統領、上下院を制したのはブッシュ前大統領時代(2003~07年)以来であり、選挙後にサイトを融合しない理由もなかったのでしょう。

(カバー写真:Gage Skidmore/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年11月23日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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