グーグル(Google)の自動運転車について報道が相次いでいる。自動運転技術に関する企業「Waymo」の設立が、12月13日にグーグルの親会社であるAlphabetから発表された。一方で、グーグルは自動運転車の自社開発を断念し、自動車メーカーとの協業を重視するとの報道も流れている。
グーグルが自動運転車を開発する目的は、自動車ビジネスへの進出よりも、自動運転車が収集する膨大な情報ではないか。
グーグルは大量の情報、ひとつ一つではほとんど意味を持たないものも含めて大量の情報を収集し、分析して、新たな価値を生むビジネスを展開している。自動運転車が実現すれば、路側を含めて膨大な情報が入手できるようになり、それが価値を生む可能性がある。
自動車からの情報が新しい価値を生んだ実例がすでにある。埼玉県は2016年2月に「ビッグデータの活用 カーナビデータによる道路危険箇所の解消」という発表をした。ホンダ車のカーナビから得られる走行データを分析し、急ブレーキが多発している箇所を特定して安全対策を施し、急ブレーキや人身事故を削減したという。
KDDIとナビタイムジャパンは、12月13日より、カーナビアプリで、新しい道路を自動的に地図に反映する「地図自動更新機能」を提供開始すると発表した。自動車からの位置情報を解析し、道路がなかった場所に一定数以上の走行実績ができた場合には、新しい道路が開通したと推定して地図に反映するというものだ。
グーグルの目的は、情報収集ロボットとして自動走行車を世界中にばらまくことだ。それによって、先の実例以上の価値が生まれる可能性がある。そのためには、自社開発の自動車を売るよりも、多くの自動車メーカーで製品化されるほうがよい。