社会主義はなぜ崩壊したの?

2017年01月02日 06:38

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よい子のみなさんの生まれる前のことですが、「社会主義」の国がありました。1980年代までは世界の半分ぐらいが社会主義で、そのうち「歴史の必然」で資本主義は崩壊して社会主義になるといわれていましたが、崩壊したのは社会主義のほうでした。今ではそれはダメな経済システムの代名詞ですが、なぜ社会主義は崩壊したんでしょうか?

それが「計画経済」だったからとか「統制経済」だったからだというのは答になりません。なぜ計画経済はダメなんでしょうか。みなさんはお母さんに「お年玉は計画的に使いなさい」といわれるでしょう。経済を計画的に運営したら、なぜいけないんでしょうか?

これは世界的な大論争になった問題ですが、その答を簡単にいうと、完ぺきな計画が完ぺきに動くのは当たり前だということです。1億人の日本人が何をしたいと思っているかがわかり、その通りに経済を計画できれば完ぺきです。問題は、そんな完ぺきな計画ができるのかということです。

そのためには、ぼう大な情報をあつめて計画を立て、いちいち人々に命令しないといけません。そんなことはできないので、現実の社会主義国では役所が国営企業と相談して、適当に生産の割り当てを決めていました。ソ連の計画当局者が「何を使って計画を立てているのか?」と聞かれて「電話」と答えたといわれています。

計画的に経済を運営するのはいいことですが、実際にそれをやると非常に能率が悪い。日本でも「お役所仕事」といいますが、その最大の原因は、競争がないことです。資本主義では、能率の悪い会社は経営がうまく行かなくなってつぶれますが、社会主義ではつぶれません。国がお金を出して助けるからです

もちろん会社がつぶれるのはよくないことで、国が助けると、そのときはみんな喜びます。でもそうやって経営の破綻した国営企業がゾンビ企業(生きているように見えるつぶれた会社)として生き残ると、生産性(経済全体の能率)が悪くなって、みんな貧しくなります。

これは安倍政権が「デフレ脱却」とかいってやっている増税の先送りと同じです。国がお金を使うと、そのときはみんな喜びますが、国の借金はふえます。金利が上がると、そのぶん借金も(元利合計で)雪ダルマ式にふえるので大変なことになります。

では金利が上がらなかったらいいでしょうか? そうすると先送りはしばらく続けられますが、お金を使わないお年寄りがお金を貯め込み、ゾンビ企業が生き残って経済が衰退します。日本経済の行き詰まりの原因は、社会主義の末期とよく似ているのです。

1980年代まで、社会主義が自分で崩壊すると思った人はほとんどいませんでした。それは資本主義の国と戦争して滅びると思われていたのですが、上の写真のように1989年にベルリンの壁が壊れると、あっけなく崩壊してしまいました。日本経済も社会主義みたいに行き詰まっているので、壊れるときは意外に簡単に壊れるかもしれません。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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