トランプを黙らせる方法(特別寄稿)

2017年01月26日 06:01

※編集部より:本稿は、1月からアゴラ研究所のフェローに就任した渡瀬裕哉さんのオリジナル寄稿です。他では読めないトランプの情報、ぜひご一読ください。

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ツイッターアカウント「Shutup Trump」より引用(編集部)

トランプ政権始動、風当たりが強くなる日本

Twitterによる日系企業への指先介入、日本政府に対する貿易などに関する圧力など、トランプ政権が本格的に始動する中で、日本への風当たりは強くなる一方となっています。

そして、安倍首相がトランプに何度懇願しても容赦なく正式にTPP撤退の署名、日本政府が希望した首脳会談では安倍首相だけではなく麻生財務大臣まで呼びつけられている有様となっています。

昨年11月、安倍首相がヒラリーとしか会わなかった埋め合わせにトランプ氏に面会しました。しかし、安倍首相との面会時に価値ある提案が無かったと判断したトランプ氏は会談直後にTPP撤退を宣言しています。今度は、トランプ氏は安倍首相だけではなく麻生財務大臣を呼んで「お金」の話がしたいということでしょう。まさに、トランプ氏に日本と安倍首相が軽く見られている証左だと言えます。

日本政府は従来までの外交チャネルを失っている

日本が軽く見られる理由は既存の外交チャネルがトランプ政権内で力を持っていないからです。昨年の大統領選挙期間中に共和党系の外交関係の専門家が反トランプの公開書簡を連名で公表してヒラリーへの投票を呼び掛けています。その中には日本の国会議員や官僚などが日参する著名なアジア政策の担当者らが名前を連ねていました。(これらの人たちは共和党主流派に近いスタンスを取ってきた人々です。)

トランプ勝利によってトランプ政権とこれらの人々の間には距離が生じており、新しく任命された対アジア政策に絡む人々は必ずしも日本政府と密接な関係を有する人々ではなくなっています。したがって、現在のトランプ政権内部では日本を擁護する人々の声は非常に弱くなっているものと推測されます。これは外交チャネルの多元化を怠ってきた日本外交の失敗と言えます。

実はトランプは政権基盤の弱い大統領である

ただし、正式就任を経て唯我独尊のように見えるトランプ大統領にも弱点は存在しています。それはトランプ大統領の国内政権基盤が極めて脆いということです。トランプ大統領は激しく対立する民主党やメディアはもちろん、身内である共和党内との関係も全面的に良好であるわけではありません。

選挙戦の過程でトランプ大統領は党内主流派(ブッシュ、マケイン、ロムニーら)とコーク財団(リバタリアン系)に影響力が強いグループ)との関係が悪化しています。したがって、トランプ政権を支えている人々は共和党内の一派閥である保守派のみ状況です。

トランプ大統領の閣僚には保守派の面々がズラッと並んでおり、その政策は、減税、規制緩和、移民制限、オバマケア廃止、環境政策見直し、TPP見直し(一部の保守派が賛成)、対中政策などは保守派が求める内容です。その政策の立案で中心的な役割を果たす保守派のヘリテージ財団は政権移行チームにも大量に人材を送り込んで影響力を行使しています。

トランプ政権は共和党保守派に依存した政権運営・政策立案を行っており、トランプ大統領も唯一の味方である共和党保守派の言うことは聞かざるを得ないものと思われます。

トランプを動かすには最大の支持母体から攻めるべきだ

したがって、日本政府は共和党保守派との関係を強化していくことによって、日本の意向を通しやすい関係を構築していくことが望まれます。従来までの共和党主流派に近い人々に偏重した人間関係づくりやモノの見方を改めて、そろそろトランプ政権始動という現実を受け止めるべきでしょう。

トランプ大統領の政権人事は共和党政権としては極めて珍しく、東アジアに対する優先順位が相対的に高い政権となっています。安全保障政策や通商政策においてアグレッシブな動きがある可能性が高く、環境の激変に適切に対応するためにトランプ政権の根っこを押さえながら対応することは当然でしょう。

トランプ大統領の日本への「口撃」を退けるためには、トランプ政権の最大の支持母体である共和党保守派の考え方や行動を理解することが必要であり、日本側も従来までの対米政策の担当者だけでなく新しい状況に対応した人材選定・人材育成を行っていくべきです。

 

本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。

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