長谷川豊は当選するのか。超ざっくり票読み

2017年02月06日 06:00
長谷川豊 ブログ

長谷川豊氏ブログより

「人工透析患者を殺せ」などブログでの過激な発言が大炎上し、レギュラー番組をすべて降板していたフリーアナウンサーの長谷川豊氏(元フジテレビ)が、次期衆院選で日本維新の会公認で千葉1区から出馬することが5日明らかになった。きょう6日には当人が出馬記者会見を開く予定だが、そもそも、長谷川氏は当選する見通しはあるのだろうか。

昨日、そのニュースが流れてから、ツイッターやフェイスブックで所感をいくつか書いたので、それをベースに「超ざっくり」の票読みをしてみる。なので、こんな選挙区なんだなー、くらいで思ってください。

さて、彼が出るとされる千葉1区だが、県都の中心部である中央区、幕張新都心を擁する美浜区、総武線沿線の稲毛区など県内でも特に都会的な土地柄だ。都内に通勤・通学する“千葉都民”も多い。あくまでごく一部のイメージ切り取りだが、最もハイソなところでこのベイタウンのようなエリアもある。

幕張ベイタウン

幕張ベイタウン(写真AC)

前回(2014年)はこのような結果だった(前は前職、新は新人)。

当落 候補者名 所属政党 得票数 得票率
田嶋要(前) 民主党 84,755票 41.1%
比当 門山宏哲(前) 自由民主党 76,937票 37.3%
田沼隆志(前) 次世代の党 26,322票 12.8%
吉田直義(新) 日本共産党 18,182票  8.8%

 

田嶋・熊谷“NTTライン”の牙城

現職は民進党の田嶋要氏。過去の選挙結果をさかのぼって、見てみたら、あの民主党大逆風の2012年、14年も小選挙区で勝っている。田嶋氏は連合労組でも有力な組織の一つ、情報労連からの輩出で、千葉市で絶大な人気を誇る熊谷俊人市長(元民主党市議)とは、NTTグループ企業の先輩後輩の仲で、地盤は手厚い。道理で強いわけだ。

2012年に日本維新の会から初出馬初当選し、その後、次世代の党に移った田沼隆志氏は落選。現在は自民に入って浪人中で、比例復活の門山宏明氏も選挙区にいることから、他の選挙区への転出を含めて検討しているようだ。

長谷川氏としては、「自民でも民進でもない(もちろん公明でも共産でもない)」マーケットを狙うしかないが、2012年に田沼氏を比例復活させたように、維新の支持層はそれなりにいる。2012年の総選挙では、田沼氏が44000票を獲得(比例復活)。比例でも橋下維新と石原慎太郎氏率いる党が合併した旧・日本維新の会時代には、47000票を掘り起こした。その後、維新は分裂し、田沼氏は次世代に移ったが、14年は、維新の党(25,000)と次世代(14,000)を合わせると、4万弱ある。

党がおおさか維新となった16年の参院選の比例では、衆院1区エリアで2万票に届かず、衰退傾向にあったが、「おおさか」の冠では千葉で訴求力には乏しいので、ここは程々の参考。

「和製トランプ」での訴求が活路?

千代田区長選もそうだったが、千葉1区では、みんなの党支持層を取り込めるかもカギになるのでは。以前から長谷川氏は、社会保障切り込み的なことを主張し、左派の人たちからブログで“新自由主義者”のレッテル貼られるくらいなので、政策的には長谷川氏と旧みんなの党と(表面的には)一定の親和性はあるように見える。

千葉1区のみんな票は12年が27811票あってその後、党が消滅。自民の1区比例票は14年に1万増やしているので、みんな支持層の3分の1程度が流れたとみられるが、ここは「ライトな自民支持層」だろうから、風向き次第で変わりうる。世代間格差の是正や解雇解禁といった、みんな支持層に親和性のある政策を打ち出し、「和製トランプ」的にポリコレを排した戦略的な炎上マーケティングを行い、40代以下の層の取り込みを図る。もちろん、12、14年の「維新」票が4万以上あるので、そこからも票を取らなければならないが、良い意味でも悪い意味でもアナウンサーとして培った知名度を生かす。具体的には、選挙中もスポーツ紙や週刊誌、ネットメディアでの報道露出は多いだろう。また、衆院選が都議選の後になるのであれば、苦戦が予想されている都議選候補者たちの応援にも出ることで、党本部としては話題作り、候補者たちの後押しも期待しているのかもしれない。

ロイターの記事によると、松井代表が「橋下徹前代表と似て、言うべきところは言うスタンスだ。税金の使い方を見直す政治家として活動してもらいたい」と語っている。昨夏の参院選東京選挙区で「報酬ゼロ」を掲げた無所属の横粂勝仁氏が、旧みんなの党支持層を取り込んだとみられる(筆者、および選挙仲間の見立て)ことも考えると、身を切る改革といった都会民受けする政策を示せば、得票率25〜30%は狙えないラインではない。

田嶋氏には勝つのは難しいが、それなりに健闘して比例復活の可能性は十分ある(田嶋氏は前回41%)。

小池新党というリスク

ただし、毀誉褒貶が激しいキャラクターだけに、普通の著名人が出るのとは違う。来る票もあれば離れる票もあろう。

そして、もう一つのリスクとしては、次の衆院選時点で小池新党がどうなっているかも大きいだろう。千代田区長選の勢いそのまま都議選も制し、国政進出という方向になった時、千葉県内で小池ブランドがどこまで浸透するのかとのにらみ合いになる。

長谷川氏や維新が、都内の空白選挙区を選ばなかったのは、小池新党躍進時も計算した上で、千葉では、小池ブランドが「限定的」という計算もしたのだろうか。そこまで周到に考えているのであれば、苦手の首都圏エリア攻略に向け、単に比例票集めと支持層掘り起こしのための「炎上マーケティング」ではなさそうだ。しかし、都議選で小池新党が大勝利し、その余勢をかって、たとえば千葉1区に著名な美人女性候補が落下傘で来る展開になれば、支持層的に割を食らう可能性はある。

まあ、実際に新しく調査をしたわけではないし、長谷川氏もここ最近はキー局で目立つ活躍をしていたわけではないので、千葉県内での知名度がいかほどなのか、現状を知りたいところではあるが。以上、ざっくり計算&第一印象でした。

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新田 哲史
ワニブックス
2016-12-08

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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