プレジデントオンラインで、「小規模飲食店に分煙は無理」という記事が掲載されています。東京オリンピックに向けて、喫煙の規制が強化されると飲食店に深刻な打撃があるという内容です。
厚生労働省の法案は、飲食店などのサービス業は原則建物内禁煙で、店内での喫煙をする場合喫煙室の設置が義務付けられるというものです。これに対して、日本フードサービス協会などが反対しています。
店内が禁煙になると喫煙者の来店が減って、減収になってしまう。といって、喫煙室を設置するとコストとスペースが必要でこれも難しい。だから、飲食店は規制強化に反対という理屈です。
しかし、飲食店が全面禁煙に反対する理由は、健康という観点だけではなく、ビジネスという観点からもズレているような気がしました。
飲食店のお客様を喫煙者と禁煙者に分けて、全面禁煙化の影響を考えてみます。
もし日本全体で一斉に店内禁煙ということになれば、自分のお店を禁煙にすると喫煙できる他のお店に客が流れるという心配は無くなります。一部の喫煙目的の人が集まるカフェなどでは、店内が禁煙になると喫煙者の来店が減るかもしれません。しかし、居酒屋などでは喫煙できなくなれば顧客の滞在時間が短くなって回転が良くなったり、注文が増えて客単価が上がる、さらに灰皿や吸殻の片付けが無くなるといったメリットが大きいと思います。延べ床面積が約30平方メートル以下の小規模店は禁煙規制の例外とするといった、代案も出ているようですが、全店で一斉にやらなければ不公平です。
禁煙者はどうでしょうか。そもそも日本の喫煙者の割合は19.3%(男性32.2%、女性8.2%)ということですから、ほとんどの人はタバコを吸わないのです。店内全面禁煙が当たり前になれば、タバコが嫌いで外食しない人たちのお店の選択肢が広がります。
私も禁煙派なので外食する時は極力禁煙のお店を選びたいと思っていますが、そうするとお店の選択肢が狭くなってしまいます。仕方なく、喫煙可能なお店にも行きますが、出来るだけ喫煙者がいない風上の席を選ぶようにしています。全面禁煙になれば、私と同じようにもっと違うお店にも行きたいと思っている人たちが外食回数を増やすはずです。
このように考えると、飲食店の全面禁煙化でマイナスの影響が出るのは、喫煙のためだけに来店する人で成り立っている限られたお店だけになります。分煙施設なんか作らなくても、来店者は減らず、飲食業界全体では売上がアップする可能性が高いのです。
2月26日にこんな試食会を開催するSHINOBY`S BAR 銀座(写真)はビストロのようなメニュを提供するワインバーですが全面禁煙です。小さなお店ですから、もし喫煙可能にしたら店内に紫煙が充満して、逆にお客様の数が減ってしまうのではないかと思います。このように禁煙にした方が集客メリットの大きいお店も実はたくさんあるのです。
タバコが苦手な人であっても、知り合いの人や会社の上司に「タバコ吸っても良いですか?」と聞かれて、「No!」とはなかなか言えないものです。厚生労働省の推計では受動喫煙による死者は年間15000人と言われています。一日も早く飲食店の全面禁煙を実施して欲しいと思います。
■ 毎週金曜日に配信している無料メルマガ「資産デザイン研究所メール」。メールアドレスを登録するだけで、お金を増やすためのとっておきのヒントをお届けします。
■ 資産デザイン研究所のセミナーやイベントの最新情報はセミナー最新情報でご案内しています。
※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年2月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。