セブンイレブンの色彩商標が認められた意義

特許庁(経済産業省)から、3月1日に、「色彩のみからなる商標について初の登録を行います」という報道発表が出た。特許庁は音商標・動き商標・色彩のみからなる商標(色彩商標)などの新しいタイプの商標について、2015年4月から出願受付を開始した。色彩商標以外ではすでに200件を超える登録があるが、この度、色彩商標2件の登録を認める判断を初めて行ったというのが報道発表の趣旨である。

商標を保護することにより企業の信用の維持を図り産業の発達に寄与することと、商品を混同するといった不利益を減らし消費者を保護することが、商標の目的である。もともとは文字や図形の組み合わせからなる商標が認められてきたが、その後、立体商標や音商標・動き商標・色彩商標なども認めるように範囲が拡大されていった。今回認められたのは、セブンイレブンの「白地にオレンジ・緑・赤のストライプ」とトンボ鉛筆の消しゴムMONOの「青・白・黒のストライプ」である。これによって、道路沿いに数多く並ぶコンビニエンスストアの中から色彩を頼りにセブンイレブンを間違いなく選べるようになった。

立体商標が商標法に加えられたのは1996年である。類似の造形の店舗が出ないように、コメダ珈琲店が店の外観を立体商標として登録したことは以前に紹介した。

新しいタイプの商標は2015年にスタートし、同年10月27日には特許庁が最初の審査結果を公表している。久光製薬のCMで流れる「ひさみつ」という音の商標、ドクターシーラボが販売する化粧品包装容器の本体側面上半部にある赤色の図形(位置商標)、ワコールのCMで流れるつぼみが開いてW型の花になる動きの商標など、いずれも企業ブランドを象徴する商標である。

ブランドを確立し消費者の信頼を獲得するために、企業は様々な戦略を展開している。色彩の商標はこれを支援する知的財産権の側面からの施策である。