立体商標も出願していたコメダ珈琲

山田 肇

コメダ珈琲店に外観が似た和歌山市の喫茶店に対して、東京地裁が営業停止を命じた

親会社であるコメダホールディングスは、この件について12月27日に報道発表をしている。それによると、不正競争防止法に基づき2015年5月に申立を行い、一年半後の今年12月19日に仮処分が命令されたという。不正競争防止法では第2条で「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」が不正競争の類型として定義されている。報道発表に添えられたコメダと和歌山の店舗写真は確かにそっくりで、仮処分は妥当である。

念のために、コメダが商標登録をしていないか調べたところ、登録番号第5851632号として立体商標が登録されていることが分かった。この立体商標はコメダ珈琲店の外観を登録するものである。

興味深いのは訴訟との順番。申立よりも9か月遅れの2016年2月に商標出願し、5月に登録されている。つまり、コメダは訴訟の過程で商標出願を行ったことになる。仮に、裁判でコメダが敗れても、立体商標があればこれからは外観が似た喫茶店は開業できない。商標登録は「似た外観は許さない」というコメダの強い意思を示すものだ。ちなみに、コメダが敗訴した場合には、商標法第32条に基づく先使用権が和歌山の喫茶店に与えられる。

立体商標の制度開始は1997年である。2014年には音、ホログラム、動き、輪郭のない色彩、位置ついての商標も導入された。特許庁は一年後に最初の審査結果について報道発表しているが、そのリストにはおなじみのものが多く並び面白い。

大江戸温泉物語もマークとロゴをまとめて、登録番号第5694250号で商標登録している。しかし、商標法は日本の法律なので中国には適用されない。それで、今の問題が起きている。中国にも不正競争防止法があるそうなので、大江戸温泉物語も訴訟を提起する必要があるかもしれない。中国には平気で真似をする風潮があるから、コメダも中国での商標登録が必要だ。